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16話 ライオンは魔物じゃないよ?

第16話です! よろしくお願いします! ※セリフ修正いれました

 チュンチュンと、鳥の鳴き声。明かり取りの窓から差し込む日差しを浴びて、意識がゆっくりと覚醒していく。閉じた目が熱いような痛いような。 


 チュンチュン? スズメ? スズメなのか? 昨日少し飲み過ぎたかな。体を起こす。昨夜、シャワーを浴びて石鹸が売れるかどうかしっかり考察しようとか考えてたけれど、普通に寝てたみたいだ。


 サクヤが来てからは、看病があったのでルドラアトルの宿で寝起きしている。同衾ではない。部屋はツインなのだ。


 「おはようございます旦那様。今日も良いお天気でございますね」


 サクヤも起きていていたようだ。あくびをしながら体をぐい〜っと伸ばす。


 「おはよーサクヤさん。いい天気みたいだね。体はどう?」


 「はい、おかげさまで大分良くなってきたみたいです。ご主人様、私のことはサクヤと呼び捨て下さい」


 「あぁ、そうだったね。ついさん付けしちゃうよ。今度から気をつけるよ」


 はい。と優しい笑顔。朝から素敵すぎて、ぼんやりしていた意識がぱりっと覚める。


 さて、今日は日本に戻って石鹸とシャンプーを此方に持ってこよう。サクヤが出歩けるようになったら服とか買ってあげたいから早いところ稼がないと。


 サクヤは、ゆったりとしたマキシワンピースを着ている。ちゃんと尻尾がだせるようになっているみたい。ふさふさ尻尾だ。ロランさんからのいただき物だ。


 「今日も、日本で用事があるから向こうに戻るけど、サクヤはどうする? 体調が悪くなさそうなら一緒にいく? 外には出られないからどっちにしてもお留守番だけど」


 「私も是非ご一緒させてください! あの……、随分と体の調子が良いようなので……、ご一緒に外出させて頂くのはだめでしょうか?」


 外出たいのか……、いや、ダメだろ。犬耳と尻尾あるもん。耳は帽子で隠せるとしても尻尾やばいよね。コスプレで押し通せるかもだけどさ。いや、そんな上目遣いでみないで! 


 首を縦にふってしまいそうになるが、ここは毅然とした判断が必要だ! 


 「う〜ん。今回はまだ大事をとってお留守番だね。体も治りきってないだろうし、日本には獣人がいないから、耳と尻尾を見られたら騒ぎになっちゃうかもしれないからね。今度、出歩けるように何か考えとくよ」


 そんなしょぼ〜んとしないで。耳がペタってなっちゃってるよ。もふもふしたい。帽子とゆったりとしたスカートで隠せば行けそうだけど、うちには無いからな。今度買ってきてあげよう。


 サクヤを連れて、家に転移する。時間が早くてまだ近くのドラッグストアが開いていないので、取り敢えず朝食でも作るか。と言っても、サクヤの体調を考慮してお粥だな。コンビニで買って置いたお粥をレンジでチンする。


 「この赤い実は、木の実でしょうか?」


 「そうだよ。お粥によく合うし体にもいいんだよ。食べてみて?」


 お粥にウメボシのトッピング。ルドラアトルにはないのだろうか? ウメボシいいよね。梅は三毒を断つとかなんとか。クエン酸で疲労回復だ。さらっとおすすめしてみる。


 「ひゃぅっ!」


 おぉ、口に入れた瞬間毛が逆立って尻尾がピンッてなってる。良いリアクションだ。


 「初めて食べたの? おいしでしょ?」


 「うぅ〜、ご主人様っ……すっぱいです! ものすごくすっぱいですっ!」


 知ってるよ。梅干しだもの。おいしいよね。二日酔いにもいいとか聞くよね。健康にいいのだから残さず食べるんだよ? 


 健康といえば、ルドラアトルに行けるようになってから早寝早起きと健康的な生活送っているな。


 サクヤは、すっぱいすっぱい言いながら食べてる。えらいえらい。食べながら、最近こっちのニュースとか見てないなとか思ったので、リモコンぽちっと。


 「ふぁっ! ご主人様っ! これはっ! これはなんなのですかっ! 映像のアーティファクトでございますか! まさか、ご主人様がこんな物をお持ちであったなんて…… 」


 テレビをみて驚きまたも目を見開き、口を半開きのサクヤ。忙しい子。こらこら、美少女が朝からそんな面白い顔してはいけませんよ? 


 それに、アーティファクトってなんだ。テレビには古代の超技術なんか使われていないからね。文明の力です。


 これはなんですかとしつこいので、違う場所の映像を遠くで見れる物と説明したら、やはりアーティファクトなのですねと勘違いしていたが、映像を電波にのせて云々など説明できそうになかったので、そういう事にしておいた。


 朝食をすましたら、ドラッグストアが開くまでまだ時間があるので、簡単に家の掃除でもしておくかな。サクヤにはテレビでも見ていてもらうか。


 「俺はちょっと部屋の掃除とかしておくから、テレビでも見ててよ」


 「そんな、お掃除を手伝わせていただきます。むしろ、奴隷なのですから、私におまかせください」


 いや、そんなテレビ凝視しながら言われてもね。家の事はサクヤじゃ分からないことがあるだろうし、病み上がりなのだから、テレビをみながらゆっくり休んでてね。


 「そうですか……。確かにそうですよね。では、大変心苦しいのですが、体調などを考慮いたしましてご主人様のお言葉に甘えさせていただきます。本当に心苦しいのですが」


 神妙な顔してるけど、しっぽがブンブンと左右に振られ、耳がピコピコ動いて嬉しさを表現しちゃってるよ! テレビ見たかったんだね。ただ寝てるだけだと暇だしテレビでもみながらゆっくりしてて下さい。お茶とお煎餅でも出しておこう。



♢♦♢

 


 掃除やらなにやらで、ぼちぼちいい時間になったのでドラッグストアへごー。


 石鹸は何にしようか?ボディーソープじゃなくて固形のほうがルドラアトルでは馴染みがあって売りやすそうだからな。お、これにするか。


 選んだ石鹸は、有名な牛乳のあれだ。これは匂いもいいし、泡立ちもすごいからな。店頭に並んでいる在庫を見ると20個くらいあるので全部買い物カゴへ。


 シャンプーはどれにするかなー。よくわからないので、某有名メーカーのオールインワンシャンプーを10個ほどカゴへインした。


 こんなものでいいだろう。ロランさんに見せて、反応良ければまた買い占めにくればいいしね。


 そうだ、スキンケア商品なんかも売れそうだな。試しにサクヤに買っていって、使ってもらおう。あれは肌に合う合わないあるからな。低刺激のやつにしよう。ひとまずこんなものかな。


 買い物を終えて、家に帰ってくるとサクヤがまだテレビに食いついていた。よっぽど気に入ったのだろうか。


 言葉わかるの? 分からないが、映像が綺麗で見ていて飽きないそうな。気に入ったのならよかったよ。


 綺麗なのが見たいなら、これはどうかと思いネイチャー系の映画を見せたら、ふわぁ〜とかはわぁ〜とかいながら、尻尾がちぎれんばかりふっさふっさと揺れる。


 「ご主人様! この映像はこの世界のものなのですか?」


 「そうだよ。この世界で実際にある風景を映像にしてるんだよ」


 「そうなのですか……、この世界には魔物がいないとおっしゃっていましたが、存在しているようですね」


 あ〜、肉食動物だね。ライオンは魔物じゃないよ? 動物だよ? というか、魔物と野生動物の境界線はどこにあるのだろうか。


 質問に返答しながらしっかり映画を見きってしまった。急ぐ用事もないからいいか。サクヤは何が胸を打ったのかわからないが感動で涙を流している。


 「うぐぅ、うぅぅ……、すごいですっ……。この世界はこんなにも広いのですね」


 「そうだね。この世界にも綺麗な景色はたくさあるけど、きっと、ルドラアトルにもこれに負けないくらい綺麗な景色があるんじゃない?」


 「そうですよね。こんな素晴らしい景色を、私も、いつかこの瞳に映せるのでしょうか」


 「うん。きっと見れるよ。この世界の景色も、ルドラアトルの景色もね」


 だから、まずは涙を拭おう。これからは、きっと君が望めばどんな景色でも見ることができるはずだから。あと、鼻水も拭おうね。


お読み頂きありがとうございますっ!

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