18話 追加注文
第18話です。よろしくお願いします! ※誤字脱字・改行修正しました。 金貨収入額を訂正しました。セリフ修正いれました!
冒険者ギルドの存在を思い出した俺は早速向かおうと思ったのだが、サクヤの分も作ってしまった方がいいとロランさんに言われたので、サクヤの体調がもう少し良くなったら一緒に行くことにした。
石鹸とシャンプーは、宿に戻ったロランさんが早速使ってみたらしく、大絶賛だった。ルドラアトルの人々は、美男美女が多いのだから更に石鹸とシャンプーで磨きをかけてほしいものだ。
話し合った結果、石鹸は1個銀貨1枚、シャンプーが銀貨5枚と超高額の値段設定になった。とくにシャンプーはボトルが物珍しいので、この金額でも安い設定だそうだ。今回の取引だけで金貨8枚の売上だ。こんなに暴利でいいのだろうか。小心者の俺としては心配になる。
金貨7枚もの現金収入を得た。
手持ちのお金は、金貨14枚と少しといった所。なかなか稼ぐのは難しいな。もっと大きく稼ぎたいのだが、なにか良い方法は無いものだろうか。自分の店舗を持ったりもいいのだろうが、この街に永住するわけでは無いからな。考えものだ。
サクヤにも生活魔法ではなくシャワーをあびるように勧めて、石鹸とシャンプーを使わせている。お値段お高めのシャンプーとトリートメントを使わせているので、白銀色の髪と尻尾の触り心地が更に良くなっているはずだが、未だもふってはいない。
思い切ってお願いしてみようかな?
「サクヤ、大事な話があるんだが」
「はい? なんでございましょうか?」
「サクヤの耳と尻尾をもふ……なでさせてもらってもいい?」
「耳と尻尾でございますか……? えぇっと……、ご主人様にはなら構いませんが、その、優しくお願い致します……」
ああ、もちろん優しくするよ? 繊細かつ大胆なフェアリーなタッチで耳に触れる。おぉぉぉ、温かい、もふもふだ、髪は痛みがあるものの、さらさらとしていて細い。尻尾に触れる。ふぉぉぉぉ……、なんてもっふもふな。あぁ……、なんてもふもふなのだ。この手触り、なで心地、首に巻いたらさぞ温かく心地良いだろう。ずっとこうしていられる。夢の時間のようだ。そう、俺達の夢は終わっていなかったんだ。
「あ、あの……、ご主人様……、そろそろ……」
はっ!? 何が起こった? 素敵な時間は過ぎ去るのが早いというが、ここまで早いとは! 気がつけば、外は暗くなっているではないか。こんなにも世界のスピードは速かったというのか!? サクヤは魔性の女だったのだ。
「ふぅ……、ありがとう。俺の心が癒やされたような気がするよ。おかげでまた明日も頑張れそうだ」
「は、はい。こんな事でお役に立てるのなら、頑張りますのでいつでもおっしゃってくださいませ」
こんなにも心が癒やされた日は人生で一度でもあっただろうか? サクヤの顔が少し赤いけど、異性に尻尾とか触れさせるのって恥ずかしかったりするのかな?
♢♦♢
「マヒロさん、石鹸とシャンプーの追加をお願いします」
サクヤの尻尾に魅了され、世界のスピードの速さに取り残された日から早数日、今日も朝からサクヤをもふり穏やかな日々を送っている。サクヤも順調に回復してきているみたいだな。青白かった顔も血色良くなってきているし、少しふっくらしてきたみたいだ。
宿か家に引きこもり、あれ? これ前と生活変わってなくね? と気づいた頃に、コンコンとノックのからの、石鹸とシャンプーの追加注文。良いタイミングできてくれたよロランさん。またも引きこもるところだった。
「了解です。どのくらい必要でしょう?」
「そうですね……、石鹸を100個、シャンプーを200個ほどお願いできますか?」
懇意にしている貴族に渡し、しばらくしてから様子伺いに向かった所、今やグラヴィーナの貴族の間で噂が爆発的に広がり奥様方やご令嬢からどこで買えるのかと、ひっきりなしに問い合わせが来ていて困っているとのこと。
石鹸で金貨10枚、シャンプーで金貨100枚になる。いきなりの大商いだ! 金貨110枚、ビックウェーブがきた! 乗るしか無い。大至急ドラッグストアに買いに行かなければ。ロランさんには一旦お引き取りいただこう。
「在庫が足りるか確認したいので、確認できたら持って行きます。この後は出かける予定ありますか?」
「品をお持ちいただけるのであれば、何処へも行かずお待ちしています。貴族にも大至急用意してくれと言われておりますしね」
それでは、とロランさんをお見送り。サクヤを連れて転移発動! 一緒に外出できるかもと期待していたようだけれど、サクヤは安定のお留守番。耳ぺたーん。
今回は大量だから何軒も回らねばいけないだろう。やはり車がほしいな。今回の取引が終わったら購入を検討しよう。
手持ちの日本円も心もとなかったので、金貨を2枚ほど売り払ってきた。前回と同じところで売り払ったのだが、あまり同じ店だとまずいかな? 何処か探しておかないとな。
思いつくドラッグストアを回り必要数購入出来た。何かあるかもしれないからと、予定個数よりも多めに買っておいた。
荷物が大量だったが、スキル、シソーラスで収納。シソーラスに収納したいものに手を触れてイメージすると手に吸い込まれる様に消えていく。取り出す時も、イメージすれば取り出せるというとんでもスキルだ。なにがどのくらいあるかというのもなぜだか理解できている。便利すぎる。
結構時間掛かってしまったがミッションコンプリートなので、サクヤを連れてルドラアトルへ。え? もっとテレビ見ていたいの? ダメだよ! この後はサクヤの服買いに行くからね!
この後は大金が入る予定なのでサクヤに服を買いに行こうと思うのだ。着たきり雀じゃ美人がもったいないからね。ちなみにサクヤは生活魔法が使えるので服は清潔だ。
渋るサクヤを連れて、ルドラアトルへただいましたら、早速ロランさんの部屋へお邪魔する。
「在庫が確認できたので持ってきましたよ。ここでお渡ししてもいいんですか?」
「ありがとう御座います。量がありますから馬車を用意します。少々お待ち下さい」
宿の下働きの者を、借り馬車屋へ走らせるようだ。お金は半金を先払いしてもらい、残りは商品が売れ次第渡してもらうことになった。申し訳無さそうにしていたが、気にしなくていいよ。ロランさんも流石に金貨110枚は持っていなかったようだ。
馬車を待つ間、サクヤの洋服を買うのは何処が良いか聞いておくのも忘れない。やはり東の商業街にある店がいいというので、店の名前も聞いておいた。プリュデルマシェ裁縫店だそうだ。噛みそうな名前だ。
馬車に石鹸とシャンプーを納入すると、ロランさんはこのまま貴族の元へ売り込みにいくそうな。また、と別れて部屋に戻る。
「サクヤ、服を買いに行こう。体調が悪くなったらすぐに言ってね」
「かしこまりました。もう随分と体の調子も良いので、大丈夫です。良い服が見つかるよう、全力でお手伝いさせて頂きます」
胸の前で拳を握り気合を入れているが、あなたの服を買いに行くんだよ? 早速、辻馬車を捕まえお店の前までと、馬車に揺られる事しばらく、到着の様子。
「あの、女性向けの服ばかり見受けられるようなのですが、ご主人様がお召になるのですか?」
いや、そんな訝しげにみないで。サクヤの服だから。女装癖とかないからね。
「私のでございますかっ!? そんな、もったいない! ご主人様にはご迷惑しかおかけしていないのに、服を買って頂くなど以ての外です!」
自分の服が買えるのが嬉しいのか、発言とは裏腹に、尻尾がぶんぶんと音を立ててるよ。オシャレに興味ない女の子はいないよね。いいよいいよ! 気にしないでね。
この店は中古品の古着と、新品の既成品も売られている女性服専門店だ。
遠慮して古着を選ぼうとするサクヤを、店主のマダームに押し付けて新品の既成品を選ぶように言い含めると、真剣に吟味し始めたようだ。女性の買い物が長いのは異世界でも変わらないだろうから、のんびり待っていることにするか。
お読み頂きありがとうございますっ!