28話 ギルドに依頼
第28話です。よろしくお願いします! ※誤字脱字修正いれました。
ようやく激痛から解放された! 顔の筋肉までもが痛む地獄のような数日だった。そして、心なしか、体つきが変わったように思える。
少し弛んでいたお腹はすっきりとしている。このまま腹筋とか割れないだろうか? 人生で1度はシックスパックになってみたい! そんな男の夢である。どうか、魂の階位があがり、結果にコミットしてきますように。
無事動けるようになったので、サクヤと話していたとおりにギルドに依頼を出そうと持っているのだ。ダンジョンにの歩き方的なやつね。
此方は、魔物を倒してもメインの魔石を回収し忘れるようなドシロウトなのだ。一から色々教えてくれる人を探そう。
冒険者ギルドは、今泊まっている宿からは同じ北区画にあるので歩いて行ける。サクヤと宿で朝食を済し早速向かうことにした。
朝のギルドは、先日来た時とは違い、人が多い!
冒険者的な装備をしている人や、普通の街の住人のような格好をしている人など混雑していた。依頼に来ているとかだろうか? 受付を眺め、先日登録した時の受付嬢のカウンターに並ぶ。別にかわいいとか思ってないんだからね?
「おはようございます! 本日はいかがされました?」
「おはようございます。ダンジョンのことや戦闘に関して指導してくれるような方を探していて、依頼としてお願いしようかと思いまして」
「それは懸命な判断ですね! 最近は、技術も無いのに無謀な挑戦をして命を落とす方が多いので、ギルドでもなにか対策をしようかと思っていたんですよ!」
そうだよね。簡単に登録できるし無謀な奴もでてくるよね。冒険者育成のためになにかしら対策を考えてるみたいだ。
「それでは、依頼のお話を伺いますね。遅ればせながら私は、ローラと申します。よろしくお願いします!」
「俺はマヒロ・アサヒナで、此方はサクヤと言います。よろしくお願いします」
ローラさんは、茶色の髪を一つにまとめている小柄なかわいらしい女性だ。歳は20歳前後だろうか?
依頼したい内容を伝える。戦闘に関して、ダンジョンの攻略のスタンダード、魔石の取り方、等など。
俺達の様な新米冒険者は、懇意になった先輩冒険者パーティーに参加させてもらって技術を盗むのだそうだ。
だが、皆が快く技術を教えてくれる分けもなく、なかなか新米がパーティーに参加するのは難しいそうな。それができなければ我流でいくしか無い。どうしても事故が多くなるのだ。
「依頼の内容は良いと思うのですが、やはり冒険者は自分の食い扶持を守るために、持っている技術を秘匿しがちですからね。依頼を受けてくれる人が現れると良いのですが」
ローラさんの困り顔。心が狭い冒険者が多いと。まぁ、命をチップにして稼ぐんだものな。そうそう教えてくれないよね。
あれこれ話し合うが中々良い案が出てこない。そんな時に後ろから「ちょっとごめんよ」と声をかけられた。振り返ると背が高く、赤髪を肩口で切りそろえている女性が近づいてくる。体もでかいが……胸もビッグだ!
「ローラ、あんた朝からさぼりかい? 他の受付は混んでるってのに、ほら、以来の達成証。受付頼むよ」
「フランカさん! ちゃんと並んで下さい! それにさぼってるんじゃありませんよ! 依頼の相談を受けてるんです!」
フランカさんと呼ばれる女性は、ローラと仲良しらしく、気軽なやり取り。
身長180cm以上あるのではないだろうか? 体は鍛えられているのか引き締まっている。体の大きさと比例して胸もビッグ! つい目で追ってしまった。あ、痛い、サクヤ止めて、抓らないで。
ローラさんによると、フランカさんは元冒険者で結婚を機に引退。旦那の稼ぎが少なくて家計のためにギルドで街の中での配達や、簡単な依頼をこなしているとか。
ギルドには建築現場の手伝いとか日雇いの仕事の依頼なども来る。ローラさんが事情を説明すると、
「なるほどねぇ、もし良かったらその依頼あたしが引き受けようか? 引退してから結構立っちまってるからね。最新の情報とかは無いけど、基本は教えられると思うよ」
それは名案とばかりに一同賛成する。フランカさんは、元々アイアンクラスの冒険者で、パーティーを組んでダンジョンに潜っていたそうな。経験は豊富なので申し分ない。後は期間と金額だけだな。
「指導の期間と依頼金はどのくらいにしますか?」
「そうですね、フランカさんが普段こなしている街の中の依頼が1日大銅貨3枚ほどですから……」
「期間は大体1月位は欲しいね。基礎といっても戦闘技術なんかはすぐには身につかないからね」
「なら、色々とお世話になるので金貨2枚でどうでしょう?」
「そんなに貰っても良いのかい!? 随分と太っ腹じゃないか! 気に入った! あたしがみっちり仕込んでやるよ!」
戦闘技術まで教えてもらえるならば安いものだ。金の力で解決である。なんといっても俺は小金持ちなのだ。肩をがっしり組まれる。あたっている! ビッグな胸が!
「ご主人様を離して下さいっ! 嫌がっておられます!」
「嬢ちゃん嫉妬かい? 若いねぇ。あんたの旦那は嫌がってないみたいだけど?」
「旦那っ……、違います! ご主人様で御座いますっ! お離れ下さいませっ!」
サクヤにぐいっと掴まれて引き剥がされる。さらばビッグな胸よ。ちなみに、俺は別に巨乳派ではない。
「フランカさん、あまりサクヤをからかわないでやって下さい。それで、指導してもらう場所はどうしましょう?」
「それなら、ギルドの裏手にある訓練場を使うのはどうでしょう? ギルド登録者の利用にはお金かかりませんし!」
ローラさんが教えてくれたのはギルドの裏手にある広場だ。あれ訓練場だったのか。ただの空き地だと思ってたよ。タダで貸してもらえるならそこで良いだろう。
「そうしましょうか。あとはフランカさんの都合ですが、いつ頃から初められますか?」
「そうだね。あたしは今日からでも問題ないよ!」
壁にかかっている時計をみると、時間はまだ朝と言って良い時間だ。
この世界にも時計は普通に普及していて、魔道具としてお高めの値段で売られていた。電池代わりに魔石を使うそうだ。特に用事も無いしこのまま訓練開始でいいかな?
サクヤに相談してみたが、「ご主人様にお任せします」とのこと。
「では、早速今日からでお願いします」
それならすぐに依頼書作成しちゃいますね! とローラさんが手際良く書類を準備、サクヤに頼んでサインをしてギルドカードを渡して手続きを取ってもらう。支払いは、先払いで金貨1枚、終了後に金貨1枚となった。
「それじゃ、あたしは準備してくるから先に訓練場で待っててくれ!」
「わかりました。俺達も一回宿に帰って準備をしてきますので訓練場で再集合でお願いします」
「わかったよ! あ、武器は持ってこなくていいからね。ギルドの訓練用の備品が有るだろうから」
了解ですっと謝辞して準備に宿に戻る。
「訓練はどんなことをするのでしょうか? ふふっ、なんだか昔お祖父様に訓練をして頂いていた頃を思い出してしまいます。楽しみで御座いますね、ご主人様?」
「そうだね〜、どんなことするんだろ。まぁ、俺たち初心者みたいなもんだからそんなにハードなものじゃなきゃ良いけどね。とにかく頑張ってみようか」
せっかく教えてくれるのだから頑張って色々と吸収させて貰おうではないか。
そんな風に俺とサクヤは、あはは〜、うふふ〜と、笑顔で、どんな訓練か楽しみだね、なんて話ながら準備をして訓練場に向かったんだ。
そして始まったんだ。あの俺達の、長く苦しい戦いの日々が。
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