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色の無い夜に・Colorless Night~最凶妖魔王を倒すため最強呪刀を継承した俺は、魔王に反旗を翻した妖魔姫とじれ恋学園生活しながら妖魔を討つ!  作者: 兎森りんこ
第2章 制服の笑み花の涙

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地下鉄浄化作戦~梨里登場!~

 


 その日の夜

 麗音愛は1人、終電後の地下鉄のホームにいた。


「こんな大きいプロジェクトを当日昼間に伝えるって

 どういう事だよ……移動でバタバタ……」


 放課後に大慌てで椿と支度して、剣一と美子と新幹線に飛び乗った。


 報告会議以来、久々に美子と話をしたが

 美子は忙しかったんだ~と普通な様子だ。


 窓側に椿を座らせたが真っ暗で大した景色は見えなかったが、

 少しかかるGに椿は喜び

 麗音愛の気持ちも和んだ。



『新幹線乗ったらすぐじゃん!大した事ないない、夕飯も食えたし』


「もっと早く言ってくれたらって話だよ」


 ヘッドセットで剣一と通話する。


『決行当日判断でって話だったんだよ。

 他部署との連携もあったしさ

 本来お前や俺みたいに1人作業はしないんだよ、白夜は』


 作戦内容は、地下鉄のトンネル内に巣くっていると見られる複数の妖魔を

 あぶり出し、麗音愛と剣一で一掃するというものだった。


『できるな?』


「うん」


『麗音愛!』


「椿?」


 今回、上からの命令で椿は美子と同じ一掃後の

 浄化班での仕事についてもらった。


「椿、そっちは大丈夫?」


『うん、でも私も攻撃班に行きたい』


「今日は任せて、大丈夫。離れてごめん」


 今回はかなり大掛かりな作戦だったので、指示も上からきて

 麗音愛も椿の傍にいたかったが

 とりあえずが危険のない浄化班ということで納得はした。


『この距離だもん心配しないで、でもそっちには行きたい!』


「指示だからね……せっかく覚えた歴史忘れたら困るよ?」


『は~い、忘れないようにする……麗音愛、怪我しないでね』


 この前の、怪我をしてもいいと思ってるから? と雪春に言われてから

 椿は気にして言ってくるようになった。


「大丈夫だよ

 美子と一緒にいてね」


『うん! 一緒だよ。美子さんも、みんなも絶対守るから安心してね』


「一匹もそっちには行かせない」


『うん、麗音愛ばかりごめんね』


「椿が謝る事ないよ、待ってて」


『はい! 頑張ろうね』


「うん、了解」


 椿の通話は切れた。


『玲央も歴史忘れないでね?』


 剣一に筒抜けだったらしい。

 聞こえても構わない会話しかしていないが……。


 ぶつりと切って、

 作戦開始まで待つ。




 浄化班では、10数人の団員が待機していた。


「あら、藤堂さんとご一緒できるなら安心だわ~」


 年季の入ったおばちゃん団員が美子と椿に話しかける。


「いえ、私なんて」


「そして、また新しい若い人、入って嬉しいわ~渡辺さんよろしくね」


「はい!よ ろしくお願いします!」


 浄化班は年齢的に上の団員が多く、わいわい若い2人に群がって

 地元のお菓子を一つずつ渡された。


 無事に終わりますように、と最初に話しかけてくれたおばさんが言って

 自分の場所に戻っていった。


 皆、一般の方に見えるが今日此処にいるということは

 それなりの白夜団員ということだ。



「椿さん、あなたの正体バレないようにしないと駄目だよ」


「わ、わかりました」


「もう、敬語はなし」


 美子が微笑む。

 優しい微笑みに椿の心にあった緊張が解れた。


「美子さん」


「怖いけど、頑張るね。椿ちゃん、美子でいいよ」


「うん……! ありがとう美子ちゃん」


 戦闘員は自分だけだが、きっと大丈夫。

 少し離れても麗音愛がいる。

 でも、何かあった時は、私がここの全員を守る!!



 各部署で緊張が走る。




 準備は丹念にはしていたらしい

 でも、何か

 胸騒ぎがする。


「椿」


 また椿にコールする。


『はい』


「俺のところに炎を飛ばせられる? そこから……」


『うん、大丈夫。麗音愛のすぐ近くならできるよ』


 ポッと可愛い紅い炎が現れた。


「もし、何か危険が迫ったら、これを消して

 すぐ行く。俺もなにかあれば消す」


『麗音愛も感じる? なんだか、嫌な気持ち……』


「あぁ……いつもの雑魚退治とは違う気がする」



 作戦開始30秒前




『玲央準備しろ』


「してるよ」


 ずる……ズル……ズル……と

 麗音愛の足元

 地下鉄のホームの床から

 コールタールのような黒い泉が、噴水のように

 呪怨が吹き出していき

 黒い手や悲鳴のように叫ぶ顔が蠢き

 洪水のように溢れていきホームから線路にも流れていく。



 全て戦闘体制にさせる。1人なら守護の結界は不要だ。


 麗音愛にも黒い呪怨が身体や腕にも伸びて、晒首千ノ刀を構える。



 地下鉄の経路は

 南北に伸びた線路と東西に伸びた線路。

 その真ん中の駅ホーム

 上りの線路に麗音愛

 下りの線路に剣一


 ホームの向こう側に剣一がいる。


 ここに、あぶり出し班が端から徐々に追い込み

 麗音愛、剣一で一掃。


 一つ先の東のホームに浄化班が待機している。


 東から追い込まれた妖魔は通るが、結界を張ってるから素通りするだろう。


 ただ、何かおかしい気がする。


 今動いてしまえば作戦は失敗してしまう。


 なんだろう、この胸騒ぎ。


 プラスされた何か……

 徐々に強くなり、チリチリとするこの気配は……。

 と思ったその時



 ぶわっと予想外の空気孔から吹き出た妖魔が麗音愛に襲いかかる!!


「!! 兄さん!」


『は!? 何だ!?』


「紅夜会のナイトがいる!!」


 椿の炎を握りつぶす。きっと伝わるはずだ。


 襲いかかる妖魔を斬り落とし

 暗い地下鉄の線路を麗音愛は翼を纏って飛んだ。



「!」


 麗音愛の炎が消えた事を察した椿が隠しながらも細剣を具現化させた。


「美子ちゃん! 何かくる!! 皆さん!! 逃げてーーーーーーーーーーーー!!!!」


「え、やだ!? なに!?」



 突如、麗音愛と同じように予想外の場所から現れた妖魔に

 浄化隊は戸惑い、混乱する。


「きゃああ」


 驚き逃げ惑う団員の前に椿が細剣で立ち向かう。

 正体がバレるので炎は出せない。


「早く逃げて!!あっち!!」


 提示されていた避難経路を辿って皆、逃げて行く。

 それをかばって戦い、妖魔を蹴散らしていく。


 美子はどうにか、結界を張りつつ戦っているようだ。


 そこにホームを1人歩いて向かってくる男。


「よぉ、久しぶりだなぁ黒髪ロングの姉ちゃん」


「あ、あなたは……」


 震える美子の前に椿が立つ。


「お前、闘真(とうま)、だったな!?」


「姫様……俺の事覚えていてくれたんですね!!」


 笑顔になる闘真に少し戸惑う椿。


「私が相手をする!!」


「は?」


「ここで何をするつもりだ!?」


「姫様の顔見に来ました、俺らの行動は全部姫様の捧げものです」


「!」


「まずはその黒髪、殺してやるかなって」


 間髪入れずに、

 ヒュッ!と椿は細剣・緋那鳥を繰り出す。


「おっ!」


「ならば私がお前を殺す!」


 美子から距離を離すように、


「姫様、腕を上げましたね」


 あの紅の日とは違う。

 麗音愛との鍛錬で椿も格段に腕は上がっている。

 自信を持って踏み込み、闘真に一撃を加える。


 びちゃっ! と血が吹き出る闘真。


「姫様お見事!」


「!?」


 だがその血が床に落ちる事はなく、刃物のように形作られる。


「そうですよ? 俺の特別能力忘れないでくださいよ~」


「そんなもの!!」


 闘真が繰り出した血の刃を、椿は細剣で跳ね返した。

 だが闘真が繰り出した血の蜘蛛の糸が椿の左手を絡める。


「椿!!」


 麗音愛が駆けつけた。


「美子さんを守ってて!!」


 そう言い叫ぶと、左手で掴まれた糸を椿が自分に引き寄せる。

 多分、闘真は自分を殺すことはできない。


「狙いはなに!?」


「早く戻ってきてくださいよ」


 地下で爆破はできないが、メラメラと糸は燃やし尽くす。

 血の燃える臭い。

 闘真はニコッと微笑み八重歯が見えた。


「なんなの?? 結局連れて行くつもり!?」


「そんな事はしません」


「椿から離れろ!!」


 その後ろからすぐに麗音愛の一刀が入り、椿と闘真との距離を離す。



 しかし


『ちょっとおい、なに誰もいないの!?すごい数なんだけど!?』


 とヘッドセットから剣一の声。


「兄さん!」


「麗音愛は剣一さんのとこ行って!!」


「椿!」


「こんな奴私が殺る! 剣一さんを守って!!!」


「駄目だ!!」


「!」


「絶対に1人にはしない!」


 麗音愛の言葉にこんな時に心臓がドクンと音を立てた椿。

 椿より先に踏み込んで闘真と刀を交える。


「今度会ったら殺すって言ったはずだ!」


「紅夜様のお情けで生きてるだけだ! 調子に乗るな!!」


 狭い地下鉄内、麗音愛も無闇に動き回る闘真には呪怨での攻撃もできない。

 刀での応戦が続く。


「これから、俺たち各地でこうやって暴れてやるから。今日は夜中で感謝しろよ」


「なんのつもりでそんなことをする!?」


「なんで? 人間殺すのが仕事だよ」


 椿から離れるかのように、線路下へと麗音愛を誘う闘真。


「椿!」


「はい!」


 2人の瞳が合う。

 離れたくない。その気持ちが瞳で伝わってきた。


「私は大丈夫!! 1人になっても絶対大丈夫だから!!」


「美子と一緒に兄さんのところへ行ってくれ!! 2人で守り合いながら行け!!

 すぐ行く!!」


「行こう! 美子さん」


「でも……」


「大丈夫!」


 椿に向かって麗音愛は頷いた。

 向き直して、すぐ闘真の剣を交わし呪怨で足止めをしようとするが

 戦闘真の援護をするように、妖魔も次々と襲ってくる。



「椿を連れて行くつもりか!?」


「いや、姫様が自分で来るまで待つことになっている」


「行くことなんかあるわけがない!!」


「お前らは姫様を傷つけてるだろう」


「そんな事は……!!」


 そうは言っても、今までの事を思うと麗音愛自身も椿を傷つける白夜団の幹部が許せなく、

 ギリと歯を食いしばった。


「姫様は俺達が暴れるたびに責められ、迫害される」


「!! そんなわけあるか!!」


「お前も疲れて、いつか追い出す」


 闘真の一撃が一瞬のすきを突いて麗音愛の腕に当たる。


「俺がそんな事するわけがない!!」


「どうかな!?」


「お前らが破壊行動をしなければいい!」


 麗音愛が長い足で蹴りを闘真に入れる。

 その攻撃に苛立ったのか、闘真も攻撃の優先順を飛ばして

 麗音愛に蹴りを入れようと、踏み込んでくる。


「てめーは、姫様のなんなんだよ!」


「親友だ!!」


「親友だぁ!? 身の程知らずがぁ!!」


「お前らなんかより大事に思ってる!」


 かち合う刃。睨み合う男達。


「そんな訳あるかよ!! 俺は寵様を守るために生まれて生きてきたんだ!!」


 闘真が叫び、目を見開いて応戦する。


「!!」


「湧いて出てきたお前が寵様を語るな!!」


「……黙れ!!」


 ゾゾゾオゾ……と麗音愛の後ろ、全ての呪怨のうめきが、黒い闇の牙が首をもたげ

 闘真に向かって殺気を放つ。


 その真ん中にいる麗音愛は黒い晒首千ノ刀を構え、瞳がチラチラと紅く光り

 黒い影となったように揺らめいた。


「ここで死んで逝け」


「ほんとっ人間ってのは邪悪で恐ろしいな……」


 闘真が飛んで翻り、麗音愛から距離をとる。


「お前とやりあう気はねーよ

 ここで俺は退散するけど、地下鉄内部を破壊させてもらうぞ」


 ドン!! と線路に踏み込み振動を与えると

 暗い地下鉄の線路から、大量の妖魔がなだれ込んでくる。


「邪悪な小僧はここで喰われろ!」


「待て!!」


 闘真が行くルートを潰すように

 まるで地下鉄が到着したかのように妖魔の塊がホームへと突入してきた。

 斬り捨て蹴散らすが、追いつかない。


「くっそ!!」


 ぐじゅぐじゅと肉塊のような妖魔が迫り、麗音愛が血を流すことはないが

 ただただ時間がかかる。


「椿ーーーーーーーーーーーーー!!!」


 ヘッドセットは壊れてもう何も聴こえない。


 その時キラリと一閃煌めく。


「誰だ!?」


 茶髪でメッシュが入ったカールのロングヘアに、バサバサのつけまつげ。

 濃いアイラインに紅い唇。

 長い付け爪の手元には、金属の棍棒、メイスが持たれている。


「味方!東支部所属の鹿義梨里(かぎりり)、!まじやば!

 アタシの地元の地下鉄、壊されたら超困るってばー」


 麗音愛の後方に立った梨里がピースサインをする。


「遅れてごめんねん」


「白夜の?」


「そうだよ、やばぁ玲央イケメンじゃんラッキー」


 梨里の言葉には反応せず、狭い範囲でも地下鉄内部を壊さないように

 呪怨をまとって、飛び出す。


 ザクザクと、妖魔を串刺しにし、

 晒首千ノ刀でも、一気に雑魚達を一掃していく。


 梨里は、聖水も利用しているが、かなり力任せにメイスを操り妖魔を粉砕していく。

 短いニットワンピに厚底のスニーカーにレースのニーハイソックス。

 スニーカーには何か仕込んであるのか踊るように蹴りを入れると、また妖魔は潰れていった。


「あんっ!」


 梨里の後ろから襲おうとする妖魔を麗音愛が斬り捨てる。


「大丈夫か?」


「ふふ、やば~いつよ~い♡」


 ぺろりと梨里は舌なめずりした。




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― 新着の感想 ―
[一言] また、感想が全部ふっとぶような濃い味方キャラが!! 椿ちゃんは美子ちゃんと仲良くなれるのかなあとそわそわしちゃいます。美子ちゃんにはいろいろあったけど、今どういう気持ちなんでしょう。むずむず…
[一言] 紅夜達は、本当に一番嫌なしかも効果のある方法で椿を手に入れようとしてるんだ…… もう、本当に腹が立つ! 椿自身がいられなくなるように、白夜団が椿を追放するように暴れるって、本当に嫌な方法を思…
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