表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

238/472

大晦日バトル!菊華聖流加護結界復旧作戦~それぞれの闘い始動!~

 

 椿が誘魔(ゆうま)結晶を飛散させた、いつもの3倍の量だ。

 この空に、湧き出た妖魔をおびき寄せ一般人への被害を最小限に抑える。


 地上では、剣一や琴音など地上班が対応してくれるはずだが、この降り続ける雪。

 交通も麻痺しかけている。


 黒い霧、白い雪、結晶の輝き。


「一匹残らず、斬る――」


 晒首千ノ刀を構え、呪怨の羽根を広げる麗音愛。立ち込め暗雲のようだ。

 その翼には、全てを恨み憎む亡者が蠢く。


 椿には呪怨を身体に絡ませ落ちないように支え、距離をとる。


 まるで生け贄の少女が、ぶら下げられているようにも見えるが椿の心には信頼しかない。

 椿も緋那鳥を構える。


 炎が舞い上がり、誘魔結晶に釣られた妖魔が一気に2人の周りを取り囲んだ姿が浮かび上がった。


「消えろお前ら……!!!」


 麗音愛から湧き出た呪怨は一斉に針のようになり、一気に噴出。

 妖魔を刺し貫き、爆破するかのように飛散させていく。


 それをすり抜けた妖魔を、椿が緋那鳥を煌めかせ斬り焼き尽くす。

 麗音愛は椿の動きたい意志を浮遊する炎の動きで感じ取り、呪怨を操っていた。


 通じ合う2人の意志、2人の闘い。

 大量の妖魔が次々に爆破され、斬られ、焼き尽くされる。


 街へ落ちる前に、消えていく――。


「第一ポイントに向かう」


「はい!」


 左手で椿を抱き寄せ、一気にポイントへ向かい飛んだ。


 椿は麗音愛の首元に抱きつく。

 死人のように冷たい頬。

 強さと引き換えの冷たさ。どんどん力を増していく麗音愛だったがその事に椿は不安も感じていた。

 この刀に、麗音愛が奪われてしまわないか――。


 闘いの時は、まるで殺戮マシンのように無表情だ。


「寒くない?」

「うん、麗音愛が守ってくれてるから」


 それでも、どんなに凍っても心は優しいまま――。


「私が、あなたを守る」

「俺も絶対に守る」


 何度でも伝えたい、麗音愛の横顔は無表情のままだが抱き締める腕は強く優しい。


「あそこだ……!」


 椿が指を指す。

 結界を作る楔になる場所。


 そこは元々が広い空き地になるように国によって整備されており、今回は小さな祠になっていたが破壊されている。

 何か赤黒いものが撒かれ、湧き出すように妖魔が這い出てくるのが見えた。


 麗音愛の腕を離れ、椿が雪の上に降り立つ。

 そのまま走り込み一閃、周りにいた妖魔を蹴散らし一気に祠を青い炎で包む。


「お願い、穢れは消えて、聖なる力を貸してください」


 その椿を狙い牙を剥いた妖魔を、麗音愛が晒首千ノ刀で払った。


 麗音愛は浄化とは相性が悪いため、距離を置きながら妖魔を切り捨て椿を見守る。

 住宅街ではあるが、この寒空。

 雪が音を吸収し此処を歩く人影は見えなかった。


 緋那鳥を地面に突き、椿は祈るように跪く。心の舞意杖にも火が灯る。

 詠唱はなくとも、桃純家で強い力を持つ椿なら混乱させられた流れを整える事ができるはずだ。

 此処を守る力と心を通わせるように、精神を集中させた。


 ◇◇◇


「バカ龍! こっち!」


「どけろ! 梨里!」


 龍之介と梨里も指示に従って結界楔ポイントに到着し妖魔を倒している。

 『明けの無い夜に』がネット上にバラ撒かれた為、年末年始の人が動くタイミングで白夜団も全国に派遣されていた。


「ばあちゃん、いいよ来て!」


 龍之介が串刺しで妖魔を一掃した後、梨里が浄化聖水を撒きゴザを敷いた。

 団員の男達が松明を灯す。


 白夜団のワゴン車から出てくる1人の老婆。


「だから、インターネッツだのなんだの、わからんもん使うっからこうなるんだべ」


「いいからいいから早くぅ」


 小柄だが、式服を着た老婆はまっすぐな背筋で、壊された祠の前のゴザにドスンと座った。

 その後ろから着いてきた同じ式服を着た中年女性2人も老婆の両脇に座る。


 壊された祠を見て、老婆は手を合わせた。


「……無残な事しよる。さぁ梨里、次の楔へ行け。

 その箇所から指揮術者それぞれワシに電話させぇ」


「ネットはダメで、電話はいいのかよ」


「うるさいわ龍之介! 梨里に怪我させたら嫁にはやらんからな!」


「いらねーし!」


「アホな話してないで行くよ、バカ龍」


 梨里達が制服のタイトスカートを押さえ急ぎ車に乗り込むと、老婆はすぐに詠唱を始めた。

 後ろの2人も追って詠唱を始め薄っすらと辺りは輝き始める。


「……おお、これは……ほむら様の炎……?

 いや、焔様の孫、紅夜の娘か……」


 流れる聖流に、椿の炎の息吹を感じるらしい。


「ほっほっ……なかなかの炎……さすが、焔様の孫」


 老婆は笑みを浮かべると、また真剣な顔になり塩を撒き詠唱を声高に響かせた。

 



いつもありがとうございます。

長いタイトルで大晦日バトル始まりました。

それぞれの闘いが入り交じる大晦日バトルになりそうです。


皆様どのキャラがお好きか教えてくださると嬉しいです。

ブクマ、評価、感想、レビューが励みになっております。

気に入って頂きましたら是非お願い致します。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] おばあちゃん格好いい! ご年配強キャラは胸熱(*^ω^*)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ