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色の無い夜に・Colorless Night~最凶妖魔王を倒すため最強呪刀を継承した俺は、魔王に反旗を翻した妖魔姫とじれ恋学園生活しながら妖魔を討つ!  作者: 兎森りんこ
第2章 制服の笑み花の涙

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心が麻痺していくとしても

 

 二日目からも椿の学校生活は順調だった。


 明るい教室で、先生の話を聞いて知らない事を学べる事に椿はとても喜びを感じた。


 熱心に質問してくる椿に先生方も驚きながらも熱意ある説明をし

 二組の生徒達も今更勉強に興味が沸いてワイワイとクラスの雰囲気が良くなり、それも噂となった。


 『楽しいよ』と一言メールを見て、麗音愛も安心する。


 カッツーがぎゃあぎゃあと椿の噂をしてくるので、大体が把握できる。

 放課後に話すと『なんで知ってるのー?』と驚くのを見るのも楽しい。


 麗音愛は興味を持たれないので、意地悪く仲間外れにされた事はない。

 親友と呼べるような友人ができたことはなかった。


 呪いの事など知らなかったので、自分のせいなのだろうと孤独を感じていた。


 だけど今、椿と色んな事を楽しく話して、買い食いして、小突きあって、競い合うそんな今に麗音愛も楽しい充実感を覚えた。


「今日は塾なんだね」


「そう、塾がある日はまだ俺とまっすぐ帰って」


「うん」


「そして、夕飯を食べ、宿題をして風呂に入って歯磨きをして……寝る」


「わかってるよー!! そのくらい!!」


「よし! じゃあ走って帰ればまだ時間あるから屋上で鍛錬するか」


「もちろん!」


「負けたら明日ラーメンとカレー大盛り奢り!」


「おおお!! 燃えるね!」


 麗音愛は、普段は呪怨を使っての行動はしないと決められた。

 その分、椿は元々の身体能力が人間よりかなり秀でているので全力で走っても、実際負ける確率の方が多い。

 なので男女差でも、二人とも全力だ。


「はぁっやばいっ負ける!!」


「このまま屋上行っていいの!?」


「よっし! 屋上行くなら、使っていいよね」


「あ、呪怨!?!! ずるい!!」


「あはっ! ほら!」


 椿の手をとって、飛び上がる。

 くるっと回って屋上に着地。


「怒られるよ?」


「バレないよ! ……うわメールきた」


「ほらね」


 見張りがどこに潜んでいるのかわからないが、麗音愛が不必要に力を使うと警告がくる。


「まぁいいや、さ! あと15分しかないよ」


 屋上は咲楽紫千家の庭として使われている。

 剣五郎の稽古場でもあって二人も、鍛錬の場として使っていいことになったのだ。


「いくよ!」


 竹刀を持って制服姿のままの椿がスカートを翻し麗音愛に切り込む。


 ◇◇◇


「やっぱ強いな椿は」


 二人で決めたルールでの勝負。

 今日の勝ちは椿。


「えへへラーメン! カレー!」


「じゃ、明日学食だな。塾行ってくる」


「はーい! いってらっしゃい」


 塾で講師の話を聞きながら、真面目に勉強。そして夜の道を帰る。

 それが未来の自分のためだと思って努力してきたが……。


 両親が、晒首千ノ刀の影響がどれほど麗音愛にあるのか必死に調べているようだ。

 身体的には健康だけど、ある日ぽっくり飲み込まれて死んでしまうかもしれない。


 なんだか昔から、嫌だなと思っていた路地に、蠢く怨霊が見えた。


 トンと右足を強く踏んで、自分の呪怨に引き入れる。


 ……ぽっくり死んでしまうかもしれない。

 その事に何も思わなかった。


 色んな感情が鈍くなっているんだろうか?


 椿は夕飯食べたかな……そんな事を考えていたらマンションに着いてしまった。


 自分を見張るなんて、つまらない仕事をさせて申し訳ないと思う。

 見張りを強要したのは母と逆勢力の派閥だというし大人しくしなければならない。

 のはわかっているが放課後の帰り道に使ってしまった……。


 夜一人でいると研ぎ澄まされた神経で見張り相手の場所がわかる。

 そちらに向かって微笑み、会釈してマンションに入った。


 ちょうど椿から『おやすみなさい』とメールがくる。


 今日も平和でいい日だったと思って寝るようになった。


 椿は、呪われた黒い怨念の、憎しみ溢れる怨霊のカーテンに包まれる。

 それでも椿は安心して眠る。

 それは麗音愛が全ての呪怨を統制している事を知っているからだ。


 チリチリ、キリキリと骸骨の骨の音が眠る麗音愛の鼓膜を揺する。


 肉が崩れ腐れて落ちる音がする。


 湧き出る呪いは麗音愛に襲いかかってくる。

 麗音愛はそのまま一瞥すると布団をかぶって眠りについた。


 ◇◇◇


「おはようございます~お邪魔します……」


 早寝の椿は早起きで朝一番に来て、早炊きでご飯を炊く。

 味噌汁は即席だがお湯を注ぐと良い香りが居間に溢れる。

 電子レンジで作れるおかずを並べる。


 朝は急いで出る家庭なので、それで十分。


 バタバタと出ていく家族を横目で見てふぁーとあくびをする麗音愛に、椿が味噌汁を運んできてくれた。


「おはよう麗音愛」


「おはよう……なんか色々させてごめん」


「当番だもん! ……麗音愛眠そうだね……大丈夫?」


「あぁ……ふわぁーうん、大丈夫、なんか変な夢見たっていうか、うるさかったっていうか」


「麗音愛……本当に大丈夫……?」


「あ、いや、そんな深刻じゃないから。珈琲でも淹れるかな」


「珈琲どうやって淹れるの?」


「まずお湯を沸かしてさ」


 心を平穏にしていれば、何も恐ろしくもない。

 椿が笑っている世界は平和だ。


「うぐっ苦い! わっ! にがっっ!! ……もう、何笑ってるの……ふふっ」


 今日も椿は笑ってる。


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― 新着の感想 ―
[一言] 椿も学校生活を楽しんでいて良かった。 いろんな事がうまく行っているのがやっぱり嬉しい。 レオン2のどこか孤独を感じていた部分も椿といればかき消される。 二人がこのまま……そう願わずにはいら…
[良い点] カラレス一周年おめでとうございます! 紅夜との戦いの中で、椿ちゃんとの絆を深めた麗音愛。美子ちゃんの隠された事実や、家族の麗音愛への本当の想いも分かって、息づく間のないお話で目が離せなか…
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