1.ティシアン領
これが『花の聖女様』の修正バージョンのシリーズです
私が思っていたより投稿が遅くなってしまいました
もし待っていてくださった方がいたら申し訳ないです
拙いところがあるかもしれませんが、新しいシリーズぜひ楽しんでください!
王立学園の入学式の日、奇跡が起きる。
私たち女の子3人が円状に集まった。
色鮮やかな花びらが舞い始めた。
まさに、どこかで聞いた伝説通りの光景。
『三人の聖女が同じ場に集った時、奇跡が起きる。
聖女の内なる力が解き放たれる。
精霊たちが花びらをまいて祝うだろう。』
「…あなた方は聖女です。」
「「「私たちが聖女様!?」」」
私はリリー・ティシアン。
胸の下まである天然カールの金髪が揺れる。
ブラウンの瞳を、金色のまつ毛が彩っている。
廊下に朝の澄んだ空気が漂う。
ここはティシアン公爵邸だ。
歩くたびに、私の靴音が響く。
「おはよう。」
「リリーお嬢様、おはようございます。」
護衛が居間のドアを開ける。
「リリー、おはよう。」
お母様が封筒を持って、にこにこ微笑んでいる。
お母様の名前はキャサリン・ティシアン。
豊かな金髪に金色の瞳をしている。
金は王家の特徴だ。
お母様は王家のプリンセスだった。
お父様と結婚したから、今は公爵家夫人だ。
「おはよう。
お母様、何を持っているの?」
ダイニングテーブルの席に腰掛ける。
「王立学園への入学届が来たのよ。
入学まであと一か月になったから。」
私は吸い寄せられるように、お母様の隣の席に座った。
「王立学園について説明するわね。
満15歳の子供が入学できる共学の学校よ。
全寮制で、小さな島が全て敷地。
コースは2つあるの。
貴族が全員通う貴族コース、入学試験に合格した子だけが通える平民コース。」
「私は貴族コースよね?」
「ええ。
リリーは一人娘で、次期当主。
選択授業に領主レッスンを受ける準備はいい?」
いよいよ本格的に領主になる準備が始まるのね。
「ええ。」
「よかったわ。
入学希望書にマークしておくわね。」
お母様が使用人からペンを受け取り、筆を走らせた。
どんな学校生活になるのだろう。
生まれてからずっと、私の周りは大人ばかり。
同い年の友達をつくってみたい。
「…懐かしいわ。
私も、リアムも、ベラも王立学園で会った。
ベラは性格もいい子で、1年生の時に専属使用人をお願いしたの。」
ベラはメイド長をしている。
物心ついた頃には、既にお世話してもらっていた記憶がある。
「専属使用人って?」
お父様が書類をテーブルの上に置いた。
名前はリアム・ティシアン。
ブラウンの髪色にブラウンの瞳を持っている。
ここにいる使用人たちに多い色だ。
「学園での使用人だよ。
多くの時間を一緒に過ごす。
今まで通り使用人を連れていくことはできない。
でも、貴族は身の危険がある。
専属使用人はきっとどんなピンチでも守ってくれる。」
お父様が懐から袋を渡してくれた。
袋からは金貨の音がした。
「大切に使いなさい。」
私はゆっくりと頷いてみせる。
「もう1つ、リリーに話があるんだ。」
お父様が眉間にしわを寄せている。
どうやら真面目な話らしい。
「次期領主として、今やってほしい仕事がある。」
仕事…。
「どんな内容かしら。」
「今日から平民の入学試験が始まる。
試験を受けて、学園生活に問題ない学力があるか確認するためだ。
平民の中には文字が読めない者もいるからな。
合格者への入学許可書に領主のサインと判子をしてほしい。」
「ええ、ちゃんと仕事をしてくるわ。」
読んでくださりありがとうございました〜!
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