白高メンバー!クリスマスプレゼント交換
白夜団高校生メンバー(琴音不在)でクリスマスパーティー真っ最中。
プレゼント交換の曲が終わり、皆がプレゼントを開ける。
「えー!? まじ!?
アムゾンギフト券3000円分とかぁ~誰これ~!? つまんなすぎぃ!!」
「1番いいプレゼントだろうがっ!」
眉をひそめ叫ぶ梨里に、佐伯ヶ原が言う。
「プレゼント交換の意味をわかってないわね……
あ、素敵~。お花の入浴剤とアロマキャンドル」
美子が開けたプレゼントには、花の形をした入浴剤と
おしゃれなアロマキャンドルが入っていて良い香りを放っている。
「あ、それ私の!」
「うん、椿ちゃんのカードも入ってる。嬉しいありがとう!」
美子の笑顔に椿も微笑む。
初めて贈る友人へのクリスマスプレゼント。
嬉しくなって麗音愛を見る。
「……なんだよ、これ……」
麗音愛の顔が歪んでいる。
「麗音愛? 何もらったの?」
「あ! いや!」
椿に隠しながら、麗音愛は少し顔が赤く焦っている。
「え? どうしたの?」
「これ鹿義だろ!」
「やったぁ! 奇跡起きたぁ!! 玲央ぴに当たった~!
だって、はじめてでしょ~!」
「なぁに? 『はじめてのHOW……とぅ』あっ麗音愛」
ガサゴソと包装紙にまた麗音愛はくるみ、そのままカバンの中に放り込んだ。
「ほんと、余計なお世話だって!」
「一応あたしが、世間的に彼女だしぃ~」
「世間的に!
なんだからハウトゥーされる筋合いないんだよ!」
「えぇ~? だって姫とこれから「わーーー!!! やめろ!!」するでしょ」
「ハウトゥー本? なんの?」
「なんでもない、なんでもないよ椿」
「他にも入ってるから、ちゃんと見てねぇ?」
「いいから!! つ、椿は何をもらった?」
不思議がる椿に話を振る。
「えっと激辛ホットソース、激辛スナック、激辛カップ麺……カフェインエナジードリンク」
椿の膝の上には鬼のような形相のパッケージの食べ物が広げられた。
全ての刺激が強そうだ。
「う……このセンスは」
麗音愛が眉をひそめる。
「椿ぃ! やったじゃん! 俺と一緒に食べるべ!」
「椿は絶対食べない方がいい」
嫌いではないが、甘い物が好きな椿は辛い物が少し苦手だ。
いや、こんな激辛が好きな人間はごく少数だろう。
「釘差君のご飯にかけてあげるね」
「やったぜ!!
まじでハマるから! このエナドリなんて飲んだら徹夜でガンガン妖魔と闘えるぜ!!」
「へ、へぇ……すごい……」
「バカ龍は味覚もバカだからねぇ
あんたは何をもらったの?」
「ん~……と
『賢く優しく生きる~テケントリ心理学』……『図解!テケントリ心理学~優しさの意味~』と
しおり……あ~……?」
「テケントリは、昔から有名な心理学者よ。最近になってまた流行ってるの。
図書館でも今1番の人気!
龍之介みたいに、自己中な男には1番読んでほしい!」
ズイズイ!! と珍しく美子が前に出る。
「俺、自己中じゃねえし」
「ほら! 無自覚が1番怖いの!
これ読んだら絶対気付く事が沢山あるから!」
「あはは……サンキュー……古本屋で売れるかな……」
「何か言った?」
「いや、何も。んーじゃあ……亜門は……」
「……お、俺のプレゼントは……まさか……」
「俺のかな」
必然的に、佐伯ヶ原の手元にあるのは麗音愛からのプレゼントになる。
「ほ、ほわぁ……サラの……」
佐伯ヶ原は震える手で、プレゼントを見つめる。
ゆっくり……リボンに手をかけた。
「そんなん、ビリビリやっちまえよ!!」
「うるせぇ!! 黙れ!! 」
言葉とは真逆に、
リボンを丁寧に丁寧に外し、綺麗に巻き……
ゆっくり、ゆっくり……とテープを剥がしていく。
まるで爆弾処理班のような緊張感に皆もつい、真剣にその様子を見守ってしまう。
「いや……おいおい」
麗音愛だけ、その空気についていけていない。
最後のテープが剥がされ……ゴクリ……と佐伯ヶ原が息を飲んだ。
4人もゴクリと息を飲む。
「サラからの……プレゼント……っ!!!!」
ピカッと輝く!!
「「「「おおおおっ!!!」」」」
「いや……」
キラッと反射したそれは、CDだった。
「CD……」
「今時CDかよ」
「サラの選んでくれた……プレゼント……CD……」
「俺、昔の曲好きでさ。それのカバー集が、ちょうど売ってて」
「あーブリッジグレイブヤードそういうCD売ってるもんね
ラブソング集なの?」
ころりと、もふもふちゃんのキーホルダーも転がった。
「それは、少し予算が余ったから……つい……」
「椿ちゃんが当たればいいなって願望が透けて見えてるわよ」
「ぐ……」
「まじでね~」
そんな皆の言葉は聞こえず、佐伯ヶ原は微動だにしない。
CDを持ったまま……停止した。
「さ、佐伯ヶ原……? ごめんな。趣味に合わなかったら……」
一応は万人受けするようなCDを選んだつもりだったが……。
氷のように固まった佐伯ヶ原を不安に思い麗音愛も覗き込む。
「いぎでてよかったぁあああああ!!!」
嬉しかったようである。
麗音愛は驚きで椿の方にふんぞり返ってしまった。
それを椿が抱きとめる。
「あはははは! 良かったねぇ亜門」
その様子に爆笑しながら梨里が連写していた。
「佐伯ヶ原君嬉しそう」
「……そ、そうだね」
椿にぎゅっと後ろから抱き締められたまま、麗音愛もあははと笑う。
その後も、なんだかんだと話を続け食べて飲んで笑って、皆で記念撮影をして楽しいパーティーは終わった。
「クリスマスって楽しいね」
「うん」
帰りは皆バラバラで、麗音愛と椿が雪の中歩く。
「麗音愛のプレゼントのCD、私も聴きたかったな」
「今度一緒に聴こう」
「うん!」
雪が積もり、街灯が煌めく。
紗妃が立っていた道。
もちろん、今はいない。
思い出される、あの言葉――。
幸せが引き裂かれる。
「……っ!」
「椿?」
麗音愛の腕にぎゅっと抱きついた。
誰も歩いていない夜道。
2人に雪が降りそそぐ。
「椿……? やっぱり何かあった……?」
外での急な行動に、麗音愛は驚きながら何度目かの質問をする。
「……ううん、ううん……なんでもない……
麗音愛……」
「なぁに?」
「大好き」
紅夜に負けないための呪文のように思える、愛の言葉。
「俺も椿が大好きだよ。
まだ俺達のクリスマスが待ってるから。楽しみにしててね」
「……うん!」
また笑顔になった椿の頬にそっとキスをする。
「! れ、麗音愛」
「ほっぺにちゅーしてみたかった」
少しの灯りでも、椿が赤くなったのがわかった。
「ほ、ほっぺに……」
「へへ」
「……ほっぺにちゅーって言う麗音愛が、可愛いって思ってた」
「えっ!?」
自分としては意外な事を言われ、麗音愛も赤くなる。
「ふふ」
泣いて痛んだ頬も、今は温かい。
「2人きりのクリスマス楽しみ」
「うん。俺もだよ」
手は繋げなくとも、2人の心は確かに繋がっていた。
そして、2人のクリスマスデートを思えば自然に笑みがこぼれる。
いつもありがとうございます(#^.^#)
今回は閑話的ギャグ回でした!
次もまた2人のクリスマスデートです。
日常回が続きますが
れおつばイチャイチャお楽しみ頂けたらなと思います(#^.^#)
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