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17話 石鹸とシャンプー

第17話です。よろしくお願いします。

 映画も見終わり、サクヤを宥めたら昼食の時間を過ぎた頃にだったので、昼は消化に良い、おうどんを作ってあげった。おいしいですか? そうですか。お口にあってなによりです。お箸が使えないので、フォークでぐるぐる巻いて食べてた。


 食べ終わったらサクヤを連れて転移! ただいまのルドラアトルだ。地球の方が異世界の様な感覚がしてきている今日このごろ。サクヤにちゃんと体を休めるように言い含めておく。家にあった旅行雑誌を何冊か渡してあり、綺麗な絵が色々乗っていて、見ていて楽しいのだそうだ。ほっとくとずっと見ていそうだらね。


 石鹸とシャンプーを持って3階へ上がり、ロランさんの部屋をコンコン。あれ? いないみたいだな。予定を聞いておけばよかったな。携帯電話など無いから連絡の取りようもないしな。宿のフロントの人はどこいったか知らないだろうか? 聞いてみるか。


 1階でフロントの人に、ロランさんどこ言ったか知らない? お尋ねすると、商業ギルドに向かったそうだ。俺に聞かれたら、その旨、言付けていったそうだ。できる男ロラン。


 そうだ! 思い出したけど、ずっとギルドに登録するの忘れていたよ! もはや、そんなのもあったよね、位の感覚になっている。ここは、商業ギルド行って、ロランさんと合流するついでに登録してこよう! 


 宿の人に場所を聞くと、商業ギルドは西区画にあるそうで、辻馬車で行くように勧められた。この街はかなり大きいので、歩いて行くとかなり時間がかかってしまうと。


 謝辞を告げ、通りを歩きながら馬車を拾う。商業ギルドまでお願いします。御者さんと話していると、なんとこの街の辻馬車は公営だそうで、町の中ならどこへ行くでも一律、大銅貨2枚だとか。南区画にお住まいの平民さん方は、何人かで乗合いし運賃を割り勘するそうだ。御者さん公務員さんでしたか。


 しばらくすると金属を叩く音などが響いてきた。西区画の職人街だ。馬車もゴトゴトと音をたててモノ作りの喧騒の中を進む。結構奥まで行くんだね? どこまで行くのかな? と思っていたところ、到着したらしい。


 馬車を降りると、いつぞや見た天秤の看板だ。この街の商業ギルドも大きいな。見上げれば4階建てのレンガ造り。レンガ造りのでかい建物はなんだか迫力がある。


 中に入ると、建物は吹き抜けになっていて、1階が、各種受付窓口だろうか? カウンターが沢山並んでいて、揃いの白いシャツに、短いネクタイを着用した職員が対応している。


 上階に目を向けると、沢山の扉が並んでいて、そこを商人の様な人や職員が忙しそうに出入りしている。商談用の個室だろうか?


 ぼけ〜っと、皆さんの忙しそうに動いている様子を見ていると、2階の個室からロランさんが出てくるではないか。良いタイミングだ。階段の下で待ち構えよう。


 「おや? どうやら言付けておいて正解だったようですね」


 階段から降りてくる最中に此方に気づいたみたいだ。爽やかスマイルで此方にやってくる。


 「ええ。大正解でしたよ。ちょうど良い商品が思いついたもので、急いで持ってき……」


 「マヒロさん! ここではなんですから! 個室を用意してきますから待っていてください」


 ロランさんに口を遮られもがもが。あまり聞かれないほうがいいのか。空いている受付で二言三言、羽ペンでささっとサインする。


 「さあ、2階の部屋を抑えましたので行きましょう」


 2階の扉の部屋は商談をする個室であっていたみたいだ。個室には2人掛けのソファーが、背の低い木製のテーブルを挟むように置いてある。


 「流石に、人の多い所でしたい話ではありませんからね。秘密の話をするには個室にかぎります。早速ですが、何か良い品を思いついたのですか?」


 ロランさんとよく個室で2人きりになるな。気にしたら負けだ。


 「そうなんですよ。これなんかいいんじゃないかなと思って」


 持ってきた石鹸をテーブルに置き、石鹸を箱から取り出しロランさんに手渡す。箱から出すと漂うほのかなバラの香。どうだろうか? かなり自信あるんだけどな。なんと言っても、日本のロングセラー商品なのだ。


 「これは……、石鹸ですか。それにしても……香りがいいですね」


 「そうなんですよ。宿に置いてある石鹸を使ったのですが、香りも良くないですし、全然泡立たなかったので。その石鹸は香りもいいですし、泡立ちもすごくいいんですよ。もちろん汚れもよく落ちる。洗い終わった後はお肌がしっとりすべすべになること請け合いですよ」


 「なるほど……。それが本当なら、高級石鹸として貴族相手に売れますね。ただ、一度私に使わせて頂けませんか? マヒロさんのお持ちの物なので間違いは無いと思うのですが、念の為に確認したいので」


 「構いませんよ。そちらをそのまま差し上げます。それとですね、これもお勧めしたいのですよ」

 「これは! なんとも綺麗ですね。置物ですか? 花瓶とは作りがちがう様な気がしますし」


 置物? いいえ、シャンプーです。ボトルの見た目キレイだもんね。シャンプーの使い方も説明する。ルドラアトルにはシャンプーの様なものはなく、あの泡立たない石鹸で洗うそうだ。


 ふと前にゴブリンと遭遇した時、魔法で綺麗にしてもらったのを思いだしたので、訪ねてみると、生活魔法というもので綺麗にすることができるのだが、生活魔法といえども、魔法であるので使える者は少ない。誰もが気軽に使えるわけじゃないとのこと。


 普段はシャワーを浴びるのが一般的だそうだ。それに、ただ汚れを落とすだけでなので、髪に艶が出たり、肌がしっとりとしたりすることはない。


 うん。それなら売れそうだな。特に女性には人気がでるのではないだろうか。やはり購買意欲の高い層と言えば相場は女性と決まっているしな。石鹸やシャンプーは全年齢で使えるし、貴族などは男でも見栄えも大事だろうから、一度使ってもらえれば良さが分かるはずだ。


 「この石鹸とシャンプーなる物がお話通りのものなら、これはかなりの売れ筋になりますよ。ちなみに、在庫はどれくらいあるのでしょうか?」


 そうだよね。そこ気になるよね。今渡したのを含めて、石鹸30個にシャンプー10個だ。う〜ん、まだアイテムボックスにそこそこ入ってると誤魔化しておくとするか。いくらでもとは言えないからな。


 「金額なのですが、一度使ってみて判断させていただいてもいいですか?」


 「はい、ロランさんが使ってみてこれは行けるとなったら改めて金額は詰めましょう。後、商業ギルドに登録したいのですが、どういった手続きがいるのか教えてもらえますか?」


 商人ギルドは登録が結構面倒くさいようだ。必要事項を紙に記載して申請をだし、その後に担当職員の面接。問題がなければ、鑑定のオーブと言うものでステータスを商人ギルド発行の金属プレートに転写すると。


 それダメなやつだよね。転写されたら堂々と異世界人て出ちゃうもんね。なので、商業ギルドへの登録は断念した。引き続き、ロランさんに商品を卸す方向で行こう。貴族に売り込む伝なんかもないしね。


 「なるほど。中々に面倒くさそうですね。登録はやめておきます」


 「面倒というほどではありませんが、少し時間がかかってしまいますね。当日面接できるわけではありませんし。登録すると税金もかかりますしね。このまま売り込みなどは私に任せて頂ければお互い、良い商売ができると思いますよ」


 仰るとおりですね。でも、俺は、身分証が無いと他の街などには入れない。身分証がない人間は、入る際に鑑定のオーブと言うものでステータスをチェックされるようだ。異世界人と、でてしまうよね。


 この街に入る時は、手続きがあると時間かかるから、ロランさんが話を通し、ロランさんを保証人としてこの街だけで有効な滞在証を発行してもらったのだ。


 俺がこの街に永住するなら問題ないが、いつかは旅立ちの日が来るはずだ。この世界を見て回りたいってのもあるしな。なんとか身分証が手にはいらないものか?


 「それならば、冒険者の登録をしたらどうでしょう? 冒険者ならば、お金さえ払えばすぐにでも登録できますよ?」


 なんだって! すっかり冒険者ってやつを忘れていた! そういえばそんなのも有りましたよね! そうか……、そんな手があったのか。


 ここは! なってしまうしか無いだろう! 冒険者ってやつに!

お読み頂きありがとうございますっ!

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