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大晦日結界修復作戦~最恐女子会開始~

 

 ルカを撃退(?)し妖魔も殲滅し終えた剣一達。

 林全域が、かなり酷い(けが)され具合だ。


「剣一君、椿ちゃんに頼むの?」


「いや、もう椿ちゃんにもかなりの負担が出ているだろう。

 ここは俺ができるだけ浄化する。よっちゃんサポート頼む」


「で、でも私にどれだけできるか」


「浄化系最強の槍鏡翠湖(そうきょうすいこ)と同化していたんだよ?

 才能ありありありまくり! に決まってんじゃん」


 満面の笑みを浮かべビシッとサムズアップする剣一。


「……うん、わかった! 頑張る!」


「亜門、車内で書いてもらった清め札をくれ」


「はい」


 札というより、それはもう1枚の絵だった。

 サイズもA4と大きく、佐伯ヶ原のセンスが光り色とりどりだ。


「いいねぇ、さすが」


「良かったんですか、こんな色使いにしちゃって」


「色気もない札もらうより、素敵な札もらう方が誰だって嬉しいだろう

 ここの土地神様はキャッキャと戯れたい気質のようだったから喜ぶよ」


 林の中なだけあって、ここには土地神がいるらしい。

 壊された祠を片付け、簡易的な祠を置きその絵を飾る。

 辺り一面が曇った瘴気に覆われていたが、祠がほんのりと輝いた。


 剣一は綺羅紫乃を抜くと、地面に突き刺し座禅を組む。

 美子も佐伯ヶ原も後ろに座る。


「よし! 浄化作業を始める!!」


「「はい!」」


 聖なる力に愛された聖騎士のような男。

 剣術だけではなく、呪術浄化術への研究鍛錬にも熱心に取り組んでいる。

 

「今すぐ楽にしてあげますよ……っと」


 剣一が詠唱を始めると、一気に光の柱が上空に向かって吹き出た。



 ◇◇◇


 少女が持つにはあまりにも不釣り合いなギラついたサーベル。

 それを二刀流で振るうのは、加正寺琴音。


 実際には、左手の『骨研丸(ほねとぎまる)』は邪魔になれば投げ刺したりと、ぞんざいな扱いだ。


「本家の刀が、手裏剣代わりに使われちゃうなんてね!

 黄蝶露(きちょうろ)! お前も嬉しいでしょう! お前の方が強くて綺麗だわ」


 薄暗い大学構内に、琴音は1人。妖魔と闘う。

 琴音自身が崇との話のために増員を全て他の場所へ移動させてしまったためだった。


「結構、余裕だわ……絡繰門さんが来る必要ないんじゃない……?」


 その言葉通り、琴音は妖魔を斬り捨てていく。

 この禍々しい邪流がなんだか清々しい空気のように感じ、踊るように動ける。

 びしゃりどさりと、妖魔の死体がベンチに叩きつけられた。


 浄化作業が必要な祠が見えてきた。

 構内の外れで木が生い茂る人目に付かない場所だ。


「一気に制圧して終わらせる! もう玲央先輩のとこに行きたい……!」


 二刀で巨大な妖魔の首を切り落とそうとした時、琴音の全身が粟立つ気配を感じる。


「やだなに!?」


「白夜は死ねぇ!!」


 襲いかかるは、長い髪を縛り穢れた大鎌を振るう少女。


「あなた……天海紗妃(あまみさき)!?」


 資料で見た事がある、椿に強い憎悪をもつ敵幹部。


「罰姫も、お前も、みんな死ね!!」


「罰姫はどうでもいいけど、私は死なないわよ!」


 二刀で鎌の斬撃を跳ね返した琴音。

 少女2人が睨み合う。


「ふん! 自分で自分の腹かっさばいて死ね!!」


 紗妃が鎌の華織月(かおりづき)を持ち直すと、辺りに強い芳香が漂う。


「……これが……切腹鎌の……」


 紅夜会のナイトの情報はもちろん白夜団団員に、対策案と共に伝えられている。

 しかしこの華織月だけは、前回椿も槍鏡翠湖の結界力と自分を傷つけ正気を保つという苦肉の策だった。

 よって、団員には華織月への対処方法は無し=人命優先即刻避難と伝えられている。


「ふぅん……」


 琴音はくるくると両刀を回す。

 紗妃は次の瞬間にはそのニ刀で腹を突き刺すと思ったんだろう。

 ニヤリ笑った。


 しかし琴音は骨研丸を地面に突き刺し、黄蝶露を大切に鞘にしまうと骨研丸も鞘にしまう。


「どんないい匂いなのかと思ってたけど、古臭いニオイ。

 シャネレの方が全然いい」


「なんだと……」


「私には効かないみたいね……?

 まぁ当然よね。白夜団の聖女みたいなものだし」


「はぁ?」


「初対面よね、私の情報は知っている?」


「お前なんて知らないよ。白夜団はみんな死ぬ

 覚えて何になる」


「死なないから教えてあげる。

 私は加正寺琴音。加正寺家副当主です」


 紗妃の顔色が変わる。


「腐れ七当主のひとつか……」


「腐った老人どもと一緒にしないでね

 そして晒首千ノ刀と対を成す黄蝶露の使い手よ」


「黒男の?」


「あなた報告書で読んだけど、何度も玲央先輩に斬りかかっているわね」


「だからなんだ」


「玲央先輩は、私が守りたい……」


「はぁ? なんだそれ」


「意味がわからない……?」


 風がなびいて華織月の香りが流れ

 嗅いだ妖魔が自分の身を食いちぎりだす。

 血の池地獄の真ん中にいるような2人。


 雪が止んだ。

 ふっと、微笑むようにしていた琴音の瞳がカッと見開く。


「……あなたを殺すって言ってんのよぉ!!!」


 瞬時に抜刀した琴音は紗妃に斬りかかる――!




いつもありがとうございます!


今回はなんとまぁ最恐女子がご対面してしまいました!

次回はどうなる事やら!


皆様の感想、ブクマ、評価、レビューを励みに頑張っております。

気に入って頂きましたら是非お願い致します。



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