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へそチラ写真事件!その2


 椿のへそチラ・チアガール写真を麗音愛はどうにかしたい!


 休み時間になって麗音愛は写真削除を求め男子達に話を始めた。

 無視や罵声は浴びなかったが目立たない術の影響で、なかなか言う事を聞いてくれる男子は少ない。

 隣にいる椿の訴えを聞いてクラスの皆はやっと削除してくれた。 


 佐伯ヶ原は個展の件で休み。

 美子と西野も周りに伝えるが、そこまで多方面に面識があるわけでもない。

 そこに梨里と龍之介が話に加わった。


「んだって!? 椿の半裸写真!?」


「半裸じゃない! チアガールだ」


「玲央ぴ、姫~ダイジョブだって~あたし等に任せな」


「頼む鹿義。アフタヌーンティーでもディナーでもなんでも聞くから」


「ご、ごめんなさいみんな……迷惑かけて」


「椿は悪くないよ、何も気にしなくていい」


 麗音愛はそう言うが、必死に見える様子が椿を動揺させる。


「撮影可能って勧誘が始まってからっしょ~? 姫はその時もうジャージ着てたんだから出回ってるのは盗撮でしょ~」


「確かにな! 盗撮野郎は許せねぇ!」


 梨里の言葉に龍之介が頷き吠える。


「放送部と~新聞部のメンズに連絡したから! 昼休みにはちょっと放送で注意して解決っしょ~☆」


「すごいわね、ちょっと見直したわ梨里」


 感心する美子に、ふふんとピースする梨里。

 

「梨里ちゃん……ありがとう」


 サッカー部のマネージャーも話を聞いて謝罪しに来てくれた。

 彼女の写真も出回ってはいるようだが、嬉しい事のようで気が回らなかったとのことだ。

 驚いた事に短時間動画サイトなどにも自分のダンス動画をあげたらしい。

 

「嬉しい子もいるんだね」


 と椿がポツリと言う。

 

「椿も……もしかして嬉しかった? 俺一人が勝手に焦ってるかな……」


「私は恥ずかしいから、あんな写真見られたくないよ……ちんちくりんな姿で……やだ」

 

「俺は……俺の彼女の写真を他の男に変な目で見られたくない」


「麗音愛」


 ポッと赤くなる椿。


「だから、俺のわがままを見守ってほしい」


「わ、わがままだなんて……あ、ありがとう」


 こっそり手をつなぐ二人であった……が周りは全員、そのやり取りを見てニヨニヨしていたのだった。

(龍之介を除く)

 

 そして梨里の放送によって、事態は収まるように見えたが……。

 次の休み時間。


「ちょっと生徒会の許可が降りないからダメって言われたしー!」


「生徒会……?」


「個人的な理由での放送は使えないとか! 個人的じゃないっしょ!」


「……俺、生徒会へ行ってくる!」


 麗音愛が教室から出ていことしたその時。


「生徒会会長は僕だ!」


「えっ!?」


 声がした方を皆が見る。

 確かに剣一も生徒会会長当時にしていた百合紋章のピンを首元にする男が立っていた。

 今どき珍しい、角刈り頭のいかつい男。


「我が学園の大人気生徒会会長、北村(きたむら)正利(まさとし)だ!」

 

「一応顔は知ってるわ部長会議にいるから」

「あたしブサメンは知らないし」

「あー? なんかこいつ、見た事ある面だけど……」

「こ、この人……どこかで」

 椿も何か見覚えがあるような顔をする。

 実際は毎度の行事で挨拶はしているのだが、白夜団メンバーは生徒会に興味はなかった。


「こんな人いたっけ……?」


 つい、心の声が漏れてしまった麗音愛。

 北村は顔を真っ赤にする。


「き、君こそ! あの伝説生徒会会長の弟らしいけど! 君の存在なんか全く! 僕は知らなかったよ!」


「俺の事は知らなくてもいいですよ。お願いです。放送の許可をください。椿の望まない写真がこれ以上広まったら困る!」


「彼氏面はやめたまえ!」


「面じゃなくて彼氏なんだよ!」


 椿の指に指輪が光っていても、都合の悪い事は見えないらしい。

 あ……と椿が気付く。


「あ、この人……ダンパの時にステージに……」


 ダンスパーティーの際に開催された『高嶺の花の君へ☆告白タイム』

 そこに参加していた男子だと思い出したのだ。


「き、君はあろうことか、椿さんをさらっていった! 放送をしたいのなら、僕と歌で勝負をしろぉ!」


「う、歌!?」


 そういえば、椿はほとんど聞いていなかったが北村はカラオケで歌を歌っていたような気がした。


「それこそ私物化じゃないか!」


「お前の兄貴なんか、散々好き勝手やってただろう!」


「兄さんの時の事なんか知らないよ!」


 麗音愛はそれなりに、自分も歌は歌えると思っているが……。

 身を守るための篝の愛――認識されない術のため、多分物凄い音痴に変換されているのではないかと予想される。

 先日の話でもイケボには程遠いと言われていた……。

 キモボイスでは、歌ったところで負けは確実だ。


「カラオケじゃない勝負は? バスケゴール三本勝負とか100メートル走とか……」


「ダメだ! 僕はカラオケが得意なんだ! また椿さんに聴いてほしい……僕の心のこもった……デスティニーLOVE SONGを……」


「おえーキモ!」


 梨里が吐き捨てると、北村が睨む。


「黙りたまえ! このギャルが!」


「……くそっなんで三年になってからこんな強烈なキャラが出てくるんだよ……」


「川見先輩なんかより……僕が本当の恋敵だって事かな……?」


「私の事だから私が頼みます!! あの、お願いします! 困っているんです。放送で呼びかけさせてください!」


 椿が北村に近づき、頭を下げると北村は露骨にニヤついた。

 

「じゃあ僕とお付き合いしてくれますか?」


「サイテーだな! お前!」


 麗音愛が椿を自分の背に隠す。

 カオスな展開になってきた時、また琴音がやってきた。

 あ! と白夜団の皆が気付く。

 琴音が麗音愛の傍にいれば、麗音愛の呪怨も術も琴音に引き寄せられ麗音愛の存在がぼやけなくなる。

 

「玲央せんぱぁい! お困りですか?」


 自分の出番だとわかっているのか、キラキラして幸せそうな笑みだ。

 しかし麗音愛は、先程頼んだ件もあるのに更に琴音にまた頼っていいものか……悩む。

 椿も不安そうな顔をしている。

 

「玲央、一人で歌ってみろよ」


「西野……?」


 麗音愛の隣にいた西野が、ポンと麗音愛の肩を叩いた。

 

「俺さ、なんでかわからないけど……最近お前がカッコよく見えるよ!」


「それは……西野が訓練して力が増してるからなんじゃ……」


「でも、さっきも色んな人に話を聞いたけど、無視はされなかったじゃないか。声はきっとみんなに届くよ」


「確かに……」


 そう言われてみると、最近よく声もかけられる。

 声をかければ、応答してくれる……。

 何か変化が起きているのだろうか……。

 いつか夢で聞いた篝の声をふと思い出した。

 

「……そうだな……わかった! カラオケ対決受けて立つ!」


「麗音愛……!」


「先輩、私のこと使ってくださっていいんですよ? 隣にいれば先輩の歌は皆にしっかり届きます!」


「いや、俺一人の力で……勝つよ」


「そう……ですかぁ? ふぅん……残念ですぅ」

 

 麗音愛に背を向けた琴音はギロリと椿を睨んで教室を出て行く。


 昼間の放送でカラオケ対決、各クラスの学級委員長がどちらの歌が選ばれたか報告にくるという。

 勝てばそのまま生徒への呼びかけが出来る。

 

 ダンパで手伝った音響のメンバーは放送部だ。

 あれ以来のメンバーとの再会。

 

「あれ? 君、咲楽紫千君か~? なんか垢抜けたね! 急な事でバッタバタだよ! 手伝って!」

 

 収録部屋で麗音愛も白夜団メンバーもワイワイとセッティングを手伝う。

 北村は仁王立ちでその場に立っているだけだ。

 

「全校生徒の前でとか、普通に緊張するな……」


「うう……こんな事になるなんて……ごめんね麗音愛」


「椿、応援してくれる?」


「も、もちろんだよ、一番応援するに決まってる!」


 椿が両手に拳をつくりブンブンと振り回す。

 可愛いと麗音愛は微笑むが、二人の間に挟まる北村。

 

「じゃあ僕が先に歌わせてもらう。曲は『デスティニー・ラヴ』」


「え!? 曲まで決められるのかよ……ベタベタのラブソングか」


 昨年からずっと流行っているラブソングだ。


「椿さんのためなのだから、当然だよ……ふっふっふ、ダンパ・リベンジだね」


 最後に決めの北村ウインク。

 頼み事にかこつけての勝負、何が自分のためなのかと初めて一般人にイラッとする椿。


「麗音愛……お願い、勝って!」


「……あぁ、わかった!」


 突然のカラオケバトル開始――!



 

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― 新着の感想 ―
[良い点] 謎の学園カラオケバトルが始まるwww [一言] 新章開幕おめでとうございまーす! 直接ではないけど 闘真のバラが椿に受け取ってもらえて良かった 毎回受取拒否されてたもんね…( ;∀;)…
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