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第3次パワフル転生野球大戦ACE  作者: 青空顎門
第3章 日本プロ野球1部リーグ編

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閑話30 続々・日本シリーズ決勝ステージ東京プレスギガンテス対村山マダーレッドサフフラワーズ第2回戦全国放送生中継

 大松選手。3番の瀬川昇二選手に対してストライクが入りません。

 初球から3球連続ボールで、カウントは3ボールノーストライクとなりました。

 これは明らかに野村秀治郎選手のホームランの影響によるものでしょう。


 まあ、そりゃあね。

 1打席の中で2度もホームラン性の打球を飛ばされた上に、あんな風に打ち直されたらピッチャーはダメージが大きいよ。


 未だ動揺の色濃いまま、大松選手が投球動作に入ります。

 3ボールからの4球目を……投げました!

 低め、打ちました! ピッチャー目の前!

 大松選手、落ち着いて処理して1塁に送ります。

 1アウト。

 これは瀬川昇二選手、見逃せばボールでしたか?


 うーん、際どいところですね。

 とは言え、このカウントでは厳しいコースは見逃すのがセオリーでしょう。

 余程甘い球だったら話は別ですが。


 ともあれ、大松選手は助けられたね。

 これで少しは気持ちを立て直すことができるんじゃないかな。


 でしょうね。

 しかし、瀬川昇二選手らしくないバッティングだったように思いますが……。


 そうだね。

 準決勝ステージで磐城選手と対戦した時もそうだったけど、何となく本気を出し切れていないような印象があるよ。


 本気を出し切れていない、ですか。

 確かにこの日本シリーズでも、磐城選手登板の試合と今日の試合以外はレギュラーシーズンと遜色ない活躍をしていますからね。


 3割打てばよしとされる野球です。

 1試合や2試合ノーヒットで終わってしまうようなことは珍しくないと言われれば、それまでのことではありますが……。

 2人共元々チームメイトだった訳ですし、もしかしたら敵味方に分かれてガチンコで戦うことにまだ少しばかり戸惑いがあるのかもしれませんね。


 彼も一応、甲子園の決勝戦で兄弟対決だって経験しているんだけどね。


 っと、打った! 打球はライト前に落ちる!

 4番の倉本選手は初球を打ってシングルヒット!

 1アウトランナー1塁となりました!


(しかし、直後の5番バッターのムサシこと崎山武蔵はセカンドゴロからのダブルプレーに終わってしまい、3アウトチェンジとなった)


 結局のところ、4回表は野村秀治郎選手のソロホームランのみでした。

 スコアは2-0で4回裏に入ります。


 衝撃的な打たれ方をしてしまっているので何となく大負けしているような雰囲気がありますが……未だ2点差。

 この回を含めて6イニングの攻撃を残しています。

 十分追いつくことができる点差と言えるでしょう。


 数字の上では浜中美海選手は防御率2点台ですからね。

 まだまだ試合は分かりません。


 ですが、それこそ数字の上で言えば次の1点は致命的なものになりかねません。

 以降の打席、野村秀治郎選手は申告敬遠と見た方がいいでしょう。

 残念なことではありますが、あのバッティングを見てしまうと視聴者の皆さんも是非論を超えて仕方がないと思ってしまうかもしれませんし。


 野村秀治郎選手の凄まじさが申告敬遠を容認する空気を作ってしまう訳ですね。

 一方で、大松選手の士気にも関わってくるでしょうから、逆転することができれば点差によっては再勝負もあり得る、というところでしょうか。


 できれば、大松選手には果敢に勝負を挑んで欲しいところですが……。

 いずれにしても、全て味方の援護次第、ということですね。

 その東京プレスギガンテスの攻撃ですが、4回裏の打順は2番の高井選手から。

 初球は縦のスライダーが内角低めに決まってノーボール1ストライク。

 2球目は同じく内角低め。

 ボールゾーンに食い込む横のスライダーを引っ張り、1塁線切れてファウル。

 そしてノーボール2ストライクからの3球目を……浜中選手、投げました!

 打った! ファウル!

 高井選手、外角低めへのナックルをうまく溜めてレフトへ流しましたが、これもファウルゾーンに切れて2球連続でファウルとなりました。


 しかし、彼女も本当にコントロールがいいね。


 余り纏まり過ぎているのもよし悪しではありますけどね。

 荒れ球の方がバッターにとって捉えにくい場合もありますので。


 本当にコントロールがよければ、意図的に荒らすこともできるだろうけどね。

 まあ、そこはバッテリー次第だろう。

 荒れて見える球を要求するのも、それを実際に投げるのも勇気が必要だからね。


 確かに。もし完璧に四隅に投げられる制球力が私にあったら、逆にそこ以外には投げにくくなってしまうかもしれません。

 意表を突いてド真ん中、なんてのも怖過ぎますし。

 野村秀治郎選手程の球威があれば、気にせず投げ込めるかもしれませんが。


 キャッチャー倉本選手もやはり四隅。内角高めに構えています。

 ノーボール2ストライクから4球目。


 これは直球だろうね。


 ですね。


 浜中選手、投げた! ストレート!

 高井選手は打ち上げた!

 既にセカンド野村茜選手が手を挙げて落下点に入っている!

 掴んで1アウト!


 ストレートが来ることは予測できていたけど、外角低めの緩いナックルで僅かに体を突っ込まされてミスショットになってしまった。

 そんな感じだったね。


 落上さんであれば、浜中選手をどのように攻略しますか?


 そうだねえ……。

 浜中選手に限らずコントロールのいいピッチャー、もといバッテリーであれば特に、バッター側から働きかけて配球を変えさせるというのがやりやすいだろうね。

 外を狙うような素振りを見せて内角に投げさせたり。

 そうして自分の得意なポイントに呼び込むのが1番じゃないかな。

 いずれにしても、相手のペースに合わせないことが大事だ。


 浜中選手もそうですが、野村秀治郎選手、磐城選手、大松選手も投球のテンポが非常に速いですからね。

 自分のリズムをそれに合わせるか、タイムを取ったりして相手につき合わないようにするといったことが必要でしょう。


 どうやら3番の松丸選手は後者を選んだようですね。

 内角の2球を見送った後、一旦タイムを取って打席を外しています。

 仕切り直して、1ボール1ストライクからの3球目。

 浜中選手が選んだのは、イーファス・ピッチだ!

 外角への球を……松丸選手は、体勢を整え直し、打った!

 コンパクトなスイングで打球はセンター前へ! ヒット!

 1アウトランナー1塁!


 完全にミートに徹したね。

 松丸選手はこれがあるから厄介なんだよね。


 ランナーありで大松選手の打席に繋げるためでしょうか。


 そうだね。

 大松選手もその辺りは理解してこの打席に……っと、何か雰囲気が違うな。

 傍から見ていても深く集中しているのがよく分かる。


 大松選手、静かに2度スイングしてからバッターボックスに入ります。

 確かに気配が変わったような気がします。

 特にあの鋭い視線、少し寒気が……。


 先程の打席の野村秀治郎選手を彷彿とさせるものがありますね。

 何を投げても打たれてしまうような、そんな恐ろしさを感じます。


 ……これは、それこそ無理に勝負しない方が――。


 初球、引っ張ったっ!! 打球はライトスタンド一直線っ!!

 ライト瀬川昇二選手、定位置から打球を見上げるのみ!!

 入ったっ! 2ランホームランッ!!

 エースで4番! 大松選手、意地の一発で同点!!

 試合は振り出しに戻りました!!


 ソロホームラン2本も2ランホームラン1本も、どちらも2点。

 個人の勝負では徹底的に敗北したとしても、試合の勝敗はまた別。

 それがチームスポーツの醍醐味というものですね。


 まあ、1人で2役も3役もこなされると話が変わってきちゃうけどね。

 それはそれとしても、大松選手はよく打ったよ。

 低めのボール気味のスライダーを、うまいことすくい上げた。

 あるいは、野村秀治郎選手のバッティングを参考にしたのかもしれないね。


 浜中選手は少し表情が強張っていますね。


 失投ではなかったからね。

 完璧な力負けだ。


 まあ、ナックルが100%ではないせいというのもあるかと思いますが。

 実際、屋外の神戸エメラルド球場では磐城選手も抑えていましたので。


 とは言え、先発したからにはドーム球場だからと言い訳している暇はない。

 彼女達もそれを承知しているからこそ、屋内でも武器として使うことのできる新球、イーファス・ピッチを引っ提げて試合に臨んだんだろうからね。


 しかし、特大のホームランの直後。

 浜中選手は落ち着いてピッチングができるのか。

 東京プレスギガンテスはここで畳みかけたいところ。

 ここでバッターは5番の落畑選手を迎えております。

 そしてキャッチャー倉本選手は外角低めに構える。

 浜中選手。1球目を、投げた! 打った!

 セカンド、飛びついた! ダイビングキャッチ!

 落畑選手、セカンドライナーに倒れてしまいました!

 2アウトランナーなしに変わります!


 初球、やや甘く来た球をうまく捉えてはいました。

 これはもう、セカンドの野村茜選手のポジショニングが素晴らしかったとしか言いようがありません。

 1歩目が遅れていたら、間違いなく長打になっていたことでしょう。


 浜中選手は守備に助けられましたね。

 ですが、これで彼女も少しは落ち着くことができたことでしょう。


(綿原博介の解説通り。浜中美海は投球を立て直し、6番バッターの岡原和徳をライトフライに打ち取って3アウトチェンジ。

 4回の攻防が終わって2-2。

 同点となり、試合は互いに先発投手の責任投球回となる5回に突入していく)

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