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大晦日!百鬼夜行の危機!

 

 大晦日の夜に攻撃呪詛の歌がテレビから流れ出す!


「麗音愛!!」


「大丈夫だ!!」


 椿の悲鳴のような呼び掛けに、麗音愛はすぐに答えた。

 すぐにテーブルに置いてあったリモコンでテレビを消し統制に集中する。


 呪怨が麗音愛や椿を襲う事はしないよう統制できたが、マンション周囲に張ってある結界は制御しきれなくなり破裂するように飛散した。


「……テレビは消したのに……」


「このマンションや、この近辺、この街でも

 あのテレビを見ている人がいるんだ」


 すぐに本部に連絡を、と思った瞬間2人の携帯電話が鳴り響く。

 緊急警報と共に、本部からの電話だ。

 繋いで椿にも聞こえるようにスピーカーにする。


「はい!」


『剣一だ!

 今全国ネットであの曲が放送された』


 兄で特務部長の剣一は本部にいたようだ。


「今、見てた」


『大丈夫か!?』


「俺は大丈夫、統制はできている」


『出動はできるか?』


「もちろん」


『椿ちゃんは?』


「一緒にいる」「はい、ここにいます」


『了解、飛ぶ事はできそうか?』


「大丈夫」


 右手で呪怨をコントロールし続けていた。

 この状況でも細く鋭くする事ができている。


『これから一気に不安定になるだろう。

 妖魔も自然発生し魑魅魍魎も騒ぎ出す、除夜の鐘でも浄化できない

 百鬼夜行が起きるかもしれない!』


 剣一の言葉に緊張が走る。

 此処での魑魅魍魎は、妖魔のように人を喰らう前段階の妖怪や化け物をいう。

 それでも集まれば人には害になるし、集合していずれは妖魔になるのではとも言われる存在だ。

 

「じゃあ俺は上空で待機する。

 支持をくれれば、どこへでも行く」


『椿ちゃんもいける?』


「はい」


「椿は無理しなくても」


「麗音愛?」


「じいちゃんが帰ってくる。此処にも強い結界を張っていく。

 せっかくの大晦日に……こんな」


「麗音愛、一緒に行くに決まってる!」


「でも……」


「麗音愛、1人で待ってるなんて言うわけないよ!」


『椿ちゃんが大丈夫なら、2人で行動しろ。

 椿ちゃんを狙う奇襲があるかもしれないし、指示はまた後で出す。

 こちらも状況を把握したい、20分後には上空で待機。頼りにしてるぞ』


「「了解」」


 電話を切ると、すぐに椿が抱きついてきた。


「麗音愛!待ってろなんて、もう言わないで絶対」


「だって……せっかくの初めての楽しい大晦日……」


「わかってる麗音愛の気持ち……でも今度言ったら怒る」


「椿……」


「怒るよ、私は……麗音愛がいるから大晦日も楽しみだったんだもん」


「うん……そうだね」


「いつでも一緒だよ!」


「うん、ごめん。一緒に行こう」


「うん!」


「着替えてくる、その後椿の部屋へ」


 麗音愛はすぐ団服に着替え、2人で玄関を出る。


「あ……!」


 椿が小さく叫んだ。

 麗音愛の家はマンションの最上階で12階。

 そこからでも白い雪の覆われた街は、この間に確認した時よりも濃い黒い霧で覆われている。


「ひどい……」


 もちろん普通の人から見れば街は夜景も変わらない大晦日の夜。

 すぐに団服に着替えた椿は

 冬用にマントも支給されていたのでそれを羽織る。


「行こう」


 雪の降る寒い空。

 できるだけ呪怨の結界を張り寒さを凌ぎ、椿もその中に炎を灯す。


 歌はもう既に終わっているだろう、だが黒い霧は濃くなっていく。

 この街の全員があのテレビを見たわけではないにしろ

 インターネット上でも話題になっているだろうし、初詣の参拝客があの歌を聖流の濃い場所で聴けばバランスが崩れるだろう。

 逆に邪流の濃い場所や元々、怨念の溜まり場や穢れの場所で流れれば妖魔発生に繋がる。


「こんな事……」


 いつも紅夜会の前では、気高い態度の椿だが

 麗音愛にすがるように抱きついてきた。

 麗音愛にも少しは見えるが、椿はそれ以上に穢れが見えるのだろう。


「椿、大丈夫だよ」


「麗音愛」


「白夜神様にもらったこの刀、この力で俺が闘う。椿もこの街も必ず守るから」


「私も……麗音愛をみんなを守りたい」


「うん」


 誓うように、お互い強く抱き締めた。

 麗音愛の携帯電話の呼び出しがなり、首元から聞こえるよう応答ボタンを押す。


『玲央ぴぃ!! 紅夜まじ腹立つ!! も~う地元の友達と遊んでたのにさぁ』


「鹿義」「梨里ちゃん」


 全国の白夜団で一斉に緊急配備になったようだ。


「そっちに異変はあるか」


『ばあちゃんが、邪流が邪流がって騒いでるわ。

 うちらも言われた先に行かないといけないから

 とりま東支部に向かってるとこ~』


「まずい状況になったら連絡を、俺が行く」


『ええ? 何キロあると思ってんの』


「何キロあろうが、何があろうが、紅夜会の好きにはさせない」


『おい、バカにしてんじゃねーぞ』


「龍之介」


『お前の出番なんかあるわけねーだろ』


「……そうだな、そっちは頼む」


『椿、怪我すんなよ』


「う、うん! 2人も!」


『んじゃ、姫も玲央ぴも健闘を祈るよん』


 次は、椿の電話が鳴る。佐伯ヶ原だ。


「佐伯ヶ原君、大丈夫!?」


『くだらねぇ事になったな』


「うん、私達、上空にいるから

 何かあったらすぐ呼んでね」


『バカヤロー、サラの手を煩わせる事をするかよ。

 サラ、お怪我しませんように』


「あぁ佐伯ヶ原も。でも何かあればすぐ連絡を」


『はい! ありがとうございます! 小猿もな』


「うん」


 また電話が鳴る。

 AIが教えてくれた相手の名を聞いて麗音愛は少し迷ったように電話に出る。


『玲央先輩』


「うん」


『私は隣の市に行きます

 玲央先輩、ご武運を』


「わかった。緊急非常があれば連絡を」


『はい、ありがとうございます』


 随分あっさりと会話は終わった。

 琴音はあの、時期当主と一緒なのだろうか。

 

 そしてまた電話が鳴る、本部からだ。


『玲央、準備はどうだ?』


「上空で待機している」


『よし、それでは2人には浄化結界を張る作業をしてもらう』


「結界? 一体どこに……」


『この街を覆う結界だ』


「……菊華聖流きっかせいりゅう加護結界かごけっかいですね」


『そう、椿ちゃん。この前勉強したね』


「はい」


 菊華聖流加護結界は広範囲を覆う結界だ。

 霊脈、地の磁場や聖流、邪流を読んで囲むように楔の術を打ち最後に中心で締める。

 その力は妖魔を消滅させる力はないが、発生を抑制する程度はできるので全国的に大きな都市では使われている結界術だ。


『昔からの菊華が今揺らいでいる。歌の影響もでかいが、どうやら全国の楔ポイントを紅夜会が狙って破壊しているようだ』


「くそ……」


『この街は、紅夜を封印していた事もあるように

 この国にとって加護結界中心の(かなめ)となる場所だ。ここが揺さぶられるとまずい。

 他の場所でも同様に結界を張り直す指示を出している』


「はい」


『玲央が護衛して、ポイントにいる妖魔や紅夜会を倒してくれ。

 その後、椿ちゃんが修復。この街は6箇所ある。

 最後に全国で修復が終わった後に中心となるここで椿ちゃんが最後、一気に締める』


「……そんな大きな事を……私が……」


『大丈夫、みんなでサポートする』


「……はい!」


『最重要任務だ、2人とも頼むぞ』


「了解」


 地点の説明を聞いて、電話を切る。

 椿も、結界の勉強を始めたのは最近だ。

 大きな任務に身が震える思いがする。

 それでもさっき誓いあった言葉を思い出す。


 麗音愛が椿の手を握る。


「俺がいる、必ず成功するよ」


 その言葉に椿は頷き、妖魔結晶を握り飛散させた。

 街に潜む妖魔が――牙を向く!!


 


いつもありがとうございます!


らぶらぶから一転!バトル回です!


皆様の感想、レビュー、ブクマ、評価がいつも励みになっております!

下半期!そして7月もまだまだ頑張りますのでどうぞよろしくお願い致します。



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