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修旅~肉食な娘達!~

 


 地上に着くと、コテージの裏手にはバーベキュー会場が用意してあり

 伊予奈がテキパキと皆を動かしすぐにセッティングが出来た。


「さぁ、みんな修行と言っても、楽しくやりましょう!

 明日からどうぞよろしく! 無理しないでね! 乾杯」


 伊予奈が乾杯の音頭をとった。

 先程の地下が幻に思えるような、和やかなムードだ。


「乾杯~」


「乾杯~!! うまい!! 

 しっかし、こういうのって最終日にやるんじゃないっすか」


 ビールまで振る舞われ、剣一はゴキゲンに飲み干す。


「お前が15歳の時、最終日に()()()()()、そのまま何も食えずだったろう

 だから今回は初日にしたんだ」


「あ~……思い出したくない

 まぁ、俺はもう関係ないし見守るだけだし」


「日々鍛錬! 精進だ!

 特務部長と手合わせが俺は最高に楽しみだ!」


「いや~いやいや、いいですから~~」


 伊予奈に少し頼まれ

 肉を焼いていた麗音愛に梨里が近づく。


「玲央~やっぱあっついね、炭の近くはぁ」


 ウェアのチャックを下げると、タンクトップ。

 梨里の豊満な胸の谷間がくっきりと見える。


「夏に肌ぁ焼いてみたんだよねぇ」


「そうなんだ……まだ肉は焼けないから、あっちで待ってていいよ」


「水着の跡まだ残っててさぁ」


 肩まで梨里が脱ぎだしたので

 麗音愛はギョッとしたが

 なんと美子が間に入り、梨里のファスナーを首まで一気に上げた。


「玲央は色仕掛けなんて効かないわよ」


「なんでそんな事わかんの~? ヨッシーに」


「ヨッシーはやめて!」


 別に用意されたサラダを食べていた琴音まで騒ぎに気付いてやってくる。


「玲央先輩、手伝いましょうか?」


「あ、いや別に……」


「ヨッシーおっぱいは、Gからだよ?」


 梨里がわざとに自分の胸を両手で揺らす。


「ヨッシーは何カップ~?」


「悪いけど、大きいだけで誇るなんて

 低レベルな話に付き合えないわね」


 対象的な2人は睨むわけでもなく、ニコニコと微笑みあっている。

 が空気は冷たい。


「量も質も最高だし~」


「肉まだ焼けないし……男の前でやめてほしいんだけど……」


「本当ですよ! はしたないです! 玲央先輩困ってます!」


 援護もどちらかといえば、やめてもらいたい心境だ。


「ヨッシーのおっぱいが通用しないからって

 アタシの美乳まで通用しないと思われたら困るし~」


「だっ! だから違うわよ! そういう事じゃないの!

 大体、どうして梨里が玲央に絡むわけ?」


「玲央はイケメンだし

 強いし? 好きにならない理由とかあるの?

 あんただって、玲央の彼女じゃないっっしょ? 関係なくない?」


「彼女かもよ?」


 先程の梨里の煽りで、ホテルでの一件を思い出してしまった麗音愛は

 美子の言葉に1番ギョッとする。

 次に琴音。

 そして遠くに座っていた椿にも剣一にも聞こえていた。


「は? マジで?」


 梨里が、自慢のウェーブの茶髪をかきあげた。

 そこに追加の肉を持った伊予奈が戻ってくる。


「はいはい、ここは鍛錬の場所ですからね

 色恋沙汰は帰ってから! まぁちょっと面白いけど……

 玲央君ありがとう~ここのお肉焼けたから食べてね」


「は、はい……美子えっと」


「ん? お肉いっぱい椿ちゃんに持っていってあげてね」


 何もなかったかのように、美子が言うので

 麗音愛も特に突っ込めずその場を離れた。




「椿、お肉焼けたよ、食べる?」


 武十見と佐伯ヶ原と一緒に座っていた椿の元に

 麗音愛が焼けたばかりのお肉を持って戻ってきた。


「麗音愛……ありがとう」


「椿どうした!? もっと食べろ!! まだまだ大量にあるからなぁ!」


 笑って武十見は、バーベキューコンロの方へ行く。

 言い合いは終わったようで、美子は剣一のところへ。

 梨里は龍之介、琴音は伊予奈とコンロにいる。


「サラ、災難ですね」


「なんかね、からかわれてるよ……」


「そ、そうなの? からかいなの?」


「それ以外ないだろ、ん、美味しい。椿この肉うまいよ」


「ありがとう」


 どんな時でも椿は笑顔で、よく食べる。

 でも、一瞬迷って箸を止めてしまった。


「食べすぎかな……私」


「え?」


「なんだか……琴音さんはサラダしか食べてないし

 梨里さんもお米は食べないんだって、美子ちゃんもそんなに食べてないし……」


 隣で佐伯ヶ原は『今更かよ』と思ったが

 なんとなく、椿の心情がわかったので特にツッコミはしなかった。


「いっぱい食べて……恥ずかしいかな」


 確かに、いつもなら二膳目にいくはずの

 山盛りご飯が半分しか減っていない。


 しょんぼりと、でもアハハと笑う椿。


「そんな事はない!」


「えっ」


「椿はいっつも美味しそうに食べてて

 俺はすごく……!」


 急な大声を出したので

 全員が自分を見ている事に気づく。


 椿も目を丸くしている。


 すごく……!! 可愛くて幸せで……!! 

 ゴクリと言葉を飲み込む。


「すごく……健康的で素晴らしいと思う」


「あ、ありがとう」


「だ、だから、いっぱい食べよう!

 俺もまだおかわりする!」


「う、うん!」


「スペアリブも焼けたわよ~」


「あ、サラ、俺が取りに行きます

 椿も食べるよな」


「うん! ありがとう」


 ふぅ~っとため息をついて佐伯ヶ原は席を離れる。

 麗音愛と椿は笑い合って食べ始めた。


 佐伯ヶ原の胸がズキリ痛む。


 別に今が特別じゃない、ずっと前からだ。

 椿が麗音愛の隣に現れた時から――。


「仲間なわけ、あるかよ」


 そう言いながらも佐伯ヶ原は優しい目で2人を見る。


「まったく……

 ほら!すげーぞスペアリブ!」


「やったー!」


「お、美味そう!」


 椿はニコニコ顔ですぐに、ご飯のおかわりをした。

 夜空には星がまたたき、

 暗い不気味な森の中でここだけが明るかった。


 


いつもありがとうございます!


評価(下部の☆のことです)

ブクマ、感想、レビュー

が作者の原動力になっております!


また頑張りますので、また遊びに来てくださると嬉しいです!



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― 新着の感想 ―
[良い点] 健康的で素晴らしい!ww 麗音愛〜〜大声で可愛いって言っちゃいなよYOU!!( ;∀;)
[一言] さえさえ切ないです。この方向で来るとは…。 椿ちゃん、思いっきり意識するとともに、周りと自分を比べるようになっちゃいましたね。この合宿、ライバルが多いですが何が起こるんでしょう。変わってい…
[一言] 美子と梨里の対決は側から見る分には良いかも。 中には入りたくない、訳も聞かないでおくんなまし…… 麗音愛と椿が仲良しならもうなんでも良いや(*´ー`*) 佐伯ヶ原は真剣に麗音愛のことが好き…
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