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過去編 2話

「そういえば父さん」




「何だミノ」




「あいつに世話役を付けたんだって」




「ああ、一応あれでも私の息子だからな、勝手に死なれたら、私の印象が悪くなる」




「あら、貴方ひどいことを言うわね」




「お前も産まなきゃ良かったと言っていたではないか」




「あれはつい、言葉に出ちゃったんだからしょうがないじゃない」




屋敷のリビングにいるこの3人は、ウタの家族ではあるが、見ての通り、ウタに対する愛情は全く無く。

ただただ邪魔なものとして認識していた。





「あのメイドの人、結構綺麗だったなぁ。

ねぇ父さん、なんであいつにあんなに素敵な人付けたのぉ、勿体ないよ」





「私としても、あれに付けたくはなかった。

...............だがここの所、あれはよく熱をだしている。」





「確かに、昨日は一日中寝込んでたもんね、まぁいつもだけど」





「そうだ、だから私は、優秀と評判であるメイドを雇い、あれの世話をするようにしたのだ」





この頃のウタは、よく熱をだしており、たまに母親が看病するだけで、後は大したこともされなかったのである。





「お前が看病さえすれば、私がわざわざ金を払わなくて済んだというのに」





「嫌よ!

これ以上あれのせいで、私の時間を奪われたくないもの!」





「.........ふむ、それもそうだな」






この家族は、ウタを人間としてではなく、ただの邪悪な物として、扱っていた。

この屋敷には、彼の味方などいない........はずだった。













「坊っちゃま、お腹は空いていませんか?」





「..............」





「坊っちゃま、一緒にトランプでもして遊びませんか?」





「............」





「坊っちゃま、一緒に絵本でも読みましょう」





「............」





「あの、坊っちゃ「うるせぇーーーー!!」





「............!」ビクッ





彼にはいたのだ。

ちょっと癖は強いが、未来の恋人という心強い味方が。





「一体さっきからなんなんだお前は!」





「なにって?

坊っちゃまと遊ぼうと.....」





「きついんだよ!ほっといてくれ!」





「でしたら、私が膝枕を」





「............ハア」






ウタがデカイため息を吐く。

きついから放っておいてくれと、さっきからメイドに言っているが、そのたんびに遊ぼうなどと言われ、イライラしていた。






「坊っちゃま、こっちを向いてください」






「ああ.......ってうわ!?」






ウタが振り向くと、目の前にメイドの顔があった。






「な、なんだよ//////」






「いえ、坊っちゃまはかわいいなと」






「は、はあ!?//////」






そしてメイドは、衝撃的なことを告げる。













「ぶっちゃけて言うと、坊っちゃまに一目惚れをしてしまいました//////」















「.............................え」













「私の好みドストライクです//////」












「........................」







....................................その言葉を聞いたウタは............ある一つの考えにたどりついた。











(............へ、変態だ)










そう、変態である。

実は彼女は年下の、それも自分とは歳がかけ離れている男の子も、恋愛対象内に入るという、とんでもないド変態だったのだ。






「私、好きな人にはガンガンアタックするので覚悟してくださいね//////」






「........................」






ウタもメイドに、それもこんなに綺麗な人に、自分への好意を表してもらって、決して悪い気はしないはずだったのだが...............なぜか寒気が止まらかった。






「...................ミノがいるだろ」






「............」






「俺なんかより..........あいつの方がいいと思うぞ、みためだってあんまり変わらない」






「............」







ウタは自分よりもミノの方を勧めた。

それもそのはずで、この頃のウタは、自己評価が限りなく低かった。

さらにメイドは、一目惚れと言ったので、自分とみためがほぼ変わらないミノを勧めれば、そっちに移り変わると思っていたのだ。






「だから、俺じゃなくてミノの方を.......」





「............」






するとメイドは.......................









「あぁ、あの若干ナルシストが入っているクソガキのことですか」









澄ました顔をしながらとんでもないことを口走った。






「ああそうだクソガキ.........ってええ!?」







ウタは驚いた。

何せ、急にドス黒い声でそんなことを言うのだから相応のインパクトがある。






「坊っちゃま、私を舐めないでください」






「............」






「確かにみためも含まれますが、私の目は相手の中身まで感じ取ることが出来ます」






「う、嘘だろ」






「私に分かることはただ一つ」






「............」











「坊っちゃまは将来............とびきりの良い男になります//////」








「.................」//////






ウタは今まで、誰かに誉められるということがなかった。

自分に向けて言われる言葉は、どれも氷のように冷たいものばかりであり、誰かに、こんなふうに言葉をかけられるのは、初めてのことであった。






「............ぁ//////」






そして同時に、ウタのなかにある感情が芽生えた。






(なんか.........ドキドキするな//////)






その感情がどういうものなのか............それをウタが知るのは、もうちょっと先のことであり............さらに彼女と恋人になるとは、この頃は知る由もなかった。

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