13話 ステータス?
第13話です。よろしくお願いします! ※誤字修正しました。
「あぁ……、あぁぁ……、ご主人様が……! 異世界の来訪者だったなんてっ……! なんてことなのでしょうっ! 月女神ヘルザよ! この大いなる幸運に最大限の感謝を捧げます! う、うぅぅぅ……うぅぅ……」
サクヤがベッドに腰掛け、手を胸の前で手を組み、神に祈りを捧げながら嗚咽を漏らすように泣き出した。何があったのかといえば、俺はサクヤを連れて日本の家に転移したきたのだ。
♢♦♢
「えっ……と、……そうなんだよね、おれ異世界人なんだよ。本当に。信じられないのも分かるんだけどね」
サクヤが全然信じてくれない。まあ当たり前か、俺が逆の立場だったら、思春期に発症する伝説の中二病と診断するだろうしな。どうするか、このままずっとその怪訝な、それでいて蔑むような瞳に見つめられていくのも一つの選択肢だが、その辺は、その業界の方におまかせするとして、なんとか証明しなくては。
といっても、おれがこの問題を正しくQ.E.Dするには、たったひとつの冴えたやり方しか無い。そう、サクヤを連れて家に転移するしか無いのだ。物は向こうから持ってこれるし持っていけるのだ、行けるはずだ。
「よし。サクヤさんこれから君を、異世界に連れて行くよその国は日本と言う俺の生まれた国なんだ。その国の俺の家に転移して見せるから」
多分、俺が直接触っているものならば一緒に転移できると思う。コショウを入れてきている袋は手に持って転移してきているし、此方の金貨などの入っている小袋もベルトに結んでいる状態で転移できている。困惑しているサクヤの手を取り、家をイメージして転移を発動する。
「お……、おお! できた! なるほどね〜。直接触れていればやっぱり転移できるのか。これで一つ謎が解けたな」
「ここは……? 一体なのが起きたのですか? ご主人様? なぜ部屋がいきなり……」
うむ、困惑している。そうですよね。外の景色でも見てもらえれば異世界だと理解してくれるかな? 家は、東京の端の方、5階建ての賃貸マンションの3階なので、窓からは住宅街しか見えないが、それでも随分と景色は違うはずだからな。
「サクヤさん、ここから外を見てみて」
カーテンをささっと開くと、一般的な住宅街が目に飛び込んでくるが、俺にはいたって普通の風景なのだが、サクヤにとっては衝撃的だったようだ。窓ガラスピッタリと張り付き、目を丸くして、口を半開きにしながら食い入るように昼過ぎの住宅街の光景を眺めている。美少女がそんな面白い顔してはいけませんよ!
「どうだろう? これで信じてもらえただろうか? なぜかはわからないけど俺は、この世界とサクヤのいた世界、行き来できるみたいなんだ。今はこの能力で、此方のものを持ち込んで簡単な商売をしているんだよ」
「本当の……ことで……ございましたのですね……」
ぽけ〜っと外を見ているサクヤ。おぉ……尻尾がゆらゆらと振られている。もふりたい。耳もピコピコと動かし外に興味津々だ。信じてくれたかな? 一旦向こうの世界、ルドラアトルに戻ろう。まだサクヤの体も万全じゃないしね。窓に張り付いているサクヤの方に手を乗せ転移する。
宿にもどり、いきなり景色が変わってびっくりしたのか、キョロキョロと見回していたサクヤをベッドに座らせる。
「さて、信じてもらえたところで、一つお願いなんだけど、このことは絶対に誰にも言わないようにしてほしい。俺は世界は平和な所で、武力での争いなんてことを俺はしたことがないんだよ。なので全く戦えないんだ。だけど、この力を強欲な人間なんかに知られたりしたら、確実にトラブルに巻き込まれると思う。なので、絶対に秘密にしてくれ」
「はい……、はいっ!……もちろんでございますっ! ご主人様が……ご、ご主人様が……! 異世界の来訪者……」
そして、いきなり神に祈りを捧げながら、泣き始めたわけだ。異世界の来訪者って、このワードが気になる。
♢♦♢
「どう? 落ち着いた?」
「申し訳ございません。取り乱してお恥ずかいしい所をお見せしてしまいました」
「気にしないでよ。それより異世界の来訪者って行ってたけど、異世界人についてサクヤさんは何か知ってたりするの?」
「はい。私の生まれた国、ビゼンノ国は異世界の来訪者が興した国と言われているのです」
おいおい……、俺以外にもいるのかよ……? 確かに俺だけしか異世界に行けないとは決まってないのだろうけども。
「そうなのか。取り敢えず、俺は異世界、つまりサクヤの生まれた世界のルドラアトルのことが全然わからないんだ。なので、教えてほしいんだけど」
「もちろんでございます! まずは異世界の来訪者のことからお教え差し上げましょう」
サクヤ曰く、異世界の来訪者は、ルドラアトルの歴史上、数人が確認されているそうだ。異世界より来たりし者は、皆、偉業を成し遂げる。ある者は常識外れな武力を持って国を興し、ある者は常識外れの叡智を世界にもたらしたり、ある者は単独で巨大な竜を討滅したとか。いるのかドラゴン。
ルドラアトルのお伽話にも描かれれている。そして、サクヤの生まれ故郷、ビゼンノ国は、建国の祖が異世界の来訪者と言い伝えられている。建国は凡そ、400年前だそうだ。ただ、ビゼンノ国は現在クーデターによって王位簒奪、サクヤはその混乱の最中、国を脱して船でノーザンスト大陸まで船で渡ってきた。ビゼンノ国のあった大陸は、ルドラアトルで最も大きく、最も東にある大陸だ。
サクヤは、建国の祖を篤く敬っているそうで、同じ来訪者である俺の奴隷となった事に、甚く感激したそうな。
「そして、異世界の来訪者はいつも唐突現れるといいます。まるで異世界から迷い込んできたかのように。来訪者には皆、共通していることがあり、とても強力なユニークスキルや、常識では考えられないような、高レベルのスキルを有しているといいます。私が知るかぎりでは、現在、ご主人様の他に、異世界の来訪者がいるということは聞いたことがありません」
なるほど。確かに俺も唐突に現れたな。それにしてもスキルというやつは俺は授かっていないから、ほかの来訪者とは違うのだろうか。他の来訪者は、俺と同じ世界、地球から迷い込んだのだろうか? これは、後々、詳しく調べてみたいな。
「なるほどね。来訪者ってやつは良くわかったよ。ただ、スキルとかは強力なものはもっていないタイプの来訪者みたいだね」
「ご主人様は、どのようなスキルをお持ちなのですか? よろしければ、私にステータスのスキル名をお教え下さい。なにか分かるかもしれません」
ステータス? ステータスってどこで見れるの? ……うぉぉぉっ! なんだこれは! 視界の中空に、ゲームのようなステータス画面のようなものが!
□ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー□
名前:マヒロ・アサヒナ 種族:異世界人
スキル
転移魔法(10)
言語翻訳(10)
ユニークスキル
武具創生
シソーラス
奴隷:サクヤ
□ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー□
なんだこれ……
お読み頂きありがとうございますっ!