第1話 全ての始まり
世界システムについて 著者:望眞幸
世界観とは宇宙、銀河、惑星、大陸、国家、団体、個人の順にそれぞれ上記を前提として成り立っている共通の概念、つまりはこの世の常識だ。
あなたが信じること、誰かが決めたこと、規則として定められたこと、世の理でそうなったこと、周知の事実又は未解明の事象それら全てが共通の概念、世界観によって構築されている。
つまり我々人類は広義で言えば同じ、狭義で言えば別々の世界を見ているのだ。それは語るまでもなく、誰しもが理解していることだろう。
誰かが為し得たことは可能であり、情報の拡散によって学習し我々も行うことができる。逆に誰もが為し得ず不可能とされた物事は誰がどうしようとも行うことはできない。
一般的な解釈としてはこの通り。
だが世界システムはその常識を覆すことができる。
一つ、オートヴィリバ第三人工島で検証を終えた実験がある。それは古い時代、第二次世界大戦の真っ只中で行われたフィラデルフィア計画の再現。
それが偉大なる発明家ニコラテスラが見た夢の続き、世界システムをこの世に見出す切っ掛けとなった要因だ。
その実験ではある人は燃え上がり、ある人は凍結し、ある人は壁に溶け込み、ある人は半身が透明になって発狂した。だがそのすぐ隣の部屋にいた数人だけが何の影響も受けなかったのだ。
前者の条件は外の景色が見える状態で未知の現象を目の当たりにしていたこと。後者の条件は外の景色が見えない状態で音楽を聴いていたことだ。
このことから私は、恐怖からきた被害妄想の有無による差異がこれらの結果を引き起こしたのだと結論づけた。
当時はまだ、未知の現象が世界エネルギーの生成される瞬間であると周知されていなかった。
正しくは、ニコラテスラはそれを秘匿していた。
そしてそのエネルギーが人間の無意識に強く反応する性質を持っているとも。
世界エネルギーとは常識を実現させる能力であり、世界システムとは上記によって構築された新たな概念、固有世界観である。
私はこれを利用することで我々人類が抱えている環境問題や自然現象を完全な管理下に置く計画を進めている。これを実現するには各国家の協力が必要だ。
何よりも諸君らに取って最もの利点は、奴隷がその立場に疑問を抱かなくなることだろう。
生身であろうが、機械であろうが。
計画に賛同するのであれば、エネルギーを生成する為の世界システムを提供する。
最後に一つ、決して忘れてはならないことがある。
それは世界システムとは彼の忘れ形見、ニコラの遺子であるということだ。
我々は文明の記憶者にして行為者である自覚を持ち、それを育む義務がある。
全ては人類として進化の果てへと向かう為に。