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第3次パワフル転生野球大戦ACE  作者: 青空顎門
第2章 雄飛の青少年期編
77/389

072 チグハグ

 よし。まずはフリーバッティングで滅茶苦茶飛ばしている選手から。

 グラウンドに入った時点で既に目についていたが、体格が凄い。

 中学生の身からすると威圧感がある。

 そんな彼のステータスはこちら。


状態/戦績/関係者/▽プレイヤースコープ

大法(おおのり)(ゆたか)(成長タイプ:パワー) 〇能力詳細 〇戦績

 BC:633 SP:937 TAG:762 TAC:821 GT:845

 PS:150 TV:777 PA:511

 好感度:0/100


 成長タイプは見た目通りのパワータイプ。

【Swing Power】だけなら1部リーグのプロ野球選手並みだ。

 守備は3部リーグレベルだが、クラブチームだったら十分優秀というところ。

 如何にもファーストって感じのステータスで、実際にファーストのようだ


 しかし、それにしても【Bat Control】が低い。

 高校野球のレベルにも達していない。

 こればかりはちょっと擁護のしようがないな。

【戦績】にも如実に表れている。


 打率が極めて低く、三振率も異様に高い。

 反面、当たれば長打。と言うか、ほぼホームラン。

 ピーキー過ぎる。

 ……いや、さすがにステータスの偏りだけではここまでにはならないか。

【能力詳細】からスキルを確認してみよう。


・大法豊

〇能力詳細

▽取得スキル一覧

   名称       分類

・長距離打者     通常スキル

・月に向かって打て  極みスキル(取得条件:通常スキル「長距離打者」の取得)

・追い込まれると弱い マイナススキル

・三振前の馬鹿当たり マイナススキル


 うむ。やっぱりスキルの影響を受けていたな。

 特にデバフ効果を持つ【マイナススキル】。

 その存在が大きい。


【通常スキル】と【極みスキル】によって当たれば打球は上がりやすい。

 だが、2ストライクになったり、特大のファウルを打ったりすると、ただでさえ低い【Bat Control】が更に低下してしまう。

 そんなスキル構成だ。

 ロマンはあるものの、一発勝負のトーナメントなどでは使うのが怖い選手だな。

 クラブチームでくすぶっている原因は、間違いなく【Bat Control】の低さと2つの【マイナススキル】のせいだろう。


 そう頭の中で納得し、大法選手から視線を移す。


 さて。他に目立つ選手は……と。

 ん。あの人、かなり足が速いな。

 丁度ノックを受けているところだが、俊足のおかげか守備範囲が非常に広い。

 ステータスは以下の通りだ。


状態/戦績/関係者/▽プレイヤースコープ

・村木純助(成長タイプ:スピード) 〇能力詳細 〇戦績

 BC:783 SP:757 TAG:908 TAC:866 GT:892

 PS:160 TV:722 PA:699

 好感度:0/100


 数字だけを見ると、2部リーグ上位というところ。

 走力と守備に限れば1部リーグレベルと言っていい。

「何でこんなとこ(失礼)にいるんだ?」と首を傾げながらスキルや適性を見る。


 んー……。ああ、成程。

 これは酷いな。


 彼は守備適性が全く合っていない。

 足の速さを買われてセンターを守っているが、外野手は全て適性がFだ。

 そのせいでステータスを十分に発揮できていない。

 更に、厄介なスキルを持っている。

【特殊スキル】。状況によってバフにもデバフにもなるスキルだ。


・村木純助

〇能力詳細

▽取得スキル一覧

    名称       分類

・守備でリズムを作る  特殊スキル


 このスキルの効果は次の通り。


【守備でリズムを作る】

『守備機会があると10%、ファインプレーで20%次の打席で能力値が増加。

 守備機会がないと10%、イージーミスで20%、エラーで30%次の打席で能力値が減少する。効果は直前の回の結果を参照する』


 適性のない守備位置かつ、この内容。

 負のシナジー(アナジー)が生まれてしまっている。


 恐らくだが、イージーミスの判定がかなり広いのだろう。

 低い適性によるマイナス補正を受けた守備では常に該当してしまう程度に。

 それによって攻撃時、常時10~20%のステータス低下が生じている訳だ。

 更にエラーをしてしまった日には30%減。

【戦績】を見ると、実際にそんな感じの打撃成績だ。


 その調子で他の選手達も能力の詳細を見ていく。

 すると、割と似たような印象を受けることが多かった。

 皆、ステータス上のスペックを十二分に発揮できていない感じがある。

 起用法や当人の認識との間に齟齬があり、チグハグになってしまっているのだ。


「けど、程度の差はあれ、どこだって似たようなもんだよな」


 口の中で小さく呟く。


 テレビ中継で見た1部リーグのチームでさえ「何故そんな起用法を?」と思うような選手の使い方をしていて何とももどかしく思うことがある。

 が、それはあくまでも俺がステータスを見ることができるからこその感想だ。

 現実には練習や試合の結果から判断しなければならない。

 手探りで正答を導き出すのは中々に難易度が高い。


 だからこそ。

 うまく才能を引き出してくれる優れた指導者と出会うことができるのは稀なことで、本当に幸運なこと。

 そうした巡り合わせもまた、世に羽ばたいていくには絶対的に必要なものだ。


 まあ、それはそれとして。

 確かに尾高コーチが言っていた通り、悪くない選手が意外と多い。

 思っていたよりも遥かにマシなチーム状況だ。

 色々うまく噛み合いさえすえば、もっと上のステージに行けると思う。

 問題は、それをどうやって彼らに伝えるかだが……。


「しゅー君、任せて」


 と、あーちゃんは【以心伝心】で何か受信したような様子を見せた。

 一体どうするつもりだろうかと首を傾げつつ、とりあえず見守ることにする。

 すると彼女は、声が通るタイミングを見計うようにグラウンドを見回し、丁度かけ声が途切れた瞬間に口を開いた。


「皆、下手過ぎ。しゅー君に教わるべき」


 ……あかん。

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