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第3次パワフル転生野球大戦ACE  作者: 青空顎門
第3章 日本プロ野球1部リーグ編
253/388

閑話21 1週間プロ野球(開幕記念超拡大スペシャル版)

 さあ、今年も開幕しました日本プロ野球。

 WBWでは日本の無惨な敗北を目の当たりにし、日本代表首脳陣が解任されるなど暗いニュースが続いていましたが、そんな中でもペナントレースは始まります。

 今年もシーズン中は『1週間プロ野球』の放送枠を拡大し、試合結果を中心に日本プロ野球の動向を1週間単位でお届けしていきたいと思います。

 勿論、野球に関わるバラエティに富んだトピックスも取り上げていく予定です。

 本日は更に、開幕記念として超拡大スペシャル版としてお送りいたします。

 最後までおつき合いいただければ幸いです。

 ……申し遅れました。司会はわたくし、羽澤朗一。

 レギュラーコメンテーターは、パーフェクトサブマリンこと綿原博介さん。

 超拡大版の特別ゲストとして、今回は始球式でホームランを打たれてSNS等で話題になっている大海原遥さんにお越しいただいております。

 本日はよろしくお願いいたします。


 よろしくお願いします。


 よろしくお願いします。

 いやあ、打たれてしまいました。


(片手で頭を掻くようにしながら笑顔を見せる大海原遥)


 私も幼い頃からプロ野球を見てきましたが、初めての光景でした。

 綿原さんは如何ですか?


 大分昔に1度だけ。

 広島オリエンタルバハムーツ主催試合でレジェンド達が始球式のピッチャーとバッターを務めた際に柵越えしたのを見たことがあります。

 しかし、通常の始球式ではさすがに史上初の出来事ではないでしょうか。


 早くも今年の珍プレー好プレー大賞は決まりかもしれませんね。

 この珍事については後程、舞台裏も含めて詳しくお話を伺いたいと思います。


 珍事て、アナタ。


(大海原遥の突っ込みを羽澤アナは真面目な顔のままスルー)


 さて、まずは1週間の試合結果から。

 本日取り上げるのは先週の金曜日より行われた開幕カード3試合のみとなりますが、僅か3試合ながら普段よりも話題は満載。

 取捨選択が大変だったと聞いております。

 特に初戦は始球式でホームランが飛び出すといった珍事は勿論、それこそ史上初の記録尽くしの1日であったことは皆様の記憶にも新しいでしょう。


 擦ってくるねえ。


(羽澤アナはまたも華麗にスルー)


 さながら日本を覆う暗雲から差し込んだ光明。

 新人選手による開幕戦初登板で初完封勝利という偉業が3試合同時に達成された前代未聞の出来事については、先にお伝えしたいと思います。

 主役は3人の先発投手。

 その内2人はWBW壮行試合でも先発登板し、日本中を震撼させたルーキー。

 東京プレスギガンテスの大松勝次選手。

 兵庫ブルーヴォルテックスの磐城巧選手。

 残る1人は、日本プロ野球参入1年目にして1部リーグ昇格という快挙を成し遂げた村山マダーレッドサフフラワーズの中核選手として知られる野村秀治郎選手。

 この3選手は何と全員、山形県の出身。

 しかも山形県立向上冠中学校の同級生です。

 チームメイトとして全国中学生硬式野球選手権大会の制覇も成し遂げています。

 そんな彼らは新人ながら開幕投手の大役を任され、見事その期待に応えました。

 大松勝次選手は打者31人に投げて被安打4、失点0、奪三振14。

 磐城巧選手は打者31人に投げて被安打5、失点0、奪三振9。

 野村秀治郎選手は打者28人に投げて被安打1、失点0、奪三振23。

 驚くべき18歳としか言いようがありません。


 高卒新人選手……まあ、野村秀治郎選手は高卒新人選手相当ですが――。

 投球内容は3人共、新人の域を遥かに超えていましたね。


 更に3選手全員初打席本塁打を達成し、初打点、初猛打賞を記録するなどバッターとしても初物尽くし。驚異的な活躍を見せつけてくれました。

 勿論、これも3人同時は史上初です。

 もはや示し合わせて狙っていたと言われても納得してしまいそうです。


 正直、ここまで来ると恐怖すら感じますね。

 あるいは、日本プロ野球界は過渡期を迎えているのかもしれません。


 それぞれの打撃成績は以下の通り。

 大松勝次選手。5打数4安打1本塁打5打点。

 磐城巧選手。4打数3安打1本塁打6打点1四死球。

 野村秀治郎選手。5打数5安打2本塁打11打点2四死球2盗塁。

 野村秀治郎選手は更にサイクルヒットも達成しております。


 もはや理解を超えた活躍です。

 私達の現役時代の常識では考えられません。

 いっそのこと前人未到の記録を打ち立て続けて、我々の凝り固まった固定観念を完膚なきまでに粉砕して欲しいぐらいですね。


 大海原遥さんは野村秀治郎選手の活躍を生で御覧になって如何でしたか?


 札幌ダイヤモンドダスツの応援をしている身としてこんなことを言うのも何ですが、呆然としてしまって負けて悔しいという気持ちすら湧いてきませんでした。

 もう災害に遭ったような気分ですよ。

 本当に恐ろしい開幕3連戦でした。

 札幌ダイヤモンドダスツの選手達には気持ちを切り替えて、次のカードこそ真の開幕戦と捉えて戦っていって欲しいですね。


(その言葉を羽澤アナも綿原博介も否定することができず、2人共苦笑いする)


 では、改めて開幕戦3連戦の振り返りを行いたいと思います。

 スコアは以下の通りです。


(画面に試合結果が一覧で表示される。

・開幕戦初戦

【公営セレスティアルリーグ】

愛知ゴールデンオルカーズ     2-5  大阪トラストレオパルズ

東京プレスギガンテス      11-0  広島オリエンタルバハムーツ

東京ラクトアトミクス       5-4  神奈川ポーラースターズ

【公営パーマネントリーグ】

北海道フレッシュウォリアーズ   0-15 兵庫ブルーヴォルテックス

埼玉セルヴァグレーツ       1-21 千葉オケアノスガルズ

宮城オーラムアステリオス     5-3  福岡アルジェントヴァルチャーズ

【私営イーストリーグ】

長野ハイドバックウィーツ     7-4  静岡ミントアゼリアーズ

横浜ポートドルフィンズ      1-1  富山ブラックグラウス

村山マダーレッドサフフラワーズ 26-0  札幌ダイヤモンドダスツ

【私営ウエストリーグ】

宮崎サンライトフェニックス    1-7  岡山ローズフェザンツ

奈良キーンディアーズ       5-4  京都フォルクレガシーズ

熊本ヴァリアントラークス     3-2  堺ノーブルオーロックス

・開幕戦2戦目

【公営セレスティアルリーグ】

愛知ゴールデンオルカーズ     0-9  大阪トラストレオパルズ

    ・

    ・

    ・

村山マダーレッドサフフラワーズ 15-6  札幌ダイヤモンドダスツ

    ・

    ・

    ・

熊本ヴァリアントラークス     0-6  堺ノーブルオーロックス

・開幕戦3戦目

【公営セレスティアルリーグ】

愛知ゴールデンオルカーズ     1-2  大阪トラストレオパルズ

    ・

    ・

    ・

村山マダーレッドサフフラワーズ 18-8  札幌ダイヤモンドダスツ

    ・

    ・

    ・

熊本ヴァリアントラークス     1-5  堺ノーブルオーロックス)


 では、1つ1つ詳しく試合を見ていきましょう。

 まずは愛知ゴールデンオルカーズ対大阪トラストレオパルズ3連戦から。

 初戦の先発は昨シーズンから引き続き、開幕投手に選ばれた——。


    ・

    ・

    ・


 さて、お待たせいたしました。

 新興球団として僅か1年で1部リーグまで駆け上がってきた村山マダーレッドサフフラワーズと、札幌ダイヤモンドダスツの3連戦を振り返りたいと思います。

 ですが、その前に。

 始球式で起きた珍事について改めて触れましょう。


(始球式の映像が流れ、大海原遥が呆然と打球を見送る姿とその後に膝をつく演技をしている彼の姿が映し出される)


 始球式で全力ストライク投球をする企画があったと聞いております。


 ええ。

 そのために白川投手や岩元投手を始めとした札幌ダイヤモンドダスツの投手陣に投球指導をしていただきました。

 見る見る内に球速が上がって、我ながらビックリしましたよ。


 結果、111km/hの速球をスタンドに運ばれた訳ですね。


 辛辣過ぎません?


 しかし、野村茜選手はよく打ちましたね。

 普通ならファウルにしかならないようなコースだったのではないでしょうか。


 そうですね。

 お手本にしたいぐらいのインコース打ちです。

 ですが、私は大海原遥さんも素晴らしかったと思います。


(虚を衝かれたような表情をする大海原遥。褒められるのは想定外だったらしい)


 い、いえいえ。

 インコースの厳しいところに行ってしまって、汗顔の至りです。

 指導いただいた皆様に申し訳ない。


 そうは言いますが、あれぐらいなら試合でも普通に投げますからね。

 コントロールミスと言う程ではないと思います。

 それに、ちゃんと打たれるというのも意外と難しいんですよ。

 そもそも、打てるところに来ない場合が多いですからね。始球式は。

 ゾーン近辺に来ることが多ければ、始球式で打つ選手はもっと多いはずです。

 お調子者の選手も結構いますし。

 いい球が来ると、本能的に打ちたくなっちゃいますからね。


 普通に番組企画とかにもできそうですしね。

 高い確率でストライクゾーンに投げることができるなら。

 実際にはいいところになんてそうそう来ないから、考えもしないだけで。


 更に言えば、掛け値なしの柵越えを食らうというのも実は凄いことですよ。

 たとえプロ野球選手でも、そんな経験のある選手は少ないでしょうからね。

 正規の距離で柵越えできる程のバッターと対戦できるレベルまで投手としてキャリアを積める選手なんて、そういませんから。

 本当に貴重な体験だと思います。


 ありがとうございます。

 正直、私もね。

 最初は呆然としましたけど、すぐにおいしいなって思ったんですよ。

 1ついいエピソードを頂いたなと。

 まあ、その後の歴史的大敗でそれどころではなくなりましたけどね。


(大海原遥の自虐的な笑みに、羽澤アナと綿原博介も苦笑いを浮かべる)


 そろそろ試合の内容に移りましょう。

 大海原遥さんを始めとした札幌ダイヤモンドダスツファンの皆様には苦しい時間になりますが、おつき合い下さい。

 まずは初戦の初回。1回表。

 件の野村茜選手が初打席初安打で出塁すると、新規加入の倉本未来選手も初打席初安打で続き、ノーアウト1塁2塁で野村秀治郎選手を打席に迎えます。

 そして、慎重に入った札幌ダイヤモンドダスツ先発の白川有樹の初球でした。


(低めのボール球を、膝をつきながらすくい上げる野村秀治郎の映像が流れる)


 いや、正直なところ。

 これを打たれてしまったらお手上げです。

 こんなのでホームランにされたら堪ったものじゃないですよ。

 もう物理的にバットが届かないところに投げるしかなくなります。


 私達の目から見ても理不尽極まりない1発でした。

 更にその直後。

 ルーキーながら開幕戦4番に抜擢された瀬川昇二選手も……。


(続いて、甘く来たところを見逃さずにセンターバックスクリーンに特大のホームランを叩き込む瀬川昇二の映像に切り替わる)


 初打席本塁打は、実のところ彼もなんですよね。

 つまり4人の達成者が開幕戦で出ている訳です。

 しかも彼もまた高卒新人選手であり、他の3選手とは同郷。

 綿原さんではありませんが……。

 山形県で何か野球に関するパラダイムシフトが起こっているのかもしれません。


 村山マダーレッドサフフラワーズの1番から4番の上位打線は全員18歳。

 彼、そして彼女らの大爆発もあって、打ちも打ったり26得点。

 投げては野村秀治郎選手が球速170km/hの日本記録を打ち立て、1試合最多奪三振の日本記録も同時に更新。


(23個の三振のダイジェストが流れる)


 当然のように1部リーグ初登板で達成した無四球完封勝利には、球数100球未満という記録も付随しております。


 2部リーグ以下での活躍に疑いの目を向けていた人々を全力で張り倒すかのような、正に圧倒的な力を見せつけましたね。

 野村秀治郎選手の実力は完全に証明されたと言っていいのではないでしょうか。


 同じく疑問を持たれていた倉本未来選手、瀬川昇二選手も猛打賞の大活躍。

 終盤、投手として登録されている浜中美海選手も代打で登場し、初打席初安打を記録するなど新人選手が尽く評価を覆した公式戦初試合でもありました。

 彼、彼女らは札幌ダイヤモンドダスツとの開幕3連戦全てで結果を残し、村山マダーレッドサフフラワーズの3連勝に貢献。

 界隈における評価を着実に上げています。

 続いてこの3連戦、2戦目の詳細も振り返って――。


    ・

    ・

    ・


 それでは最後に順位表を見ておきましょう。


(画面が切り替わる。

【公営セレスティアルリーグ】

順位      チーム名       試合 勝利 敗戦 引分  ゲーム差

 1 東京プレスギガンテス       3  3  0  0    ―

 1 大阪トラストレオパルズ      3  3  0  0    0

 3 東京ラクトアトミクス       3  2  1  0    1

 4 神奈川ポーラースターズ      3  1  2  0    1

 6 広島オリエンタルバハムーツ    3  0  3  0    1

 6 愛知ゴールデンオルカーズ     3  0  3  0    0

【公営パーマネントリーグ】

順位      チーム名       試合 勝利 敗戦 引分  ゲーム差

 1 兵庫ブルーヴォルテックス     3  3  0  0    ―

 1 千葉オケアノスガルズ       3  3  0  0    0

 3 宮城オーラムアステリオス     3  2  1  0    1

 4 福岡アルジェントヴァルチャーズ  3  1  2  0    1

 6 北海道フレッシュウォリアーズ   3  0  3  0    1

 6 埼玉セルヴァグレーツ       3  0  3  0    0

【私営イーストリーグ】

順位      チーム名       試合 勝利 敗戦 引分  ゲーム差

 1 村山マダーレッドサフフラワーズ  3  3  0  0    ―

 2 静岡ミントアゼリアーズ      3  2  1  0    1

 2 横浜ポートドルフィンズ      3  2  1  0    0

 4 富山ブラックグラウス       3  1  2  0    1

 4 長野ハイドバックウィーツ     3  1  2  0    0

 6 札幌ダイヤモンドダスツ      3  0  3  0    1

【私営ウエストリーグ】

順位      チーム名       試合 勝利 敗戦 引分  ゲーム差

 1 岡山ローズフェザンツ       3  2  1  0    ―

 1 奈良キーンディアーズ       3  2  1  0    0

 1 堺ノーブルオーロックス      3  2  1  0    0

 4 宮崎サンライトフェニックス    3  1  2  0    1

 4 京都フォルクレガシーズ      3  1  2  0    0

 4 熊本ヴァリアントラークス     3  1  2  0    0)


 まだまだシーズンは開幕したばかり。

 これから順位がどのように変動していくのか。

 目を離せません。

 綿原さん。明日火曜日以降の試合で注目しているところはありますか?


 やはり浜中美海選手がどこで先発登板するか、でしょうか。

 可能性が高いのは、静岡ミントアゼリアーズ対村山マダーレッドサフフラワーズの2戦目か3戦目ではないかと思いますが……。

 閉塞していた野球界の雰囲気を一気に打破するような新人選手達の活躍が見られる中で、ピッチャーとしての彼女もまた追従することができるのか。

 個人的には非常に楽しみに感じています。


 ありがとうございます。

 激闘の序盤戦。選手達の熱い戦いに期待していきましょう。

『1週間プロ野球』開幕記念超拡大スペシャル版。

 本日はレギュラーコメンテーターの綿原博介さんと、特別ゲストの大海原遥さんと共にお送りいたしました。

 お2人共、ありがとうございました。


 ありがとうございました。


 ありがとうございました。

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