悩みの青春男子!麗音愛!!
17歳男子、麗音愛。
またいつものように学校の机で参考書を読んでいた。
任務で塾にも行けない事も多く、遅れもある――が、全く内容は頭に入ってこない。
チラチラと椿のあの時の顔、舌で感じた唇の感触が脳裏をよぎる。
その横で、西野が彼女持ちの石田に話しかけた。
「石田~……お前、彼女に振られたか? 昼にいるなんてさ」
「俺のこの顔見たら、順調だってわかるだろ」
テッカテカな顔で笑う石田。
「で、どこまでいったんだよ」
「ふ……そんな話、此処でできるかよ」
「くそぉ……カッツー! 石田が調子乗ってんぞ!」
「なぁにぃいいいいい!? 死ねぇええ玲央ぉおおおおお!!」
カッツーが麗音愛に襲いかかる。
「なんで俺なんだよ!!」
「てめぇ、俺の椿ちゃんと大人の階段登ったりなんかしたら
俺の呪いでお前は死ぬ!!」
「お前の椿ではない!」
「お、玲央の俺の女発言くるか~?」
石田と西野がニヤニヤと麗音愛を見た。
「……椿は椿自身のものだ」
「つまんねー」
「たまには惚気けろよ」
「はぁ~~~~~~!! うるさいよお前ら……」
麗音愛から漏れたクソデカため息。
そのまま机に突っ伏した。
キスをした時に気持ちを抑えられずに、ほんの少し先へ進んだだけだったのだが
あれから椿の態度がぎこちない……気がする。
2人きりにもなれていないし当然キスもしていない。
危険な男だと思われたのだろうか。
でも、本当に少し、ほんの少しだったのに!!
ディープキスのデもいってない!!……のではないかと思う。
「はぁ~~~~~~……」
そんな事ばかり考えてしまって、勉強も身に入らない。
「ちょっと椿のとこ行ってくる」
たまには自分からも会いに行こうと、立ち上がった。
「俺も行くぞぉおおおお!! 玲央ぉおおおお!!」
「やめとけカッツー、ほらグラビアでも見ようぜ」
「ぬおん!! レロレナ!!」
2組の教室を覗くと、椿が椿フレンズとお菓子を食べてるのが見えた。
「あれ、玲央ぴ~どったの?」
梨里がセーターを着ててもわかる巨乳を揺らして教室入り口にやってくる。
また肌がこんがり焼けて、すっかり黒ギャルだ。
「今さぁ~2組でやるコスプレ喫茶みんなで考えてたの~
アリスとか可愛くね?」
「へぇ、アリス……いいんじゃないかな」
バニーガールに比べたら健全も健全だ。
ふっとアリスの水色の衣装を着た椿を思い浮かべた。可愛い。
麗音愛に気付いた椿もやってくる。
「麗音愛どうしたの?」
「あ~玲央君! こっち来るなんて珍しいじゃん」
「こっち来て話そう!! 2人が付き合ってからお茶も行けてないもんね」
「おいで~お菓子あるよ!」」
椿フレンズに呼ばれて女子会に引っ張られる麗音愛。
カースト上位の女子が集まっていて、これまた視線が痛い。
「久しぶりだね、玲央君」
詩織が猫のように微笑んだ。
「あ、どうも」
「つばちん、恥ずかしがって
あんまり玲央君の話しないんだよ~」
「そうなんだ」
「ねぇねぇ、2人の時ってどんな事してるの~?」
彼氏がコロコロ変わる加代が興味津々で聞いてきた。
「やめなって、椿はそういう話は苦手なんだから。
玲央君に話されるのだって嫌でしょ」
「みーちゃん……」
「ただのコイバナじゃん」
麗音愛は、まぁ椿がそういう話は苦手だろうなとはわかってた。
「ゲームしたり、だよね椿」
「麗音愛、うん! そう!」
「親友の時と変わってないじゃ~ん、キスくらいしたの?」
「えっ」
『今はその話題は避けて頂きたい!!』麗音愛は叫びたくなる。
チラッと椿を横目で見ると、椿は困り顔で真っ赤になっている。
「もう、やめなって! 椿、玲央君とお散歩行ってきたら?
玲央君ごめんね~ここ肉食女子ばっかだから~」
「何さ! みー、いい子ぶっちゃってさ」
「加代、言い過ぎ~くすぐっちゃうぞ!」
「やん! あはは! ゆーちゃん! やめてぇ!」
ゆーちゃんが加代の言葉を和ませるように、くすぐって大笑いの大騒ぎになった。
それを合図に席を立つ2人。
「つばちん、玲央君ごめんね。またお茶会しよ~」
「うん、じゃあまた」
「1階の自販機でジュース買ってくるね」
椿はカーディガンを羽織って、足早に教室から出ていく。
「ご、ごめんね麗音愛
私がやめてって言わなきゃいけなかったのに」
「俺が急に行ったから、椿は悪くないよ」
手は繋がないまま、階段を降りていく。
「今日は俺、塾だから」
「うん、私ちょっと本部に行ってくるね」
「え、会議?」
「ううん、少し用事が……それで土曜もちょっと……」
ちょっと、なんだろう?
気にはなるが、そこは聞かない。
「そうなんだ、うんわかった」
「でも、あの土曜日の用事が終わったら一緒に……遊んでくれる?」
日曜は任務が入っているので、貴重な土曜日だ。
「うん! もちろん」
「良かった」
笑う椿に安心する。
「どこで何したい?」
「う~んと……」
「ゲーセンでも行こっか」
本心は2人でゆっくり過ごしたかったが、今の状況では言えるわけもなく。
「わぁい! 楽しみだな」
なんだか椿の顔がホッとしたような……。
そう見えるのは自分の自信のなさだ。そうだ、と麗音愛は首を振る。
ぎゅっと椿の手を握った。
「ほわぁ! だ、だめぇ!!」
「え!?」
「あ、えっと……触っちゃダメなの」
「ダメなの……」
まさか、接触禁止!?
「い、今はまだ……触ったらダメ……」
「え??」
「大丈夫だといいんだけど」
「え……」
「あの、多分土曜日にお話できると思うから」
「話……?」
「うん……大丈夫だといいんだけど……お願い待ってて」
「……うん」
不安そうにして、またぎこちなく笑う椿。
わからない、わからない……わからないけれど
キッカケは多分、あのキスだ。
そう思うと麗音愛は何も言えず、アイスコーヒーのボタンを押した。
いつもありがとうございます!
れおつば青春回です(#^.^#)ミニ文化祭も着々と進んでいるようです。
(実は)椿と梨里は同じクラスなんですよね
しばらく麗音愛の青少年お悩み回が続きます(#^.^#)
また続きを読みに来てくださると嬉しいです!