繋ぐ手
「まいどあり。
いつも買ってくれてありがとね、坊や。」
「いえ。」
この女の人の名前はカルネさんといい、3日に一度、ここの辺りを通る行商人だ。
「それじゃあ、今後もご贔屓に、じゃあね。」
もうすっかり常連となり、買い物をするたびにこうやって話すことも少なくはない。
「よし、それじゃあ帰ろ.......ってうわぁ!?」
俺が後ろを振り向くとそこには............
「.............................」
メイドが立っていた。
「お、おう、いたのか。」
「坊っちゃま、今の女は?」
その瞳の奥には、光が灯っておらず、見ているだけで氷漬けにされそうだ。
「行商人のカルネさんだ。
買い物をするときに時々話すだけだぞ。」
「.................本当にそれだけですか。」
「それだけだが。」
「............ふ〜〜〜ん//////」
頬を染めながら、ちょっと拗ねている今のこいつは.................かわいい//////
このように、こいつは俺がほかの女の人と少しでも話したりしたら、疑いにかかってくるほど嫉妬深い。
..........................だが、そんなところもついついかわいいと思ってしまう。
(俺ってもしかして、かなり重症なんじゃ。)
普通なら、こんなに嫉妬深い人と付き合うと、重くて疲れるかもしれないが、俺は不思議とそんな感覚はなかった。
............................というかむしろ、こいつの新しい一面をみて、どんどん好きになっていってる気がする。
「おい、帰るぞ」
「あ、はい」
そう言って俺は..............手を差し出した。
「.............え」
「...............」//////
自分で手を差し出したのに、恥ずかしさで後悔している。
「................あっ/////」
「...............」//////
手を差し出した意味にやっと気づいたのか、彼女は俺の手を握ってきてくれた。
「そうですね、はやく帰りましょう//////」
そうやって俺達は手を繋ぎ、歩き初めた。
「................」//////
「あの、坊っちゃま//////」
「何だ//////」
「ずっと、こんな日が続けばいいですね//////」
「............そうだな//////」
春風が吹くなか。
自分の心臓の鼓動がはやくなっているのに気づき........................
本当にこいつのことが大好きなんだなぁ
........................そう思った、春のある日の出来事であった。




