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私立病院の闇

 


 麗音愛は新制服に着替え、車から降り立った。

 麗音愛にとっては飾緒まで付いた軍服のようなデザインは少し恥ずかしく思う。


 琴音も椿が着ていた服と同じく

 ジャケットにプリーツスカート、ロングブーツだ。

 戦闘員が、スカート……と思ったが

 希望者はパンツスタイルも選べるらしい。

 胸元には銀色のバッジがついている。副当主の意味合いか。


 雪の舞う中、病院の前に立つ2人。


「こんな時間に突入なんて……しかも2人で?乱戦になったらどうする」


「人目がある方が、逆に有利です」


 外来は閉まってはいるが、まだ19時頃

 入院患者達もまだ起きている時間だ。


「紅夜は、人間の命なんて何も思っていないかもしれませんが

 紅夜会協力者は人間です。もし、ここで多くの人間を巻き込み大惨事になれば

 今後の協力関係は崩れていく……さすがにしないでしょうね」


 逆に病院の人間を人質にするという事か。


「この病院が関係しているのなら、何か圧力をかけて

 捜査をするとかできなかったのか……」


「まぁ、できなかったので、こういう事になったんですよ」


 少しの間に、琴音の雰囲気は随分変わりすっかり上官のようだ。


「強行突破すぎるけど……やるしかないか」


 ここで紅夜会との繋がりになる証拠を掴めば

 協力している企業を浮き織りにできるかもしれない。


「はい」


「行こう」


 まだ施錠されていない正面玄関から、琴音は堂々と入っていく。


「まだ、刀の具現化はしないでくださいね」


「もちろん」


 だが薄く……呪怨を漂わせ警戒する。

 部分的に消灯され薄暗いロビー。

 前に、摩美の術で別次元に転移しボロボロに崩れたロビーを思い出した。


 あんな事がここで起きてしまったらどれだけの死者が出るだろうか。


「こんな制服姿で歩いていて通報されないかな」


「大丈夫です。逆にこれから警察関係には白夜団の人間だと、扱われるようになりますので便利になりますよ。

 でも一般人には認知されていないので……先輩隠れて!」


 急に言われ、2人で自動販売機の影に隠れた。


「隠れるのが必要なら……最初に言ってほしい」


「えへへ……なんとなく」


 狭い影のなか、息を潜めた琴音にぎゅうっと密着される。

 

「呪怨で結界を作れば、人の目を避けられる。

 さぁ離れて」


「はぁい」


 棒読みでそう言って、琴音が離れた。

 入院患者の家族か、一般人がそのまま玄関に向かっていったのが見える。


 麗音愛が琴音と2人包む結界を張り、停止しているエスカレーターを歩き地下へ降りた。


「便利ですね……守られているようで、心強いし力がみなぎってくる感じです」


 誰もが普通なら不気味に思う呪怨の結界に、琴音はそんな事を言う。

 突き放した言い方をしたし、椿と恋人になった事を伝えても以前と同じ微笑みに少し戸惑う。


 降りた地下はほぼ消灯され、立入禁止のパーティションポールが置かれているが

 無視して廊下を歩いていく。

 琴音は懐中電灯を取り出し照らした。


「どの場所か把握は?」


「……地下だろうという予想なんですけど」


「予想だけか……」


 とりあえず突き当たりまで歩く。

 が、妖魔の気配などはない。

 しかし幽霊の少女が伝えてきたのだ。確かに何かあるに違いない。


「地図ではここには部屋はないはずだ」


 非常階段に繋がるようなドアが一つ、目に入る。

 ただの直感だが、そこから不穏な雰囲気を感じた。

 

 もちろん鍵がかかっている、が呪怨の力で捻じ曲げ開けた……。

 予想以上に重たいドアをそのまま開ける。


 暗い廊下。


「あ、先輩」


 麗音愛はそのまま突き進む。

 誰の気配もしないからだ。


「……研究室だ……」


 明らかに様子の違う、何かの研究が行われているような部屋。

 しかし、そこはもぬけの殻だった。

 資料も何もない、実験器具は全て綺麗に洗浄されている。

 パソコンが置いてあったろう場所は大きなホコリがある。

 セキュリティも研究室にしては今突破したドア1つで他のロックは切られていた。


「……逃げられた」


「今日の任務を先に知られただなんて」


 いや、あの日に病院で紗妃に会い戦闘までしたのだ。

 警戒され逃げられたと思って間違いない。


「……俺の失態だ……」


「そんなぁ、玲央先輩のせいではありませんよ、何か手がかりがあるかもしれませんし」


 そう言って琴音は部屋の電気を着けた。

 眩しい光が室内を2人を一気に包む。


「……!? 浄化結界!!」


 トラップ式の浄化結界が発動する!






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― 新着の感想 ―
[良い点] あれ「飾緒」っていうのか……初めて知った。
[気になる点] ……の多さが視覚的にちょっとうるさいかも。
[一言] 普通の白夜団の人なら嫌がる麗音愛の結界を、全く動じずにむしろ守られているみたいと喜ぶ琴音…… やっぱりこの人感覚がおかしい? 闇堕ちしているから心地よく感じるってあったりするんだろうか。 そ…
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