エピローグ
翌日金曜日、朝八時二〇分頃。
「拓郎、秀文。面白いご当地土産買って来たぞ」
鴇浦高校に戻って来た修平は、戎田のお婆ちゃんのいる商店で買った鳥獣肉【猪、鹿、雉、アナグマ】、佃煮【イナゴ、蜂の子】、スッポン肉、ヤギ乳を一つの紙袋にまとめて手渡した。
「これは、やばいやつだな」
拓郎は顔が若干引き攣り、
「ボクも味はちょっと気になりますがぁ……」
秀文は苦い表情を浮かべる。
「拓郎くん、秀ちゃん、どれもすごく美味しかったから、ぜひ食べてみて」
智景は強く勧めてみた。
「わっ、分かった」
「松永さんがそうおっしゃるのであれば、一応食べてみますよ」
「徳島の屋那沢ってとこ、なかなかいい場所だったぞ。ド田舎ながら深夜アニメ視聴環境もいいし、光ネットも全域完備だし。拓郎も秀文も一回行ってみたらいいと思う」
「拓郎くんも秀ちゃんも絶対一度は行くべきだよ。屋那沢の人はみんな、よそ者にも友好的だよ」
「そんなにお勧めならオレ、単位互換利用出来るように勉強頑張るか」
「ボクもちょっと行きたくなってしまいましたぁ」
☆
その日の夕方六時頃。
『修平お兄さん、今度の夏休み、家族みんなで飛行機使って東京行くことに決めたけん、案内してや』
『あたし達、東京行くよ』
『智景ちゃんにもこのあと伝えておくね』
修平の携帯に、小笠家三姉妹からこんな連絡が。
「俺の高校も見てみるか?」
『出来ればそうしたいじょ。拓郎と秀文っていう修平お兄さんのお友達にも会いたい』
『あたし、すごく楽しみーっ!』
『わたしもとても楽しみにしてます。人生初の東京訪問』
三姉妹は今からわくわくしている様子。
修平と智景が普段見慣れている光景が、三姉妹にとっては異質な光景に映ることは間違いないだろう。