25話 冒険者ギルドの登録証
第25話です。よろしくお願いします!
こんにちは! ニコッと笑顔で迎えられた冒険者ギルドのカウンター。受付には女性ばかりで、人間、獣人の妙齢の女性が並んでいる。
あれかな? 顔で選んでるのかな? 冒険者と聞くと思い浮かぶのは筋骨隆々たくましい男であるから、女性の受付で意欲向上を狙っていたりするのかも。しかしながら、俺にはサクヤという美女が傍にいるので、その笑顔はきかないぜ。
「こんにちは、冒険者登録をしたいのですが、ここで受け付けてます?」
「はい! 此方で構いませんよ! それでは、お二人様ですか? 早速手続きをさせていただきますね」
手慣れた様子でカウンターの下から何やら、記入用紙のようなものを取り出し2枚並べると、羽ペンも用意。ちなみに、俺はこの世界の文字は読めないし書けない。スキル言語翻訳は、音声翻訳のみなのだ。
「書けるところだけで構いませんので、名前だけは最低限書いてい頂くようにお願いします! 此方の内容がギルドカードに記載されますので、スキルなんか書いておくとパーティー組むときに話がはやくなりますよ。代筆も承ってますので言ってくださいね!」
ふむふむ、俺はサクヤ以外とパーティーを組むことはないだろうから名前だけでいいや。サクヤは字が書けるそうなのでサクヤに書いてもらう。ささっと書いて受付嬢に手渡す。
「それではすぐに登録証を発行しますので少しお待ち下さいね! ギルドランクについてはご存知ですか? ご存知ないようならご説明させていただきますね!」
ギルドランクなる物もあるのか。全く知らないので、説明お願いします。
「はい! それでは、まず冒険者に登録したばかりの方はウッドランクとなり、木製のギルド証が発行されます。仮登録の様な状態ですね、これは正式な身分証にはなりませんのでお気をつけ下さい!そして……」
聞くところによると、ダンジョンで一定数の魔石を回収してくるとランクが上がるらしい。
ウッドランク 木製プレート 見習い
カッパーランク 銅製プレート 正式な身分証になる
アイアンランク 鉄製プレート この辺で1人前
シルバーランク 銀製プレート 中級者、一目置かれる
ミスリルランク 神銀製プレート 上級者、かなりの実力者
オリハルコンランク 神金製プレート 一握りしかいない、偉業を成し遂げたもの
こんな感じになっているとか。オリハルコンランクのプレートに至っては、それを売り払うだけで一生遊んで暮らせるらしい。あるのかミスリルにオリハルコン。
ミスリルは鉱山から採掘されるそうだが、オリハルコンは稀に、古代の遺産としてダンジョンから発見されるとか。どちらも不思議金属だ。
ランクは、魔石を納品するか、ダンジョンで大発見をするか、ダンジョン自体を攻略したり、何かしらの偉業を達成しないとあがらないのである。
依頼をこなしてもランクは上がらず、報酬金のみらしい。なので、新米の小遣い稼ぎか、ダンジョンに潜るのをやめた冒険者などが受けたりしている。
魔石には純度があるらしく、純度が高いものは赤く透き通っており、宝石のように輝いているとか。純度を測る測定器らしき物もあるのだそうだ。
俺たちの目標は、まずは魔石を納品してカッパーランクに上がることだ! そうしてようやく念願の身分証が手に入り、他の街や国に移動できるようになるのである。
「こんなところでしょうか? また何かご質問があればいつでもどうぞ! それでは、此方がウッドランクの登録証ですね。無くさないようにお願いしますね。なくした場合の再発行はお金が掛かりますので! 登録料金として、お一人様銀貨1枚ですので、合わせて銀貨2枚頂きます!」
結構しっかりお金とるのね! 意外と高かった登録料の銀貨2枚を手渡す。先に説明してほしいものだ。カードサイズの木の板に名前とランクだけ書かれているようだ。受け取った登録証をサクヤに手渡す。
「これが……、夢にまで見た冒険者ギルドの登録証! ご主人様! ありがとうございますっ!」
キラキラお目目で尻尾をちぎれんばかりに振り回し登録証を胸に抱く。今はこんな木の板だが、すぐにでもランクを上げてみせようじゃないか!
その後、昼食にいい頃合いだったので、二人で冒険者ギルドのすぐ横手にあるダンジョンの入り口付近に出ている出店で軽く頂いた。この後はかるーくダンジョンに潜ってみるつもりなのだ。様子見だ!
グラヴィーナにあるダンジョンは、その名の通り地下に潜っていくタイプのものらしく、各階層は洞窟だったり、いきなり草原や、森の中などびっくり空間となっている。
下に行けば行くほど強い魔物がいるそうで、10階層ごとにフロアマスターと呼ばれる魔物がおり、そいつを倒さないとさらに下の層にはいけないらしい。
フロアマスターのいる部屋は大部屋になっていて、フロアマスターを倒すとその階にある、魔法陣というやつが起動出来るようになり、ダンジョンの入り口付近にある魔法陣からワープして出てこれるそうな。
倒したフロアマスターの魂の一部と吸収することによって使えるようになるのだろうとされている。
一方通行ではなく、ワープで戻ることも出来るようだ。この魔法陣は今だ解明されていない魔法技術すだそうだ。すげぇなダンジョン。超技術満載すぎる。なお、潜るタイプのダンジョン以外にも種類があるそうな。
俺たちは、本当に初心者だからな! まずは1階層付近で、魂の階位を上げる、要はレベルアップをするのが再優先になる! 作戦は、命を大事にだ!
「いよいよで御座いますね。ご主人様! 私、興奮してまいりましたっ!」
サクヤ大興奮。現在ダンジョンの入り口となっている門の前に立っている。
ダンジョンの入り口付近は、魔物が外に出てきても対処出来るように衛兵の詰め所があり、門をくぐれば光が遮られ薄暗い。何やら壁が発光している様で、松明などはいらなそうだ。
大きな通路となっていて、ゆるい下り坂を10分ほど歩くと広場に出た。まだダンジョンの内部ではなかったようで、ここから見える扉より先がダンジョン内部となっているようだ。
広場には出店が出ていて、多数の冒険者で少々混み合っている。出店を見てみると、保存食や水、ダンジョンの地図なる物が売っていた。10階層までの物を見つけたので買っておこうか。
「この地図はおいくらです?」
「いらっしゃい! 10階までの地図は大銅貨3枚だよ! 初めてダンジョンに挑戦するなら絶対持っていたほうがいいよ! 保存食に水も今ならサービスするよ!」
ふむ、地図はあったほうがいいな。取り敢えず地図だけで。ポケットに手を突っ込んで、シソーラスから取り出したお金を握り、手渡す。お金もシソーラスに保管しているので、落とす心配などもないのだ。一応、このスキルも秘匿している。
「まいどっ! また頼むよ!」
サクヤと他の出店も覗いてみると、ダンジョンで取れる魔物の肉が焼かれた串焼きだとか、酒が売っていたりだとかちょっとしたお祭りみたいだ。相変わらずルドラアトルの肉は何肉なのかよくわからん。
鉄でできた扉。隣には衛兵の駐在所のようなものがある。ここでギルド登録証をチェックするようだ。
「随分と綺麗何処を連れてダンジョンに潜るんだな! こんなに美しいお嬢さんを傷物にするんじゃねえぞ! 気をつけて行けよ!」
衛兵数人から、やんややんやと囃し立てられる。そうであろう? うちのサクヤは美しいのだよ。気をつけて行ってきます。挨拶をして、いよいよダンジョンアタックの開始だ!
「それじゃ、行こうかサクヤ!」
「はいっ! ご主人様は私がお守り致しますのでご安心下さいませ!」
サクヤの決意のこもった瞳を見やり、ダンジョンの扉を押し開ける。さぁ! いってみますか!
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