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ミニ文化祭の準備~れおつば青春それぞれの~

 

 ミニ文化祭の日が近づき

 放課後に椿もクラスで喫茶店の準備をしている。


「メニューはアイスコーヒー、アイスティーとオレンジジュース。

 ドーナツ、クッキー、ロールケーキ、サンドイッチ~!

 美味しそう~麗音愛に食券買って渡そうっと」


 チョキチョキと食券をハサミで切り、ハートの模様を赤色のペンで塗っていく。


「ただ紙コップと紙皿に移すだけだけどね~」


「それでも、お店屋さん初めてだから楽しみだな」


 椿フレンズも、教室内を飾るトランプを作ったりメニュー表を描いてる。

 地味だが、お菓子も食べつつ皆楽しそうだ。


「アリスのティーパーティーの配膳係は~

 エプロンは制作済み!下は制服でもオッケーね。着たい人は各自用意かぁ

 今日さ~トン・キポーテでメイド服みんなで買わない~??」


「いいね!」「行こう~!」


 ゆーちゃんの提案に皆が乗る。

 その声を聞いて指示を出していた梨里が近づいてきた。


「姫~!!

 姫はあたしが用意するから、買わないでー!」


「え? 梨里ちゃんが?」


「そうそう、めちゃカワなの準備しておく~

 玲央ぴも大喜びするよ、あ、亜門も~って、どこ行った??」


「佐伯ヶ原君は美術部の方にもう行っちゃった」


「まぁ問答無用で着せる

 わかったぁ? 姫」


「でも、私だけそんな特別にしてもらうわけには……」


「もち! あたしらも着るし~姫もいっぱい手伝ってくれるって言ってたじゃん?」


 あたし達というのは梨里のとりまきメンズや黒ギャル仲間だろう。

 今回は梨里が企画リーダーになっている。


「うん、それはもちろんお手伝いさせてもらうね」


「目立ちたい子の希望は聞いてるから、姫も頼むね~」


「うん……あんまり派手なのは嫌だよ」


「きゃは、まぁ大丈夫大丈夫

 あ、あと、みんなメイド服買うんだったら黒か赤ね!」


「はいよ~了解」「オッケー」


 意外にも梨里と椿フレンズとは仲良くやっているらしい。

 白ギャルと黒ギャルの共存か。


「リリィの用意した衣装ってどんなんだろう

 椿はアリスかな?」


「そんなの私がやれるわけないよ。でもちょっと心配……」


 露出の多い梨里の用意する服は心配といえば心配だ。

 それでも今回のアリス喫茶の準備を梨里が頑張っているのを知っているので

 今更口を挟む事はできないとも思う。


「椿も今日行こうよ、バレンタインの準備するでしょ?」


 みーちゃんが優しく微笑む。


「う、うん……!」


「つばちん、玲央君にチョコあげるんだね~

 彼女だしそりゃそうか」


 詩織はダンパの時に一緒に踊った男子はいたが

 結局付き合うには至らなかったらしい。

 カッツーには秘密にしている。


「うん、何がいいかなって考え中」


「玲央君は優しいからきっとなんでも喜ぶよ」


「うん」


 ミニ文化祭に、初めてのバレンタインデー。

 椿も最近はずっとバレンタインに渡すスイーツの作り方を調べていた。

 穏やかな幸せを感じながら、椿はまたハートを赤で塗りつぶす。


 ◇◇◇


「へー確かにあったかもなぁ道場、咲楽紫千の家だったんだ」


 麗音愛のクラスでは、昔の町並みを再現したジオラマを作る予定だったが

 手間も予算もかかるので結局地図を描いている。


「剣道やってたの?」


「うん。中学までね」


「剣一さんもやってたもんね~!

 写真見た事ある!!」


「兄さんは中学の途中でやめたかな」


 そこそこ強かった兄が、剣道をやめたのも今思えば中学生で白夜団に入団したからだろう。

 当然だが、妖魔を倒す剣術と剣道は全く違う。

 

「クラスの咲楽紫千君の家でーすって書いていいでしょ?」


「昔の道場の頃の事だしな……うん、いいよ」


 女子が書き込む横で麗音愛は地図に色を塗っていく。


「咲楽紫千君、手際いいね~」


「色々、裏方やってるから慣れてるんだ」


 図書部のポスター作りなども手伝ったものだ。

 この前は刷り上がった広報誌を運ぶのを手伝った。

 美子に最近あまり手伝いができないことを詫びると『さすがに恋人のいる男の子に毎度頼めない』と言われてしまった。

 それでも以前より良い関係が保てていると思う。

 

「あんまり話す機会なかったけど、頼りになるね」


「うん、すごく大人しい人なのかと思ってたのに意外だった~!

 今度椿ちゃんも誘って、みんなでカラオケでも行こうよ~」


 少し話すと皆、こういう反応が返ってくる。

 それでも何事もなかったかのように、また皆忘れていくのだ。

 今はもう、それも受け入れられるようになった。

 椿を守り、皆を守るための力だと信じられるようになった。


 それは自分の存在を見つめ愛してくれる椿がいるからだ、なんて思う。

 

「なんだよなんだよ、玲央ぉお!

 お前だけー!!」


 カッツーが叫ぶ。


「はいはい、じゃあバトンタッチ」


 麗音愛は静かに、カッツーに筆を渡した。


「おおう!! あ? ここ赤?」


「ちょっとぉ!! やだ! そこはベージュ!!」


「おおおおんん!?? ベ、ベ!?? これか?? あああハミ出るぅうううう!!」


「ざけんな!! あんたどっか行きなさいよ! バカ!!」


 女子達からの罵声が響く。

 その声に釣られて西野も見に来たが、学園の大きな校舎もはみ出て塗られていて苦笑した。


「玲央ぉおおおおおお 助けてクレヨン!!」


「ったく……筆はこう持つんだよ。べちゃっと付けないでさ絵の具も少しだけ……」


 ガタガタの校舎部分を直すように綺麗に塗っていく。

 今度は女子達から、おお~っと声があがった。


「玲央!! ちょっとだけ尊敬してやった! 俺のこと助けてくれて……。

 お前、俺の事狙ってるんじゃないか?? 好きなの? 俺の事」


「なんだその思考回路は」


「最近俺、姉ちゃんの漫画読んでさ、すげーんだわ……学ランと学ランがさ……」


 カッツーにまた余計なスキルが追加されたらしい。

 考えたくもない。


 麗音愛は西野に話しかけることでカッツーを遮断した。

 石田も地図制作に加わり、なんとか当日までに完成しそうだ。

 久しぶりに高校生らしさを麗音愛も感じる。

 青春の真ん中にいるんだな、と思う。

 

「お前は当日はまたどっか裏方?」


「今回は椿の、2組の喫茶店に行きたいから何もしないよ」


 椿に、何度も遊びに来る事と、椿の休み時間に一緒にまわる事を約束されていた。

『絶対だよ! 麗音愛! 休み時間待っててね!』

 その必死さを思い出すと可愛くてニヤける。


「じゃあ俺も一緒にまわるぜ!!」


 またカッツーが叫んだ。


「絶対にやめてください」



いつもありがとうございます!

日常学園回でした。

椿の衣装、嫌な予感がぷんぷんします!

どうなる事やら??


皆様の感想、ブクマ、評価、レビューにいつも助けられています。

もし気に入って頂けましたらどうぞよろしくお願いします。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 懐かしいです。このお話を読んで、自分の高校時代の記憶を懐かしく思い出していました。 いや~若いって、青春って、いいですよね!
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