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新七当主対面!

 

 夕方からの会議。本部で団服に着替えた2人が会議室に入る。


「よお、お疲れさん」


「兄さんもお疲れ様」


 剣一や雪春以外に、知らない男達が当主席に先に座っている。琴音も座っていて手を振られた。

 当主は団服に紫色のラインが使用されるが琴音の制服にもその紫色のラインが入っており

 白夜団内での琴音の地位は、加正寺家当主という事になったようだ。

 今回はあの老人当主達の退任報告と、新しく当主となった面々の紹介が始まった。


「それでは、新当主の皆様、ご挨拶をお願いします」


加正寺かしょうじ 琴音ことね16歳でーす」


 琴音が年齢を言った事で、次の当主達も皆が続いて年齢を言う。


恩心おんこころ 月太狼つきたろう22歳です」


滑渡なめわたり 拓巳たくみ20歳です」


さく 海里かいり21歳です」


 雪春や椿はもう知れ渡っているので紹介は省かれた。


「……随分若い人達ばかりだね」


「孫世代だな。老人共の子供世代は自分の会社の経営や資産運用に手一杯なんだろう」


 静かに咲楽紫千兄弟が話す。

 本来の妖魔から人を守り、紅夜を滅する目的の白夜団からの目的とは随分離れてしまった一族。


 その後会議では、大晦日での戦闘で起きた経緯や被害報告がされた。 


「ふふ、制服の当主色の紫。お揃いですねぇ」


 休み時間に琴音が椿に笑いかけてくる、椿も戸惑いながら笑顔で接した。


 新当主達はまだ若く見えるが老人達のように傍若無人な振る舞いはない。

 恩心家と滑渡家では前当主が実は同化をしておらず保管されていただけという事も露呈した。

 しかし白夜団としては不問とし、新当主は同化への修行を続けるという。


 椿と琴音以外は全員男だ。

 桃純家当主の椿に敬意を払うように敬語で距離もある会話だが、男達に囲まれるとつい萎縮してしまう。

 当主同士での交流をしている様子を遠目で見ている麗音愛。

 椿はその視線に心配が伝わってきたので微笑みを返す。


「行くか玲央」


「うん。じゃあ……呼ばれているので皆様、お疲れ様です」


「はい、お疲れ様です……咲楽紫千さん」


 形式的に挨拶をした2人。

 麗音愛と剣一は団長の直美に呼ばれ会議室を後にした。

 これから当主だけでの会議があるという。

 麗音愛がいなくなった会議室はやけに心細い。


「桃純さん、珈琲でもお持ちしますか」


 朔家の若当主が話しかけてきた。


「あ、いえ……」


「椿先輩は~珈琲は飲めないんですよ」


 なぜか椿の代わりに琴音が答える。


「そうだったんですね、覚えておきますよ」


「だからココアやルイボスティーも飲めるように常備してくださ~いって

 当主会議で頼もうかなぁって思ってるので味方してくださいね」


「いいかもしれないですね、はは」


 琴音はすぐに年上の男性陣とも打ち解けて歓談している。

 椿はその会話を聞いて相づちを打つだけた。


「どうぞ、椿さん」


「あ、雪春さん。さっすがー!」


「あ……ココア……ありがとうございます」


 温かいココアを雪春に渡される。後ろから来た秘書の佐野が皆には珈琲を配った。

 朔家当主は、随分と親しげに雪春に話す。


「雪春さんって気遣いが、本当にすごくて僕の憧れなんです」


「急に何を。海里君」


「朔家では経営面で期待もされず、実際白夜団でも中途半端だった僕を色々導いてくれたんですよ。

 今回の当主待遇も家からしてみると、ただの生贄なんだけど」


 朔海里は自虐的に苦笑いをする。


「でも大晦日の菊華の時、僕もそこそこ頑張れたかなって」


「海里君は、西支部でかなり活躍されましたよ。先程の報告にも書いてありましたよね」


「あ~!西支部も大変だったみたいですよね~。急なのに同化もされてすっごいです~」


 朔家の前当主は、年末に亡くなっていたと報告があった。

 その直後の大晦日の結界作戦だったが海里は同化し闘った。


「いや~あはは。加正寺さんには全く及びませんよ。

 それで直接お伝えしたかったのですが桃純さん」


「え? は、はい」


 急に名前を呼ばれ慌てる椿。


「僕の友人も、あなたの力で命を救われました。菊華で皆を守っただけではなく

 重症だった彼の命を紫の炎で救ってくださり、本当にありがとうございました」


 椿は元旦に全国から緊急で運ばれた重症患者も治療して回ったのだ。

 大勢いたので誰かもわからない。


「そんな、当たり前の事をしただけです」


「あなたの懸命な姿を見て、僕も皆の命を護るために全力で頑張りたいと改めて思いました」


「私は……あの、でも……」


 その皆の生命を脅かす妖魔王の……と喉から出かかる。


「もちろん、あなたが宿敵紅夜の娘だと知っております。それでもあなたが白夜団の桃純家御当主で良かった」


「……ありがとうございます……」


 そんな事を言われると思わなかった心に、驚きと共に温かさがじんわりとこみ上げた。


「どうかこれからも白夜団の皆を支えてください」


「さ、支えるだなんて、私も頑張りますのでよろしくお願いします」


 椿がペコペコ頭を下げると、海里もまた頭を下げる。

 椿の笑顔を見て、海里も照れたように笑う。


「……魅了の呪いが、また……」


 皆の影で琴音が眉をひそめ、帯刀している骨研丸が揺れた。



いつもありがとうございます!!

長い夏休みを頂きました。

変わらず読みに来てくださった皆様に感謝です。ありがとうございます。


そして久々の更新で琴音回でした。

次回も琴音&れおつば回です。どうぞよろしくお願いします!


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― 新着の感想 ―
[良い点] 朔家当主は椿ちゃんに好意的〜 ていうか、ガラッと当主陣が若くなった! これは組織が生まれ変わった感ある! 琴音はなぜそう不穏なの… おまえさんだけは本当わからん…
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