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3話 これ高く売れそうだ

第3話です。よろしくお願いします。 ※商業ギルドに簡単に登録出来るという表記を添削しました。

 ふぉぉぉぉ……すごい光景だ。頭に獣耳がある人は獣人なのだろうか、すごい、リアル獣耳だ。もふもふしたい。しっぽも本物なんだろうか。もふもふしたい。取り敢えずもふもふしたい。眺めた感じでは、普通の人と獣人しかいないが、ドワーフやエルフなんかもいるのだろうか。 


 どれくらい通りを眺めていただろう。時間の感覚を忘れる位、只々通りを眺めていた。はっとして我に返る。まずい、このままでは眺めるだけで1日終わってしまう。取り敢えず情報収集を再開しなければ! 


 相変わらず興奮状態だが落ち着いて行動しよう。どうしようかと考えてると、肉を焼いているようないい匂いがしてきた。それに引き寄せられるように通りの屋台にふらふらと歩いて行くと、おっちゃんが肉を串にさして焼いてるみたいだ。なんの肉なんだろうか?


 「こんにちは、これなんの肉ですか?」


 「ホーンラビットの肉だよ。にいちゃん、1つどうだい?」


 ホーンラビット? ツノウサギ? だろうか? 聞いてもなんの肉かも分からないし、言葉が通じているのも不思議で、謎は深まるばかりだ。まあ、話せてるのなら問題ないか。それにしても、うまそうな肉である。食べてみたいが此方の世界の通貨などもっていない。日本円つかえますかね?

 

 「おっちゃん、俺お金ないんですけど、これいくらですか?」


 「銅貨5枚だよ。金が無いんなら食べさせてやれねーな。冒険者かなんかなんだろ? 金ある時にでもまた来てくれよ!」


 なるほど。銅貨か。10円じゃだめだろうか?合金だしだめだよな。紙幣通貨などあるのであろうか?いい匂いがするが食べれないのなら仕方がない。どうにかしてお金を稼いで異世界料理を味わってみたいものだ。屋台から離れようとすると、おっちゃんに呼び止められた。


 「にいちゃん、その手に持ってるのはなんだい? それ、その器みたいなのだよ」


 ん? ああ、カップラーメンずっと手にもったままだった。少し残ってる麺も伸びてるし、スープもぬるくなってしまってる。これ食べ物なんですよ、ラーメンと言うんですが食べたこと無い? おっちゃんに聞いてみるが初めて見るって、そもそもその高級そうな器はなんだって? なんだと言われても、発泡スチロールなどうまく説明できそうにないので適当にごまかして、異世界人に日本が誇るカップラーメンをおすすめしてみた。


 「うお! これうまいな! いろんな味がする。なんなんだこれは。こんなもの食べたことねーぞ」


 おお。好評のようだ。今日食べていたのはシーフードのやつだよ。たまに無性にたべたくなるよね。おっちゃんが物欲しそうにしてたから残り全部上げる事にした。


 「にいちゃん、いいのか! こんなご馳走ただで貰ったら悪気がするからうちの串食べてってくれ!」


 おっちゃんが串を1本寄越してくれる。結構おおぶりな肉だな。これ1本でも結構腹に溜まりそうな。焼きたての香ばしい匂いが漂ってくる。おっちゃんにお礼を言って肉にかぶり付く。

 

 「ん? 肉はうまいんだけど……もうちょっと塩とかコショウとか使ったほうがいいんじゃ……」


 かぶりついた肉は、肉そのものの味を活かしていて中々ウマイ。ウマイのだが肉その物の味過ぎてもう一味工夫すればもっとうまくなるとおもうのだが。香辛料が効いてないので少し臭みがある。


 「おいおい、にいちゃんどこぞの貴族様かい? うちみたいな店で塩やらコショウやら高級品使った日には赤字になっちまうよ」


 気になったのでおっちゃんに少し詳しく聞いてみる。どうやらこの国は内陸にあるらしく塩を輸入していてそれなりに高価だとか。岩塩とか無いのかな?コショウにいたっては中世よろしくかなり高価な趣向品になるのだそうだ。貴族様なんかじゃないとなかなか手にはいらないらしい。いるのか貴族。それこそ金と同じ価値を持つとか、そこまでは行かないながらも中々に手に入る物では無いらしい。まだ大航海時代は来ていないのだろうか。


 おっちゃんに別れを告げ、歩きながら考える。良い情報を仕入れられた。俺が問題なく地球と此方を行き来できればコショウなど輸入し放題だ。換金できる場所さえわかれば、お金の問題は解決するはず。となれば早速戻って買いに行こう。それに俺の、これからの目標を改めて考えたほうが良さそうだな。俺はこの異世界と、日本を行き来できる能力でお金を稼ぎ、人生を再建するのだ。お金は全てじゃないが、ほとんどだとアニメでも言っていたしな。人生を手っ取り早く豊かにするにはお金は必要だろう。

 

 そして、最終的に住みやすい方に移住して幸せに暮らすのだ。ハッピーエバーアフターというやつだ。それに冒険者とかいるみたいだし冒険もしてみたい! 男はいくつになっても心は冒険者なのだ。この世界もいろいろと見て回ったりしてみたいしな。よし! 善は急げだ! 何年ぶりかは分からないが、やる気に満ち溢れてきた! 人のいない裏路地に入り込む。自分の部屋に戻れるように頭の中でイメージする。多分これで行けるはずだ。すると目の前が歪み気づけば自分の部屋にいた。



♢♦♢



 「1瓶、銀貨1枚だ」


 目の前に座っているでっぷりとした腹の商人がニヤつきながら答える。


 

 俺は部屋に戻り、着替えたら近くのスーパーに走っていった。それはもう全力で走った。だいぶ運動不足できつかったが、走りださずにはいられなかった。スーパーでミル付きのコショウを10瓶買い込んできたのだ。ブラックペッパーというやつだ。ミル付きの瓶など異世界には無いのではないかと思い、「これ高く売れそうだ」と思い50gのやつを買い込んできたのだ。

 異世界に戻り、串焼き屋のおっちゃんに物を見せ、いくら位するのか聞いてみたところ、かなりの値段がつくでは、とのお言葉を頂いた。


 最初はそのへんの商人にでも売りつけようかと思ったのだが、高価過ぎて買えないと言われ、売るなら商業ギルド行けと言われてしまった。商業ギルドは商を行うのならば登録ができ、身分証を発行してくれるとのことなので、ついでに登録もしてしまおうと思い、場所を聞いて商業ギルドなる所へ向かった。


 商業ギルドは、天秤の看板が目印の3階建ての大きな建物だった。中に入るとカウンターが並んでおり受付がいる、役所のようなものだった。空いてる受付に座り、コショウを売りたいと伝えると、受付の女性が少々お待ち下さいと席を外し、しばらくするとでっぷりとした腹の商人が嫌らしい微笑を貼り付けて登場した。


 「私が、ゲーガス商会の会頭ゲーガスだ。コショウを持っているだとか?見せてもらおうか」


 ゲーガスと名乗る商人は傲岸な態度で席に着くなりコショウを見せろと言ってきた。随分威圧的な商人だ。少しイラつくがいちいち言い争うのも面倒くさいしな。おとなしくコショウを見せて買い取ってもらおう。そう思い、見せたところ先ほどの金額を提示された。おいおい、おっちゃんの話と値段が随分違うな。なんだろ、足元見られているのかな? それになぜ商業ギルドに売りに来たのに、なぜどこかの商会の人間と商談しているのだろうか?


 「お聞きしたいのですが、あなたは商人ギルドの人ですか? 俺は商人ギルドにコショウを売ろうと来たのですが、なぜ商人さんが出てこられたのでしょうか?」


 ちょっと下手に出て聞いてみる。なるべく刺激したくないのだが、あまりにも聞いていた値段と差がありすぎて心配になる。


 「何だ貴様? 私の名も知らないのか? ゲーガス商会はピエタで一番大きなの商会だ。そこの会頭である私が、ギルドを訪れたらコショウを売りに来ている奴がいると聞いたのでな。そこで私が直々に買い取ってやろうと出向いたのだ。いいか? 分かったならさっさと全てよこせ」


 おぅ……、なんとまあ……。これはあれだな、足元見ていると言うか、値を足元まで叩かれているのか。それにしてもこのおっさんなぜこんなにも偉そうに振る舞えるのか。なんにしてもこれでは商談どころではないな。同じテーブルについているが、同じ交渉のテーブルにはついていないようだ。


 「ゲーガスさん。その値段では話にならなそうなので、今回はやめておきますね」


 「何を抜かしておるのだ? 他で売ろうとでも思っているのか? この町で私が買うといったものは他の誰も手を出さんのだ。今大人しく手放すのが賢い判断だというものだぞ?」


 ふむ。話にならないな。ゲーガスは顔を真っ赤にしながら俺が売らないとわかると罵ってきているが、これでよく商売人が務まるものだ。この町以外にも町はあるのだろうから他で売ってもいいだろうに。まだゲーガスはなにか喚いているが無視をして商人ギルドを辞去する。やはり人と関わり合いになるのは難しいな。ギルドに登録すら出来なかったよ。コショウという在庫を抱え、依然、無一文。


 「すいません。先ほどのお話を聞かせていただいていたのですが、少々よろしいですか?」


ギルドを出て、立ち止まり考えていると声をかけられた。声の方に顔を向ければ、そこには爽やかスマイルの金髪碧眼のイケメンがいた。

お読み頂きありがとうございますっ!

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