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第四話


「ひゃっはー!!転生キタコレ!!」



俺は飛ぶ。


「くっ、何だこいつの力・・・」


「有り得ない、その若さでもはやA級の力だと・・・」



俺はタオス。



「ぐおおおお!!馬鹿ナ、この私がぁぁぁ!!??」




「生まれ変わって出直しな!」



紙様に力を盛らってて来るんだな!!







・・・何なんだろう、これ。



「――――で、どうなん兄貴?何がそんなにまずいんだよ?」



弟の絶大な語彙スキルに驚愕し、俺は途中で見るのを諦める。


・・・わけがわからないよ。


押し寄せてくる頭痛の波に辟易しながら、俺はカーソルを左上の感想掲示板の欄へ動かす。


・・・はあ。

嫌なんだよ、露骨に感想が多かったから。

掲示板トップの欄を見ると、感想数はなんと6つ。

しかも、たった一話だけで。


いや、可笑しいだろ。

普通一話目から6人も感想書かないぞ。

とらハとか、ある意味悪名高いゼロ魔版でも、そう多くは・・・っておい、これそういえばゼロ魔版にあった気が・・・


・・・ああ。頭痛い。


いやでも、正直見たくないがこれも弟のためだ。

覚悟を決めないと。



若干の目眩を覚えながら、俺は感想欄をクリック。

そうして現れたのは、罵詈雑言の嵐。



[6]分福茶釜◆XXXXXX


どうぞチラシの裏へ逝ってください




[5]ビッツらびっと◆XXXXXX


○ろうでんかおまえ?





[4]じゃんはガリ◆XXXXXX


ここはあなたの落書き場ではありません。

書きたいのならどうぞチラシの裏へ。

あ、勿論本当のチラシの裏ですよ?





[3]ミックスコーン◆XXXXXX


本当こういうの多いな。

早く帰れよマジ邪魔だから。

わかる?日本語大丈夫?

わかるならすぐ消えろ。





[2]か○うでん◆XXXXXX


こういうのは如何でしょう?



自分という存在について考えたことがある。

何故自分が他者と異なるのかという点についてだ。

こんなことを書くと、きっと皆からはただの中二病だ、邪気眼だと指を指されるだろう。しかし、それは間違いなく事実なのだ。


――――転生者。言葉にするならば、恐らく私はそういう存在なのだ。


私には、母の胎内より生まれ落ちる以前から記憶があった。

しがない一人の男として生きた記憶だ。

それらをただの情報として、私は記憶していた。

だが、母より教えを受け、言葉を習得した後急速に嘗ての記憶というものを理解した。

恐らく思い出したというのは適切ではないだろう。

私は母の内にあった時から記憶してはいたのだから。


しかし、それらは曖昧なものとして私の小さな頭脳にあり、私はそれらを理解してはいなかった。

これは持論だが、[理解]とは[認識]なのだ。


これはこれである、と事物を差別化することで人は世界を作る。

それが細かい程に、洗練された文化の証であるのかもしれない。


――――とにかく、私は母から言語を獲得することで嘗ての記憶を[記憶]として理解することに成功した。


故に、私は自身を[転生者]だと断じている。




推敲なしで書いたので、荒いですが。

ネットに投稿するのであれば、この程度は書かないといけないのでは・・・




[1]ピンキージェッタ◆XXXXXX


春にはわけのわからん奴が増えるな・・・






「ったくよぉ、なんなんだよこいつら。俺が頑張って作ったのを馬鹿にしてさあ。マジむかつくんだけど」


「・・・ああ、うん」



「なあ、兄貴もそう思うだろ?ほっんとにさ、ネットの奴らってマジ口ワリーの。どうせ普段ペコペコしてるからネットの中では威張り散らしてるんだろ?」



・・・ああ、それは確かに言えるかもしれないな。


ネット世界の住人なんてのは、総じて口が悪い。

勿論全部とは言わないが、それでも現実では口が裂けても言えないであろうことを言葉にしているのは否めないだろう。


ネットでの暴言を、皆がそのまま現実で使っていたならば、社会が上手く回るはずがない。

それ程に、ネット社会でのスラング、暴言は――って




「って!いや確かにそうだけどさ。翔太の言っていることも全部が間違っているとは思わないけど!それにしたってひどいよこれ!」



そういうと翔太は、憮然とした顔をする。



「――はぁ、これだよ。全く、兄貴といいネットの馬鹿共といい、どうしてそんなに思いやりがないんだか。てかさ、ただで見てるんだから、もっとこうさ、最低限の態度ってのがあるんじゃないの?」



「いや!ネットにそんなものを求めているのが間違ってるよ翔太!!○ルカディアは小説投稿サイトなのに、翔太のは小説の形じゃないもの!」


「え~?俺の何が悪いんだよ。」


「背景の描写がないし、殆ど会話文じゃないか。誰がどういう動作をしたのかも分からないし、これで何を読めとれってのさ」


「いや、けどよぉ。本読むときに、一々背景描写とか見なくね?邪魔くさいじゃん。動作がどうっていうけど、そういうのってイメージじゃねえの?漫画だってそうだし、○ちゃんとかは皆そうだぜ?」



――――いや、確かにそうだけどさ。




「翔太は勘違いしてるよ。確かにそういう面はあるし、煩わしいと感じることもわかる。けど、だからといって皆がみんな読まないかといったら、それは間違いだよ。読まないのは単に、その人にとって読みづらいからだと思うよ。翔太だって、好きな作品はじっくり読みたいと思ったりしない?」



描写が煩わしい。

それは、結局のところ読み手と書き手、相互に問題があるのだと思う。


如何に素晴らしい作品を描いても、それを読む人に十分な読解力がなければただ面倒な文でしかなくなる。

だが、しっかりとした語彙力を備え、意味を理解している人ならば素晴らしい作品だと思うだろう。



「俺はさ、中学の時には難しくて良く分からないと途中で投げた作品があったんだよ。けどさ、高二の時にやっぱもう一度読み直そうと思って読んだら、ものすごく面白くて、一気にはまったよ。昔はダメだったのが、自分が変わることで急に読みやすくなることはあると思うよ。翔太はさ、自分の読解力の低さを作家のせいにしてないか?」



まあ、作家が妙に捏ねくりまわして婉曲な表現が多すぎたり、文章全体が読みづらいというのもないわけではない。

昔読んだ本をもう一度読み直すと、同じ作品なのに前期と後期では文章の書き方や読みやすさに雲泥の差がある感じたこともある。


まあ、結局はお互いの解釈の問題ではないだろうか。



「う~ん・・・」



良くわからんとばかりに弟は髪を掻く。



「兄貴の言いたいことは分かるんだけどさ、けどやっぱ納得いかないっていうか・・・基準が分からん」



「何の基準?」



「いやさ、昨日書店に行ったんだが・・・」



弟は語る。

書店で本を探していたら、ネット小説発信コーナーと、携帯小説発信コーナーというのがあったらしいのだ。

弟も最近ネット小説に興味を抱き始め、どんなものなのだろうかと本を開いてみたのだとか。


弟曰く、別に立ち読みをする気はなかったとか。立ったまま読むのは疲れるので、一体どのように本が書かれているのかと何冊か手に取ったらしい。


そうして開いた先にみたものは、あくまで弟の主張だが――――なんだ、俺と変わらないじゃないか。というものだったらしい。


ネット小説発というものを見てみると、○チャンネルに載せられているものを書面に移しただけで、誤字の訂正もされていない。

携帯小説というのを見てみても、箇条書きの羅列ばかりで全く大したことのないように思えたのだとか。

他にもブログの内容を掻き集めただけのものがあり、次第に確信に至ったのだとか。



「俺と対して変わらないんだぜ?どう見ても会話文しか書いてないんだ。それで延々と書かれた本が何冊もあって、累計14万部突破とか、アニメ化、漫画化決定って書かれてるんだ。それってそういうものが認められているっていう、ことじゃないのかよ?だというのに○カディアの奴らはよ、マジ頭かてー」



「う~ん・・・」



確かに、翔太の考えは間違っているとは言い切れない。

俺がたまに書店へ行っても、そういったジャンルは軽く目を通すが――いや、軽くしか目を通せない。

実際、出版社の格が落ちているような気がするんだよな――

取り敢えず、出させればいいやみたいな感じ。

実際の内容じゃなくて、取り敢えずネットで人気があれば拾いあげて本にしてしまうみたいな。

しかもそれらは殆ど剣と魔法のファンタジーか、それを交えた学園ものだからなぁ。

どこか似たりよったりというか、ネットで盗作疑惑が持ち上がりそうな感じでも出版させてるというか。

似たりよったりの展開とか、個人的には吐き気がしそうなご都合主義とか。



・・・恥ずかしいだろ。



異世界転移したらいきなり金髪イケメン王子様に求婚されましたとか。


異世界で黒の医者やってますとか。


ぶらぶら異世界道中やってますとか。


異世界へ転生して、もう一度人生やり直すとか。


ネット世界じゃ最強です。


オンラインゲームでデス・ゲームに巻き込まれましたがはじめからチートで無敵です。


リアルじゃ卑屈でデブな僕だけど、ネットじゃ金髪イケメンの超絶レベル戦士だぜ。


異世界、異世界、異世界。


オンライン、オンライン、オンライン。


取り敢えず異世界で好き勝手すればオールオッケーってか。


現実に目を背けて、ネットできゃーかっこいいってやれりゃあ最高ってか。



・・・いかんな、昔好きだったという黒歴史があるから、余計に反発したくなってしまう。


でもなあ、どうにも最近はひどい気がするんだよ。

みんな揃って大量生産の劣化コピーみたいな。

ロックマ○ゼ○の四天王とか、初代コピーエ○クス並ならともかく、エック○の遺伝子を用いた劣化コピーの産物だという○ンテオンみたいになっていないだろうか。


質より量を選んでいる気がしてならないんだよなぁ。



――――表紙の絵師さんが、下手な同人作家よりもひどい絵で、しかも紙のサイズがあっていないのにお構いなしみたいだったり。

普通表紙には気をつけるだろ?

表紙が可笑しいのなんて、誰が買おうと思うのさ。





――――まあ、それはともかく。



「・・・前も言ったかもしれないけど、○ルカディアは小説を投稿する場所。出版物として台本形式のものがあっても、それをあそこは認めてはいないんだよ。特にあのサイトは、なんというか他よりも細かい人が多いんだよ。質の低下を恐れてるというかさ。まあ、サイトの方針事態書き手と読み手が相互に高めあっていこうという発想だから、むしろ健全だとは思うよ。翔太はまず、内容を濃くしないと。会話だけじゃなくて、描写を増やすこと。そうしないとひたすら叩かれ続けることになるからね。うまくいかないなら、始めは別のサイトに投稿したらどう?初心者とか、文章を書くのが得意じゃないけど小説を書きたいって人が集まるサイトも探せばあるよ。あと、それは一度削除しておきなよ。きっともっと荒れるから。――――じゃ、まあ頑張んなよ」



そう言うと俺は、その場を立ち去る。

骨折しているので歩くのが面倒だが、家の中程度では支障はない。








とはいえ、翔太の場合は内容も色々突っ込まれそうだしなあ・・・


いきなりオリジナルを書くのは難しいし、始めは何かの二次創作でも書いてみたらどうだろうか。

自分の好きな作品ならば、キャラクターも動かしやすいだろうし。





・・・ふう。


やっぱりちょっと、心配だ。


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