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30話 不承不承の3人組

第30話です。よろしくお願いします! ※誤字修正いれました。

 「サクヤ……、立てるか?」


 「はぃ……ありがとうどございます、ご主人様」


 手を差し出し、座り込んでいたサクヤを引き上げる。辺りが暗くなったところで終了の合図、今日も訓練が終わった。なんとか俺たちは今日も訓練に耐え切った。


 体が馬鹿になってしまったのだろうか、疲れているのか、疲れていないのかよくわからない状態になってきてしまっている。


 「おい、あれ見てみろよ! 最近ウワサのやつらだ! ホントに訓練なんてやってんだな!」


 「訓練なんてするよりよっぽどダンジョンに潜ってたほうが意味有るだろうよ」


 「だな! なんの意味があんだか、ご苦労なこった」


 訓練場の外に目をやれば、3人組の男達。最近はこの訓練が噂になっているらしく、ちょこちょこ様子をみたり、こうやって馬鹿にしてくる奴がいる。特になにか言い返す気もないが、わざわざ聞こえる様に言わなくてもいいだろうに。


 「ご主人様、相手にしてはいけません。私達は私達のやり方でやっていけばいいのです。あのような愚か者など相手になさる必要は御座いません」


 サクヤに手を引かれて訓練場を出て、宿の方に戻ろうと歩き出すが、さっきの男共がついてきているようだ。


 「ねえねえ、そんな男といるより俺達とダンジョン潜ったほうがいいって! 俺たち、今アイアンのパーティーと一緒にダンジョンもぐってるんだけど、君も一緒にどう?」


 「そうそう! そいつみたいにダンジョンにも潜らない様な冒険者といるなんてもったいないよ! 俺たちとパーティー組もうぜ!」


 どうやらサクヤ狙いのようだ。最近サクヤに声をかけてくる奴が多くなってきたな。立ち止まり追い払おうと振り返るや、俺に先んじてサクヤがお怒りだ。


 「黙りなさい! あなた達の様な愚か者にご主人様の何がわかるというのですか! これ以上ご主人様に無礼を働くならば今すぐ叩き切ります!」


 サクヤ落ち着いて! 今刀持ってないから叩き切れないよ! 尻尾の毛を逆立てて本気モード。サクヤを宥めるが興奮状態のサクヤ。訓練の疲れなどでイライラが溜まっていたのかもしれない。


 「なにやってんだお前ら! 何処行ったかと思えば、ふらふらしやがって」


 声の方を見やれば、見た顔。グラヴィーナまで護衛として一緒に旅をしていた冒険者のボンストさんだ!


 「ボンストの兄貴!」


 「すんません! こいつがちょっと訓練をしてるやつ見に行こうかと言いやがったもんで」


 「お前も賛成したじゃねーか! 俺のせいにすんなよ!」


 どうやら3人組はボンストさんの知り合いのようだ。


 「だぁ〜、うるさい野郎どもだな。だまってろバカども。久しぶりだな、マヒロ! 元気そうじゃねえか! さっきロランの旦那とばったり出くわしたよ。お前さんが訓練やってるって言うから見に来たぜ」


 「お久しぶりです! ボンストさん! 覚えてくれてましたか。元気ですけど、元気じゃないですよ」


 「がはは、フランカの姉御にこっぴどくしごかれてるそうじゃねえか。まぁ、あの人のやり方に従っておけば間違いねぇけどな!」


 フランカさんとボンストさんは知り合いだそうで、フランカさんには現役の時にお世話になっており、頭が上がらないそうな。


 「このバカどもが迷惑かけたな。すまねぇ。お前らも頭下げろ」


 3人組は渋々といったように謝ってくれた。謝ってくれたならそれでいいけれど、サクヤにちょっかい出さないように念押ししておいた。


 「そうだ! マヒロ! 頼みが有るんだが、このバカ共も訓練に混ぜてやってくれねぇか? こいつらの面倒見てやってるんだが、何度言ってもチャラチャラしてやがってよ。フランカの姉御に性根を叩き直して貰いてぇんだよ」


 「俺は構わないですが、サクヤとフランカさんに了承取れるなら問題ないですよ」


 「私は、ご主人様が良いと仰るのでしたら構いません。その代わり私に必要以上に近寄らないようにしてください」


 「おお、それはありがてえ。嬢ちゃんはマヒロの嫁か? えらい別嬪の嫁だな! いい女つかまえたじゃねぇか!」


 「嫁!? 違いますっ!」


 サクヤは赤面しながら尻尾をぶんぶんと振っている。嫁って。


 「ちょっと!? ボンストの兄貴! そりゃ無いっすよ!」


 「そうですよ! 俺ら兄貴達から教わりたいんすよ! それにこんなダンジョンにも潜らない訓練して何か意味あるんすか!?」


 3人組は決定に不服なようで、うだうだと文句を言っているが、ボンストさんの意思は変わらないようだ。


 「たく、オメーらはほんとうるせぇな。あるからフランカの姉御が訓練してんだろうが。いいか? 魔物を倒しても階位が上がるだけで自分の技術はあがんねんだよ。それにな、訓練で染みこんだ体の動きってのは自分をうらぎらねぇんだ。分かったらお前らは明日からこの訓練に参加だ。グダグダ言ってんならテメーらだけでダンジョンにでもいきやがれ!」


 不承不承の3人組も訓練に参加決定だそうだ。フランカさんには了承とらなくていいの?


 「姉御には俺からも言っておくからよ! それに頼むだけじゃワリィから俺も訓練手伝ってやるよ。フィルツもリオッテ呼ぶか!」


 どうやら、旅の冒険者グループも参加してくれるようだ。タダで手伝ってもらうのも悪いから依頼扱いにしてもらって、お金を支払おうか。


 「タダでっていうのも悪いので、訓練の間拘束してしまって問題ないなら、ギルドに依頼扱いにしてもらって、お金をお支払いしますよ」


 「おお! そりゃ助かる!」


 「そうですか、お一人金貨2枚でいいでしょうか?」


 「そんなにだしてくれるのか! ちっとみねぇ内に随分と羽振りが良くなった見てぇだな!」


 がはは、と笑い快諾したボンストさん。明日、フランカさんに話して正式に教官として参加するそうだ。


 強制参加の3人組はヴィニー、ロイド、バートと言うらしい。身長が、左から大中小となっている。


 「バカども! シゴキ倒してやるから楽しみにしてろよ?」


 何故かボンストさんにまで鬼教官スイッチが入ってしまっている。この世界の教官はみな鬼教官なのだろうか。


お読み頂きありがとうございます!

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