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第3次パワフル転生野球大戦ACE  作者: 青空顎門
第1章 雌伏の幼少期編
9/378

009 成長タイプ

 限られた行動範囲の中で、ひたすらせわしなく動き回る。

 そんな日々を過ごす内に月日は流れていき……。

 俺が転生してから1年と少しの時間が経った。

 最近、ちょっとだけ日常に変化が生じた。


「では、秀治郎。今日もいい子でいて下さいね」


 ここは家から少し離れたところにある保育園。

 保育士さんに抱かれた俺の頭を優しく撫でてから、母さんが去っていく。

 俺が1歳になったので育児休暇の期間が終わり、仕事に復帰したのだ。

 両親が働いている間、俺はここに預けられている。

 今、俺が割り振られているのは乳児クラス。

 他の子供達は生後半年ぐらいから2歳までの15人ぐらい。

 新たな出会いに、俺の将来の仲間がいないものかと最初は期待したのだが……。


状態/戦績/関係者/▽プレイヤースコープ

・佐々岡信二(成長タイプ:テクニック) 〇能力詳細 〇戦績

 BC:38 SP:15 TAG:29 TAC:38 GT:39

 PS:66 TV:41 PA:49

 好感度:1/100


・大木孝之(成長タイプ:バランス) 〇能力詳細 〇戦績

 BC:29 SP:30 TAG:30 TAC:29 GT:33

 PS:69 TV:57 PA:33

 好感度:2/100


・倉敷三美(成長タイプ:パワー) 〇能力詳細 〇戦績

 BC:15 SP:71 TAG:16 TAC:22 GT:28

 PS:70 TV:69 PA:16

 好感度:1/100

           ・

           ・

           ・


 一通り【プレイヤースコープ】で見た限り、俺がステータスを操作できる【成長タイプ:マニュアル】の子は1人もいなかった。

 どうやら比較的レアな存在らしい。

 保育士さん達の中にも見当たらない。

【成長タイプ:マニュアル】=致命的な運動音痴。

 そう考えると、前世で1クラスに1人か2人いた謎レベルで運動に対して不器用な子、ぐらいの割合しかいないのかもしれない。

 もう少し行動範囲が増えないと、中々出会えなさそうだ。


 ……こうなってくると、保育園でできることも限られてくる。

 結局のところ、家にいる時とそう変わらない。

 ほとんど場所が変わっただけだ。


 1歳になる少し前から歩けるようになったので。

 限られた空間を歩いて、歩いて歩いて歩いて。

 ひたすら動き回る。

 少しでも【経験ポイント】を多く稼ぐために。


「秀治郎ちゃんは本当に元気ねえ……」

「他の子より動くから、一層目を離せなくて大変だわ」


 デメリットは保育士さん達に半ば要注意人物扱いされてしまうことだが……。

 さすがに前世で成人した身としては、一般的な幼児生活は苦痛極まりない。

 日々の【経験ポイント】の増加量に一喜一憂し、徐々に増えていくステータスの数値を眺めてニマニマするぐらいしか楽しみがないのだ。


 ……幼児だからギリギリ許されるが、大人だったら変態だな。


 心の中で苦笑しながら、尚歩く。


「ああ、そっちは――」


 む。とめようとしている気配。

 よし。方向転換しよう。


「…………ちゃんと危なそうなところは避けるのよねえ」

「他の子よりも何だか色々理解してそうな感じがするけど……」

「だからって目を離していい訳ないものね」

「……理解してくれてるなら、少しは落ち着いて欲しいわ」


 いや、本当にごめんなさい。


 ……けど、悪いのは俺じゃない。

 全て野球狂神が悪いのだ。

 脅された訳じゃないけれど、相手は身勝手極まりない神。

 ある程度は要求通りにしないと天罰がくだる可能性もなくはない。

 そうならないためにも、可能な限りステータスを上げて使命に対して積極的な素振りを見せておく必要がある。


 まあ、親孝行の最短ルートとして利用しようとしてる部分もあるし、野球ゲームオタクとして超長期的な育成モードを楽しんでる側面もなくはないけども……。

 根本的には、この世界の創造主の責任だ。

 心の中で言い訳しつつ、尚も全く自重せずに動き回る。


 そんなこんなで保育士さん泣かせの腕白幼児を続けること約2年。

 この小さな保育所にて。

 後の世に多大な影響を与えることになる出会いが生まれようとしていた。

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