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2.図書館

ティシアン領主邸の門が開いた。

私たちを乗せた馬車が走り出す。


馬車の窓から、お辞儀している使用人たちと立っている両親に手を振った。


「リリーお嬢様、初めてのお仕事ですね。

あんなに小さかったのに…。」


「もう!

私は15歳よ?」


「分かっていますけどねえ。」

ベラはまるで祖母が私に言う口調で言った。

お母様と同い年なのに。


背もたれに深く寄りかかる。

体がソファに沈み込んだ。


一体、入学試験ってどんな感じなのかしら。



角を曲がった。


「わあ!」


三階建てや二階建ての建物が並んでいる。

赤い髪色の人たちが入って行っている。


「珍しい色ね。」


宿屋だろうか。


「ティシアン領では珍しいですね。

赤髪は砂漠地帯の人々に多いです。

砂漠地帯は、ティシアン領の右の王都の右にあります。

その地域から来た乗組員たちでしょうね。

ここは王国一の交易所ですから。」


ティシアン領、王都、砂漠地帯という順であるのね。


「なるほど。

それにしても、ベラは色々な民族のことにも詳しいのね。」


「王立学園に通えば分かるようになります。

王国中から集まってきたたくさんの人がいますから。」



馬車の車輪がガタンと音を立てた。


「ここが大通りです。」


帽子をかぶった女性がお店に入っていった。

屋台には人が溢れている。

噴水の前で子供たちが遊んでいる。

それらの話し声が馬車の中にも聞こえてきた。

活気が凄いわ。



「もうしばらく進んだら試験会場ですよ。

入学試験は図書館の中の部屋で行われます。」


丘をのぼった。


2階建てほどの立派な建物がある。

薄橙色の煉瓦で作られている。

建物の前に、金の像がある。

長い髪を持つ女性の像だ。

馬車がゆっくり止まった。


さっきとは打って変わって、静かな雰囲気が漂う。


「では、降りましょう。」


一人の男性が立っていた。

白いひげが首元まで伸びている。


「お待ちしておりました。

学者のイーサン・シュイラーと申します。」


名字がある。

貴族なのだろう。


「リリー・ティシアンよ。

今日はお世話になるわ。」


「侍女のベラです。」


「よろしくお願い致します。


かなりお時間がありますので、図書館をご案内しましょう。

どうぞこちらへ。」


重厚な扉の向こうには、見渡す限りの本が並んでいた。

奥の中心には大きな時計がある。

その時計の左と右に階段が設置されている。


「足元にお気をつけて。」


「ありがとう。」


2階は、1階と内装が違った。

壁に本棚のないスペースが目立つ。

本棚の代わりに、四角いテーブルがいくつもある。


「2階にはあまり本がないのね。」


「はい。

読書スペースとして作られたもので。


このテーブルで試験が行われます。」


「私も何か本を読んでもいいかしら?」


「ぜひぜひ。

試験の受け付けが始まる頃にお声かけさせて頂きます。」


「ありがとう。」


ベラは早速本を開いている。


私はどんな本にしようかしら。

1階に下がってみよう。

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