騎士団長を救いました
「おいっ、姫さん! これはどういうことだよ?!」
「アーダルベルト様? そんなに慌てて、どうかしたんですか?」
『失踪騒動』を起こした私は、お母様から難易度激ムズの刺繍の課題を頂いてしまったので、絶賛刺繍中だった。
(うぅ〜ん、難しすぎるんだよ〜!)
この課題への不満は大いにあるが、文句を言うとお母様から笑顔でもっと課題を増やされてしまいそうなので、大人しくチクチクと針を刺していた。
そこに、何かの紙を片手に持ったアーダルベルトが、慌てたように入ってきたのだった。
「いや、どうしたも、こうしたもねぇよっ」
「?」
「姫さん、これはなんなんだよ?!」
首を傾げる私の目の前に、アーダルベルトが紙を突き出した。
(ふむふむ。これは、アーダルベルトのお給料の紙、だよね?)
――これが、何なのだろうか?
「……おい。その顔はさっぱりわかってないな?」
「お、ほほほほ〜っ」
「笑って誤魔化そうったって、そうはいかねぇ。こんな大金、俺は受け取れねぇよ」
「…………?」
さっぱり訳がわからなかった。
だけど、アーダルベルトはとりあえず曖昧に微笑んでいた私の心の裡すら読んだかのように、何が問題点なのかを指摘してきた。
(ああ。そういうことか)
私は、ぽんっ、と手を打って納得した。
――アーダルベルトは、どうやら私が渡すように指示したお給料に納得がいかないようだった。
(あれ……だけど、なんでだろう?)
私の失踪のせいで、アーダルベルトがユリテウス王子から『減給処分』を受けたと聞いたから、私から補填しただけなのに、何かまずいことでもあったのだろうか?
「うわっ、マジかよ……姫さん、わかってないのか?」
「ふ、ふふっ、なんのことでしょうか? ――――ごめんなさい、もしかして、それでは足りませんでしたか?」
「ちっ、ちげぇよ! 逆だ、逆っ! その逆だよ!」
「…………ちがう?」
(なぜだ?)
てっきり私の補填した金額が足りなかったのかと思ったのだが、アーダルベルトは却って焦ったように否定していた。
(『とりあえず、ユリテウス王子が減給した金額の10倍ほどを、お詫びの気持ちも兼ねてアーダルベルトにお渡ししておくように』、と伝えていたはずなんだけどね……?)
「ああっ、くそっ……こりゃ、わかってねぇなっ。 ――これじゃ、俺が貰いすぎだっ、ってことなんだよっ!」
「っ! まぁっ、そうなんですか?」
(どうやら、多かったようだ)
これは、予想外。
納得する私とは対照的に、アーダルベルトは、頭をくしゃくしゃと掻きながらため息をついていた。
「『そうなんですか?』って……姫さんは人が良すぎだ。俺は、護衛として失態を犯したから減給処分になったんだぜ? 一歩間違えば、姫さんだってかなり危なかったんだぞ?!」
「はい、そうですね」
(覚悟の上だけどね)
「ああ。だからな、俺は姫さんからこんなお給料をもらうわけにはいかねぇんだよっ」
「…………?」
アーダルベルトは、「俺が姫さんを危険に晒したことには変わりねぇからな」とため息をついた。
(うーん。けど、そもそも私が失踪なんてしなければ良かったんだし…………)
――根本の原因の私がアーダルベルトにお詫びをして、何が悪いんだろうか?
「だからよ、これは受け取れねぇよ」
「………………困ります」
「は?」
「だから、受け取ってもらえないと困るんです!」
「いや、だから……っ」
「アーダルベルト様の言いたいことはわかりました。ですが、嫌なものは嫌です!」
「………………へ?」
プイ、っとそっぽを向くと、アーダルベルトがポカンとした顔で口を開けていた。
(子供っぽすぎただろうか?)
だけど、こればっかりは譲れない。私にも譲れない理由がある。
――これには、アーダルベルトの未来がかかってる筈なんだから!
そのあと、アーダルベルトにはかなり抵抗された。だけど、これは譲れない。
最後には疲れた顔をしたしたアーダルベルトに『参りました』とばかりに、渋々だが受け取ってもらえた。
アーダルベルトを最後に落とした決め台詞は、
『もし受け取ってくれないなら、アーダルベルトにいじめられたと、ユリテウス王子に言ってみようかしらぁ?』だった。
(ハハハ…………ユリテウス王子の名前を出すだなんて、我ながら、姑息な手を使った自覚はありますとも)
――だけど、こうでもしないと駄目なんだって、思い出したんだよ。許してほしい。
(それにね、私だって、アーダルベルトから条件を出されたんだしね! お互い様だよね!
…………まぁ、それは、私にとって得でしかないものだったものだったんだけど。
そこはこの際、目をつぶったよね!)
アーダルベルトからは、『これじゃ、割に合わないからもっと仕事を増やしてほしい』って希望だったので、私に『護身術』を教えてもらうことになったのだ。
――うん。やっぱり諸悪の根幹の私、得しかしてなくね? うん。
いや、待て。…………そんなことを考えるのはよそう。
――今はアーダルベルトのことを考える時だわ!
(私の前世の死因は、カナリアにダミアンの目の前で刺殺されたことなんだよねぇ。また、あんな風に痛い思いをするのは嫌だ)
――それで、『これは、護衛術くらい学んでおいた方がいいはずだよね!』、ってことになった。私の中で。
だけど、私の予想していた想像以上に、『おうよ! 俺に任せとけ!』と張り切って意気込みまくるアーダルベルトは、予想外だった。
(アーダルベルトにほどほどで良いって言ったんだけど…………
ねぇ、アーダルベルトっ! 私、ほどほどで良いって言ってるんだけど、聞こえてませんよねぇええええええっ?!! 厳しすぎやしませんかぁあああああああ?!!)
やる気になってくれているアーダルベルトを傍目に、私はこの先、どんな過酷な護衛術の訓練が待ち受けているのかを想像してしまい、ブルリと身震いをした。
―――
私の知る前世の歴史ではアーダルベルトにはトラウマがあった。
――確か、当時の新聞にも大々的に載っていた筈だ。
当時歴戦の騎士団長だったアーダルベルトのお父様のハインリヒ・ヴォルフが討伐で大怪我をしてしまったのだ。
アーダルベルトは、父を救おうとしたようだが、そのときの治療薬は傍にはなく、取り寄せるには多額のお金が必要だった。
でも、すぐにお金が準備できず、充分な治療ができなかった、と書かれていた。はずだ。
そのため、騎士団長、ハインリヒ・ヴォルフの身体には障害が残ってしまい、その後、止むなく騎士団長を退くことになってしまったらしい。
しかも、最初の治療が充分に出来なかったせいで、その後、間も無くして命を落としてしまったそうだ。
だから、前世、その後に歴代最年少で騎士団長になったアーダルベルトに笑顔はなく、いつも暗いオーラを纏っていたらしいのだ。
まぁ、前世も引きこもりだった私は見たことはないけどね。
それに、今のアーダルベルトを知ってる私からは、黒いオーラのアーダルベルトなんて想像もつかないんだけど。
(それにしても、今の明るいアーダルベルトとは大違いだよね)
これは、王都での遊びが好きなダミアンが、馬鹿にしたように『どんなに騎士団長まで上り詰めても、笑顔の1つもない暗い男はモテないんだよ!』と馬鹿にしていたから知っているのだ。
その時、『妻も幸せにできない、女たらしがどの口で言うのだ』と思ったのは、仕方がないと思う。
(…………あれ?
そう言えば、前世でアーダルベルトのお父様のハインリヒさんが大怪我をした時期って、今頃じゃなかったっけ?)
――私ったら、なんでこんなに大事なことを忘れていたんだろう?
そんな差し迫った事実に危機感を迫らせながら、私は急いでアーダルベルトを救うために動いたのだった。
それはさておき。
アーダルベルトだけじゃなくて、あの時、私の失踪騒動で迷惑をかけてしまった人たちにはそれぞれにお詫びをした。
私と少年が立ち寄ったアインホルン侯爵家の喫茶店、あそこもその中の一つである。
私を対応してくれたあのときの店員さんにも臨時ボーナスを渡してもらっていたはずなのだけど、彼はなぜか私にただならぬ恩義を感じてくれたようだった。
(……なぜだろう?)
睨みつけた記憶しかない。
「ナウレリア様のお役に立ちたいのです!」
それを言うためだけに直接お礼にやってきてくれた店員、もとい、エドさんの熱意に、私の胸は打たれてしまったのだ。
エドさんにも、アーダルベルトを救うために一緒に動いてもらうことになった。
(まぁ、まさか、あの時のエドさんにまで手伝ってもらうことになるとは思ってなかったけどね)
エドさんには、アーダルベルトのお父様、今の現団長を救うために必要な『ヒメオウギ』という薬剤をアインホルン侯爵家の領地まで取りに行ってもらった。
これは、アインホルン侯爵家の領地にはあるのだが、生息地が限られているし、保管方法が難しい繊細な花なので、王都の薬屋には置けていない高級な花なのだ。
――だけど、ヒメオウギの効果はとてつもなく凄い。
神経や肉が抉れた酷い大怪我でも、ヒメオウギがあれば完治できるほどなのだ。まさに、前世のハインリヒさんの大怪我にも適応する逸品だ。
ただし、ヒメオウギはその性質上、王都での使用となると、保管方法の難しさや移動費用がありえないくらい高くかさんでしまうのだ。
それは、王都の一等地に豪華な家を建てられるくらいの金額が必要、という末恐ろしい花でもある。
(ふふふっ……けど、今みたいにあらかじめ用意するなら、アインホルン侯爵令嬢の私なら裏ワザがないわけじゃないんだよねぇ)
――秘密だけど、私は特別な力が使えるのだ。
おそらくこれは魔法と呼ばれるものなんだけど、ナランディア王国で私が魔法持ちだってわかったら、なおさら、ユリテウス王子の婚約者に押されてしまうだろうからね。
だから、今の私は誰にもこの力のことは言わずに隠している。
ユリテウス王子が嫌いってわけじゃないんだけど、前世のこともあって、結婚なんて考えられない。
ましてや、王子様とだなんて…………無理無理。
(まぁだから、前世でも私は厄介事を避けて『魔法が使える』ってことは隠してたけどね)
とにかく、エドさんには、おつかいを頼んで、特別な私の力を施した箱と手紙を渡したのだ。
そして、その特別な箱の中に、アインホルン侯爵家の領地でヒメオウギを渡してもらえるように書いた手紙を託して、無事に持って帰ってきてもらったのだった。
(前世みたいなハインリヒさんの大怪我がなかったら一番良いことなんだけど…………これで『もしも』のときの体制は万全だね)
――だけど、やっぱり運命は残酷だ。
アーダルベルトのお父様、ハインリヒ・ヴォルフ騎士団長は大怪我をしてしまったのだ。
使う時がなければ1番だと思っていたけど、今は準備をしておいてよかったと思う。
――ハインリヒさんを助けたい。
私も知らせを受けて動揺したけど、慌てるアーダルベルトに寄り添いながら、準備していた『ヒメオウギ』を渡した。
「っ!! こっ、これは、ヒメオウギっ?! なんでだっ?! なんで、姫さんがヒメオウギを持ってるんだ?!!」
「……ゔっ。そ、それは……えっと……。ハッ! アーダルベルト、そんなことよりもお父様を助けないと!、ですよ?」
「はっ! そ、そうだなっ! 姫さん、ありがとう!」
ヒメオウギがあれば、治療はスムーズに進むだろう。ましてや、今回のアーダルベルトはお金に困っていない。治療が出さないなんてことはない。
アインホルン侯爵家のお抱えの医者も付けた上で、騎士団長の治療をしてもらっているのだから、何があっても大丈夫だろう。
――――そして。
「っ!! あ……あっ……親父っ!! 無事で、よかったっ!!」
ヒメオウギの治療と、懸命なアインホルン侯爵家お抱えの医者のおかげで、騎士団長ハインリヒ・ヴォルフの大怪我は前世と違って、全て跡形もなく綺麗に治ったのだった。
(これで、ハインリヒさんが騎士団長を辞める未来はなくなったよね?)
ハインリヒさんが助かったとわかり、私は安堵から微笑みを浮かべた。
そんな私をアーダルベルトが熱っぽい目でジッと見つめていたことに、気がつかなかった。
―――
ハインリヒさんのことが落ち着いた頃に、唐突にアーダルベルトは私の目の前で跪いた。
(っ!! こ、これって……!?)
よく物語である騎士が忠誠を誓うやつなのでは?
「姫さん……いえ、ナウレリア・アインホルン様」
「え、は、はい?」
「我が忠誠を永遠に貴方様に捧げます」
「!!」
跪いたままのアーダルベルトは私の手を取り口付けた。
「今後、貴方様をこの命をもってお守り致します」
「…………」
アーダルベルトは私の手のひらを自分の頬に当てながら、私を見上げてきた。
(え、ええっ! ち、ちがうちがうっ! 私、こんなのを狙ってたんじゃない!)
――ただ、ハインリヒさんとアーダルベルトを助けたかっただけなんだよ! いわば、自己満足なんです!
「アーダルベルト様、そんなに畏まらないでください。私は助けられるのなら助けたい、とあくまで当たり前のことをしただけなんです」
(主に私が嫌な思いをしたくなかっただけ。)
感謝されることなんて、一つもしていないのだ。
改まってお礼を言われると、罪悪感が湧いてくるよ。
「………………やはり、あなたの心は美しいのですね」
うっとりしたようにアーダルベルトは私を見つめていた。
(え…………なんかヤバイ。変なものでも食べたの、アーダルベルト? )
というか。
「貴方様の美しさはこの世で1番です」
「…………えっ? まっ、待ってください! まぁ、とにかく! その話し方はやめて下さい!」
「……? あぁ、私のようなものに敬語を使ってくださるなんて……遠慮なく、私のことはアーダルベルトと、お呼びください。」
アーダルベルトは私の手を頬に当てたまま見上げてくる。
(ど、どうなってるのっ?!)
咄嗟に腕を引っ込めようとしたんだけど、痛くないけど離れない絶妙な力でアーダルベルトが私の手を包んでいるので、不可能だった。
「へわっ?!」
(ぬ、抜けない! 何これ! ぜんっぜん、抜けない! それでいて、全く痛くないわ!)
どうなっているのか、理解不能だ。
「ナウレリア様?」
(澱みのないキラキラとした清らかな目で私を見つめないで〜! わ、私のメンタルがぁあああっ!)
「……あっ、ああ、アーダルベルトっ!」
「はい」
名前を呼んでもらえて嬉しそうな顔をしたアーダルベルトがいた。
(なんだろう。こんなこと初めてだし、どうしてか心臓がどきどきするわ)
なんだか、アーダルベルトがアーダルベルトじゃないみたいだ。
今までアーダルベルトとは関わってきたし、初対面じゃないはずなのに。あれ?、おかしいな。
「あ、あのっ! 駄目です、からっ、ね? 私はユリテウス王子の…………っ」
(この先は言いたくない)
個人的感情で。
(ユリテウス王子の婚約者だなんて、言いたくない〜っ!)
「……わかり、ますよね?」
「はい。ですが、それがなんなのですか?」
「へ…………っ?」
(な、なんですと?!)
「俺の方がナウレリア様を大切に思っていると思いますよ?」
真面目な目をしたアーダルベルトと視線があう。
(きゃあああああああああああっ!!)
脳内は大混乱だ。
(真顔でそんなことを言うのは、冗談でもやめてほしい!
私には、恋愛経験なんてロクにないんだから、冗談でも真に受けちゃいそうになるんだよぉおおおっ!)
私の顔は一気に、かぁあああああああああっ!、と赤くなった。
「〜〜〜〜っ!! もっ、元に、戻して下さい。お願いです。むりっ、無理ですっ。限界です! 前の話し方でっ、お願いします!」
私はもう、息も絶え絶えだ。
(限界! ギブアップ! もうやめてぇえええええ!!)
「…………………………はぁ、そうみたいだな。この辺が姫さんには限界、みたいのようだ」
なにやら、アーダルベルトに手のひらで転がさら出るようで気に食わないけど、口調を元に戻してくれて助かった。
ほんとに渡っちゃいけない川を渡っちゃうかと思ったわ!
「…………」
まだ顔は赤いかもだけど、冷静になってきた。
「はぁ。姫さん、俺の気持ちは嘘偽りなく本物だけどよ、今はこれくらいに手加減してやるから安心しろよな?」
アーダルベルトは前のぶっきらぼうな話し方に戻し、私の呼び方も『姫さん』呼びに戻っていた。
(まぁいいわ。一安心)
と、思いきや……
「う、うひゃあっ」
「ハハハッ、姫さんの髪、気持ちいいな!」
「わわっ、何するんですか……って、えぇっ?! っ、きゃああああああああああぁっ!!」
(〜〜〜〜〜〜っ!! た、たかすぎだよ〜っ!!)
アーダルベルトは、赤い顔のままアーダルベルトから目を逸らす私の顔をわしゃわしゃ〜っ、とかき混ぜてきたのだ。
そして、『なんだなんだっ?!!』と混乱して私がアーダルベルトを見つめると、白い歯をニイッと満点の笑顔で笑いかけてきたのだ。
――そう、いたずらっ子のような天真爛漫さで。
そのまま、アーダルベルトは自然な流れで戸惑いなく私の脇に手を入れると、輝く笑顔のまま、何度も何度も『高い高い』を繰り返したのだった。
だけど、前世ではお父様のハインリヒさんの跡をついで、騎士団長になったアーダルベルトの『高い高い』はパワーが桁違いだから、尋常じゃなく高くて、怖かった。
(…………うん、ほんと、アインホルン侯爵家の高い天井に届くんじゃないか、って思うくらいの高さで。高すぎだった。
あれこそ、物理的に渡っちゃいけない川を渡るんじゃないかと思ったわ。)
満面の笑みのアーダルベルトに、何度も何度も、空中に放り投げられた私は、浮遊感と恐怖のあまり、そのまま呆気なく気を失ったのだった。
ほんと、死んじゃうかと思った。
結局、怒ったリリーに止められたアーダルベルトは、気を失った私を見て、
「〜〜っ! やりすぎた! 姫さん、すまねぇ!」と青褪めた顔で謝っていたらしい。
そして、「お嬢様をこんなにするなんてっ!」と、ぷりぷり怒ったリリーにかなりこってりと絞られたようだ。
リリー大好きよ。
―――
ナウレリアをリリーの指示のもとベットに運んだあと、アーダルベルトはリリーによってナウレリアの部屋から追い出されていた。
それに対抗することなく謝りながら部屋を出たアーダルベルトだが、
「――――こりゃ、ユリテウスが執着しまくんのも納得だな。……俺が先に姫さんの魅力に気がついていたらなぁ」と、ナウレリアの部屋の前で小さく呟いたのだった。




