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乙女ゲー症候群な周りと、取り残されたメインキャラ

作者: 遠山秋

「馬鹿にしないで。私がその程度の人間と言いたいの。貴方達は。」


私は怒り狂っていた。


許婚を取られた家の社会的地位の高さと容姿の良さしか取り柄のない人間と言わんばかりに行動する周りに、


許婚の恋人に対するイジメの主犯格と言い切った頭の中狂っている元クラスメイトに、


彼とは許婚と言う関係を断ち切って何年も経っているのに情報すら手に入れていなかった、お飾りの生徒会役員の“元”跡継ぎ候補達に対して。


情報に通じることすら出来ない者は、いわゆる一般人から“お金持ち”や“富豪”と呼ばれる人間の間から“排除”される。


何よりも、そんな事でさえ気付かずに好き勝手していたお馬鹿さんたちに振り回されていた自分に対して一番腹が立っていた。


これは物語として流行っていた“悪役女の断罪”の場面の一つなのだろうか。


学校の講堂の、いつもは教卓があった場所に立たされ、呼び出された観客達の前に有りもしない“罪”が塗り重ねられる。


ここに連れて来られた元婚約者の彼とその恋人は、異様な場の雰囲気に揃って困った顔をし、そして“申し訳無さそうな視線”を寄越して来た。


幾ら権力を持った者でも多勢に無勢、幾ら当人達が“望んで無いとしても”一度動き出した“断罪への流れ”は止めることができない。


何らかの家や社会に利益をもたらさないと除籍されかねない程“不要なお荷物”な彼らは、私に対する

嫌がらせを行うことで有用な駒であることをアピールでき、私の元婚約者の家の心象を良くしようと動いているのだろう。


しかし、そうなることはない。

元々心象は良くなり用がない程に地に落ちているのだから。


よく言うでしょ、信用されるのは大変だけど無くすのは一瞬って。


そんな事を考えていると腹を立てている事自体がどうでも良くなってきた。目の前のアホの子たちが可哀想で。


そうこうしている内に新たなメンバーが茶番劇という名の舞台に上がってくる。


その人の名は花月伊織。元婚約者である月出佐織の兄であり、私、間宮蛍花の恋人っていうか現婚約者。月出の主家の養子兼跡取り息子である。


「話は聞かせてもらった。しかし、それを飲むことはできない。というよりもお前たちにはできない。なぜなら、理事長をはじめとする理事および監査部の承認がない執行命令書はただの紙切れでしかないのだから。」


別のことを考えているうちに、私に対する処分が発表されたらしい。周りの反応から見て最高刑である退学。でもそれはOBOGにより組織された監査部の承認を得てないものだったらしい。


しかし監査部にも入っている伊織さんグッジョブ。


うちの学校、理事>監査部>生徒会=風紀委員の順で力が強いから。監査部は間違っていることは間違っているとはっきりいえる、実力主義の風紀出身者しか入ることができないからこのときばかりは助かった。


過去に生徒会が家柄をたてに好き勝手するやつが出て学園が存続の危機になってしまったから監査部ができたらしいし。


そうこうしているうちに、みっともなく喚く生徒会役員に対して、伊織さんは最後の止めを刺す。


「君たち、今回の独断専行の件で生徒会は正式に解散されることになった。後任は理事会および監査部によって決まったから。それと、各人のご両親より退学願いが届けられ、先ほど受理された。よって君たちは学園の生徒ですらない」


そして周りを見渡し再び話す出す。


「このような場で申し訳ないが、元生徒会役員が断罪しようとした間宮蛍花は私の婚約者であることを正式に発表する。もう二度とこんな茶番劇に彼女を巻き込みたくないんでね」


そういうと伊織さんは私の手の甲に口付けた。


すると喚き声とざわめきしか聞こえなかった講堂内から黄色い悲鳴が上がる。


伊織さんはいわゆるクール&ビューティで氷の王子様と呼ばれた元風紀委員長様で、監査部に在籍していることから、卒業して7年たっているにも関らず人気ぶりはすさまじい。


学園内に伊織様を影ながら応援する会という名の同好会があるくらいだし。


そうして私は伊織さんに腰を抱かれ茶番劇から退場していったのだった。









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