ドキドキミニ文化祭~頑張るカップル!麗音愛&椿~
「お待たせしました、アイスコーヒー2つです」
白ウサギ椿がアイスコーヒーを机の男子2人に配る。
パンプスも用意されていたが、椿が歩けないと言ったので運動靴だ。
「椿さん可愛い~一緒に写真撮ってください!」
学ランを着ているのに、それでも網タイツ足を見て男子生徒達はニヤける。
「白ウサギは撮影禁止です、あっちのチシャ猫達とどうぞ」
割り込み、麗音愛が微笑んだ。
「えぇ、なんだよお前……でも、すっげぇ梨里さんと写真撮ってもらおうぜ」
「だな」
黒ギャル集団に目を奪われ、もう男達は麗音愛の話など聞いていない。
「ウサギさん、こっち注文お願いしますー」
「はい、ご注文どうぞ」
即座に麗音愛が動き、椿には女生徒のテーブルに行くように促した。
「えー男は呼んでないのに」
「俺もウサギなんで。食券確認します
コーヒードーナツセットですね」
教室の端の調理係に食券を渡す。
出来上がっているスイーツを皿に乗せ、飲み物を紙コップに入れる簡単なお仕事だ。
しかし予想以上の混み具合に皆がパニックになっている。
仕方なく麗音愛も中に入り、用意したそれを持って机に向かう。
「ドーナツセット2つお待たせしました。……おい鹿義!!」
「はい~カシャリ♪
は~い500円あんがとぉ~玲央ぴなにぃ?」
「お前も手伝えよ!!」
梨里の黒ギャル集団とメンズ達は、撮影コーナーで撮影に夢中だ。
しかも撮影で金をとっている。
なのに、廊下まで行列ができている。
教師も注意もしない、自由過ぎる。
「こっちは撮影会で忙しいから〜それとも玲央ぴがこっちやる?」
「やるわけないだろ!……あ、椿! 俺も運ぶよ」
「うん、ありがとう」
1人で沢山運ぼうとする椿を止めた。
麗音愛が働いて、やっとまわっている状態だ。
「早く食券出せ!
急いでんなら自分で受け取ってこい!
まだ空いてねぇからそこで待ってろ!」
「……佐伯ヶ原、お前は調理にまわれ……」
佐伯ヶ原のアリスは接客が酷すぎるので調理係に回したが、もちろんやる気がない。
「佐伯ヶ原、オレンジ、アイスティー、サンドイッチ頼む」
「はい! サラ!」
麗音愛の注文は嬉しそうに聞き、用意が早い。
「椿、あっち」
「はい」
「麗音愛、これ」
「うん」
椿とは短い言葉とアイコンタクトで、まるで戦闘時のように阿吽の呼吸でホール内の客を把握しあった。
それでもどんどん客が来る。
テイクアウトも可能だが、皆が店内で食べたがる。
「咲楽紫千君、どうしよう」
「サラ! できました!」
「麗音愛、こっち片付け終わりました~!」
「食券が! 玲央君!!」
何故だか麗音愛中心に喫茶店がまわっていた。
「玲央お疲れ様、大忙しね」
「美子」
麗音愛のアイデアで時間入れ替わりと予約制になり
少し店内が落ち着いた頃、美子が現れた。
今日は珍しくポニーテールにしている。
「すっごく並んでたね~予約できて良かった」
「うん、1人?」
「そう、図書部抜けてきたから……
玲央は3月ウサギ? 椿ちゃんは学ラン? 可愛いね!
で……ぶふっ!!」
漂流アリス佐伯ヶ原を見て吹き出す美子。
「おい! 図書部長」
「わ、私そこの調理のとこの隅の机でいいわよ。ぶっふふふ
あーはははは!! 美術部長を応援しながら食べるわ! あははは!!」
麗音愛もびっくりの大爆笑だ。
「くっくっ……ぶ……アイスティーとドーナツお願い」
涙を拭いながらそのまま自分で食券を佐伯ヶ原に渡す。
「覚えておけよ」
「いいじゃない、似合ってるわ」
「芸術にしてやったからな」
「世界のSAEKIGAHARAだものね」
「そうだ、ほらよ食え」
ドン! と佐伯ヶ原が出したアイスティーとドーナツを受け取る美子に麗音愛が話しかける。
「あの、美子」
「ん?」
「ちょっと相談したい事あるから、放課後空いてる日あったら頼む」
「あ、そうなの。いつでもいいよ」
「ありがと助かる」
「私の方がいつもお世話になってるもの」
「そんな事ないけど、ありがとう」
なんやかんや話をしている美子と佐伯ヶ原から離れて、麗音愛は椿の元に行く。
「椿、疲れてない?」
「うん、でも大変だね。働くのって」
ただの高校生の遊びでも、なかなか忙しく疲れる。
「混みすぎてたからね……もう予約制にしたし
休み時間はゆっくりしようね」
「うん……!」
可愛い学ラン白うさぎに微笑まれ、麗音愛の頬も緩む。
「こんなに手伝ってもらってありがとう……ごめんね。違うクラスなのに」
「椿と一緒だから、楽しいよ
大変だけど、いい思い出になる」
「麗音愛あ、あのね
1年生の展示でね、一緒に行って名前を書くと
ずっと仲良しでいられる泉があるんだって、そこ行きたいな」
恥ずかしいのを堪えるようにして話す椿。
ただの子供用プールに装飾したようなものらしいが、確かに話題になっていた。
「うん、いいね」
めちゃくちゃカップルぽい。幸せを感じる。
「店員さぁん!!
アイスコーヒーだけだったんだけど~セットにできるのー!?」
呼ばれて、麗音愛が対応に向かった。
椿も少しの休息だったと、時間に来た客を出迎えに教室のドアに向かう。
「こんにちはぁ」
「あ、琴音さん……こんにちは」
にっこり微笑む琴音がいた。
いつもありがとうございます!
もう少しミニ文化祭が続きます!
カラレスはバトルと恋愛のお話が両方濃いので
どういった部分がお好きかお聞かせ頂けると嬉しいです(#^.^#)
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ありがとうございます
次回、琴音回です!