ミノ・レーヴァン
人には嫌いなものがある。
食べ物、または動物など、人によってその種類は数えきれないほどたくさんあるが、俺の嫌いなものは一つだけだ。
そいつらといるとムシャクシャするし、自分が惨めに思えて嫌になる。
俺は........................家族が嫌いだ。
「兄さん、元気にしてたんだねぇ、本当に良かったよ。」
「........................」
「父さんと母さんは、兄さんのことをなんとも思っちゃいなかったけど僕は心配してたよ。」
「........................」
こいつの名前はミノ・レーヴァン。
俺の弟だ。
容姿は俺と瓜二つであり、違うところといえば目と髪が白いということぐらいである。
俺達二人は今、リビングで向かいあいながら座り、話をしていた。
パッとみ、人当たりが良く温和そうにみえるが。
「兄さんなんかが生きていられるなんて、意外と甘い世のなかだね。」
「........................」
........................これだ。
澄ました顔をしつつ、俺に対してだけ毒を吐いてくるこの性格は昔から本当に嫌いだ。
「いったい何しに来たんだよ。」
「せっかちだなぁ兄さんは、久々の再開なんだからもっと何か話そうよ。」
「お前と話すことなんかねぇ!」
そう言われ諦めたのか、ミノは淡々と話初めた。
「実はね、父さんが仕事でちょっと失敗しちゃってね。」
「........................」
「引っ越して暮らしはじめたはいいんだけど、そのせいでお金があんまりなくなっちゃって。」
「........................」
「だからさ。」
「この屋敷を売り払うことになりました。」
....................................................................................................................................................................................................は?
「今日ここに来たのは、そのことを伝えるためだから。」
「おい。」
「それじゃあ、一週間後にはここからでていってね。」
「待て!!」
「..........................何?」
「何じゃねぇ!
屋敷を売り払うってどういうことだ!」
「どういうことも何も。
もう決まったことだから。」
「ふざけるな!」
一体何をいってるんだこいつは!?
するとミノは呆れたような表情をしながら俺に言った。
「本当に子供だねぇ兄さんは、屋敷がなくなることぐらい受け入れてよ。」
「...................なっ」
そんなこと、簡単に受け入れることが出来る訳がない。
俺にとっては唯一の住む場所なのだ。
「屋敷を売り払えばこっちの生活は苦しくなくなる。
それに兄さんには、ちゃんと暮らしていける分のお金を用意したはずだよ。」
「........................」
確かにそうだ。
うちはお金だけはあった............だが、だからといって、はいそうですかと受け入れるわけには........................
コンコン
ドアからノックが聞こえてきた。
「坊っちゃま、紅茶を持ってまいりました。」
どうやらあいつが紅茶を持ってきたらしい。
「ああ、入っていいぞ。」
「失礼します。」
メイドが部屋に入ってくる。
「失礼しました。」
紅茶をテーブルに置くと、あいつはそそくさと部屋から出ていった。
「相変わらず、僕は彼女に嫌われてるみたいだね。」
「............」
あいつは俺以外の家族には冷たい。
その証拠に、今だされた紅茶は俺の分だけだ。
「いい女だよねぇ。
兄さんの世話さえしてなけりゃ。」
「............」
..................................................................................................。
「父さんも言ってたよ。
なんでもできるし使える奴だって。」
「........................」
「まっ、言いたいことは全部言ったし、僕はもう帰るよ。」
そう言いミノは立ち上がった後、俺にこんなことを言ってきた。
「兄さんなんかにこの高級な屋敷は似合わないから、一週間後までに自分にあった家をみつけて出ていってね。」
バタン
最後の最後まで憎たらしいことを言った後、ミノは部屋から出ていった。
「それじゃあ僕は帰るけど、あいつと一緒だと君も大変だろ。」
「........................」
僕は今、玄関から屋敷を出るところだったが、あいつにこの女は勿体ないのでちょっと誘ってみることにした。
「どうだい。
良かったら僕のメイドにならないかい。」
「..................」
「言っとくけど、僕はあいつより勉強はできるし料理もできるしなんでも出来る。」
「.................」
「一緒に来ない?」
「お言葉ですが。」
「............」
「私が仕えるのは坊っちゃまただ一人だけです。
あなたなんかに仕えません。」
「.................そう。」
いい女だと思ったのにな。
あいつと僕、どっちに仕える価値があるかなんてみればわかるのに。
「せっかくのチャンスを棒に振るとかバカだな、それじゃああいつと一緒に精々頑張ってね。」
僕はそう言い残し、立ち去った。




