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第七十九話 怪談

余り怖くありません。

 


 怪談ねぇ……やることもないし、まぁいいか。

「怖い話きかせてくれるのか? 楽しみだ!」

「あーこわいこわい。いひひ」

 子どもたちもその気だ。遊びに行く手間も省けていいだろう。……不謹慎かな?


 すると、すでに優作が耳に手を当てている。

「耳がかゆいんです」

 押さえていて、かゆみが治まるのか。



「それじゃ、俺から話すね」

 ボンズ――

 もう知っているかと思うが、俺は自宅警備員なんだ。

 部屋に毎日いるのに、いつの間にか机の上に求人雑誌が置かれている。キャー!

 一同揃って――

『ハロワいけ!』

 りゅうとラテっちも呆れている。

「ボンズ、すっげーつまんねー」

「だめだめでちゅ」

 ショボーン。


「次は僕の番だ」

 子どもの話すことだ。怖くはないだろう。


 りゅう――

 知り合いのおじちゃんが車で家に帰ってさ、降りてからなんか家の周りが気になったんだって。家の周りは砂利で、ザッザッザって音がずっと続くんだ。何の足音だろうと思っていたら子どもの幽霊が家の周りを歩いていたんだ。それを見たおじちゃんは正直にイヤだなと思ったんだって。

 その時、遊びに来ていた親戚の男の子がおじちゃんの足元をぎゅっと抱きしめたんだ。不思議に思ったおじちゃんは「どうしたんだい?」と聞くと、男の子は「あそこに男の子が歩いている」と云ったんだって。

 それからおじちゃんはちょっとだけ気になることを男の子に聞いたんだ。

「その男の子はどこから来たんだい?」――って。

 そしたら男の子が「ここからでてきたの」って、さっきまでおじちゃんが乗っていた車を指さしたんだ。

 おじちゃんは、その日、お墓参りにいっていたんだって。

 それでね、男の子はいまでもおじちゃんのいえの周りを歩いているんだとさ。



「ふ、ふーーん」

 りゅうにしては意外とヘビーだった。――と、ボンズは思った。


「次は私ね」

 パチ――

 まぁ、私は看護師だった訳なんだけどさ、病院ってそういう話多いじゃない。初めてハッキリ幽霊をを見たのも病院だったわ。

 男性職員の背中に覆いかぶさるように長髪の女性がしがみついているわけよ。驚いてベテランの同僚にそのことを話したら、性別だけでなく髪型から服装まで全て言い当てられたわけ。つまり、みんな見ているのよ。

 それも慣れてきたころ、夜勤中……休憩に入るときにさ、院内の十字路になっている廊下があって右側に曲がる廊下とこちらの廊下と窓があって、向こうの窓から血だらけの老婆が窓をすごい形相をしながら何度も叩いているの。驚いてすぐに右に曲がったら誰もいなくて……ホッとしていたら今度は今まで通っていた廊下の窓からその老婆が入ってきたの。もう無我夢中で逃げたわ。

 ようやく、休憩室まで逃げて休憩をとっていたわけ。すると休憩室の電話が鳴って何事かと思ったら、「○○さん、201号室の患者さんが窓から落ちたの」って内容だったわけ。――つまり、私が見たのは幽霊ではなく、死ぬ寸前の老婆だった。

 ――と、云う話。


「どう、おもしろかった?」

 流石看護師。平然と云う。

 優作に至っては、耳を抑えながら小声で「ああああ」といっている始末だ。


「次はオレね」


 式――

 ブラック企業って冗談抜きで自殺者が多い。オレの働いていた所も年に……少なくとも二年に一回は自殺、もしくは自殺未遂があってな。だからかもしれないが幽霊の目撃談はよく聞いていたんだ。

 ある時、帰り際に玄関近くで「『お』……『で』……」――と聞こえる

 でも、悪意のなさそうな優しい声に聞こえた。

「おつかれさまでした」――そういっていると、皆で話していた。

 ある者がスマホで録音して、そのままそいつの家で飲み会したんだよ。

 酔いながらPCに同期させ、大音量で聞いてみるとさ――

『お』いていかない『で』くれ――と連呼していたんだ

 だけど最後の台詞だけ違った。

「『お』まえもこっちにおい『で』……はやくしね」

 とても優しい声で、そう呟いていたという。


「ワシか」

 壱――

 いまでこそ少なくなったが、昔はよくパチンコ屋の自殺があってな。今の若い者はプレミアが出ると携帯電話で写真をとる姿をよく目にする。

 だが、その多くは気付かないだけで心霊写真が撮れるのだという。

 なぜなら、霊が台の目の前に立っているからだとさ。

 ――注目してくれるから。台の前に居ると誰でもいいから客がこっちを見てくれるからだと。

 短いが、ワシの話は終わりだ。


「自分も話さないとダメなのですか!??」

「当然だ、みんな話すんだから」

 優作は渋々話す。

 優作――

 大したことではないですよ。LINEって怖くないですか? だって、友達の候補に最近亡くなった知り合いとかがいたりするんです。

 他の人が同じ番号で使っているのかもしれませんが、あまりにも亡くなってから早い時もあるんですよ。

 Lainからのメッセージに、「これからもよろしく」とかあるんです。怖くて……


 怖がっていたわりに、短いけどこれは嫌だな。


 あとはラテっちか……ラテっちはないよな。

 ラテっち――

「ねぇねぇ、うしろのおねーちゃん、だーれ? 」


 みんなが驚きラテっちの周りに集合する。

 誰と話しているのラテっち??

 子どもはよく見えるというからな


「(どうちまちょう……じょーだんなのにみんなマジでちゅ。いまさら『うそでーちゅ』なんていえまちぇん……バチがあたりまちた。このままではパチにおしおきされまちゅ。だれかたちゅけてーーーーー!!)」


一応、実体験を基にしてみました。

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