表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

夏生詩集2

母のかなしみ

作者: 夏生

悲しいから泣く なんてことは ないと

母は言った

くやし泣きかうれし泣きがあるだけだと


本当に悲しいとき

人は涙を流せない

ただ、呆然とするだけだと


涙を流せないほどの

悲しみを私はまだ

知らなかった


母はいつも笑顔で私の話を

聞いてくれた


私は強いのよ。嫌になっちゃう

と、母はよく言って笑った


ある日、話の流れから母は何気なく

言ったのだ

悲しいから泣くなんてことは、ない


この母にも

呆然と、まばたき忘れて

うちひしがれて、悲しみに

のみこまれた日が

あったのか


神妙な気分になった私に

母は

「コーヒーでも飲む?」と

笑顔で聞いてきた


肉感が減った母の背中

コーヒーの香りが

話を変えましょうよ、と

私にささやいた





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 母という存在の奥深さを感じました。 強さ、悲しみ、優しさ、愛情。 その他にも、色々なものを抱えているのでしょう。 最後に、優しさを絶妙に感じさせるところが素敵です。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ