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第八十一話 感染②

すみません。今回はかなり短いです。

 

 みんなのやる気も充実してはいたが、今はもう夜――

 本当はすぐに出発したかったのだが、一夜だけは宿屋で過ごし、早朝に出発することにした。

 それに、今からすぐにコロシアムに向かったとしても人の海だろう。

 待ち時間に体力を奪われるくらいなら、少しでも休んでから出発した方がいいだろう――という結論に至ったわけだ。


 ボンズの部屋にて――

 熱による脳のダメージを少しでも抑えようとパチが氷のう袋を用意して向かうとボンズの寝ている布団に膨らみが……

 パチがため息まじりで布団をとると、りゅうとラテっちが枕を持ちながら丸まっていた。

「何してるの! 今日はボンズと一緒に寝ちゃダメっていったでしょ!!」

 すると、枕を抱えたラテっちが泣きそうになりながら、

「だってだって~。ぼんずがくるしそうなんだもん」

「仕方ないでしょ! 病気なんだから、あなたたちは優作と寝るの! わかった?」

「ボンズといっしょがいい!」

 りゅうが布団の上でジタバタしはじめると、ボンズが苦しそうな消ええる声で寝言を云う。

「……りゅう……ラテっち……大丈夫か……」

『ぼんず!!』

 近寄る子どもたちを抱きかかえるパチ。

「ほら、そんなに大きな声で叫んだら起きちゃうでしょ。今は寝ているのが一番なんだから、ここは私に任せて早く寝なさい」

 そういって、パチは二人を抱えたまま優作の部屋へと運ぶ。その間、りゅうとラテっちは両脇で「いやじゃ~いやじゃ~」と泣きそうになっている。

「優作、子どもたちを御願いね」

「わかりました。二人とも、こっちにおいで」

『いやじゃ、いやじゃ~。ぼんずのとなりがいい~』

「もう、わがまま云わないの! 明日、ボンズのためにがんばるんでしょ!!」

『……うん』

 二人は小さくうなずいた。

「だったら、早く寝て、薬を取りに行くわよ」

「わかったよ……パチ」

 りゅうは納得したみたいだ。

 ラテっちは何も言わず、もう一度頷いてから優作のベットに潜り込んだ。

「ふ~、それじゃ、優作、おやすみ」

「はいパチさん。おやすみなさい」

「二人とも、ちゃんと寝るのよ」

 返事はなかったが、布団が一回もそっと盛り上がった。


 ボンズの部屋へと戻るパチ。

 相変わらず、息を荒立てながら汗まみれで苦しそうなボンズが寝ている。

 その隣で椅子を用意し、氷のうを額にあてがう。


「ほら、子どもたちが泣きそうよ……早く治りなさい。ボンズ――」



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