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第五十三話 胸中


優作がボンズたちの仲間に加わってくれることにより、ギルド結成クエスト条件は整った。

あとはマンズの街まで赴き、申請するだけで生き抜くことができる。



これで、ボンズたちは生き抜くことができる。

生きることができる。


生きる――。


肉体と精神が機能すれば生きていることになる。

云い方を悪くすれば、どちらかでも機能すればその者は「存在」する。――生きていることになる。


無駄に過ごす人生など生きていない。死んでいないだけだと思っていた。

だけど……だけど、それは生きている者だけが云える贅沢な言葉だったのかもしれない。


ボンズたちがこの世界でこれからも生きていけるのは優作の加入おかげだ。

そして、優作が加入してくれたのは……優作の、ボンズの友達が生きていなくなったため。


喜べない。


いや、そう考えてはダメだ。

壱殿が、パチが、精一杯優作を励ましてくれるのにこんなことを考えてはだめなんだ。


それに、俺が悲しんでいたから子どもたちに我慢させている。

今も明るく振舞っている。


このままではダメなんだ。


まだ……泣いていないんだよ。


俺が暗くなっていては、りゅうもラテっちもずっと気遣ってくれる。

俺がこのままだと、優作と仲間になっても彼女との距離は縮まらない。


ボンズは一回だけ大きく深呼吸すると、りゅうとラテっちを後ろから抱き締めた。


「もう……我慢しなくていいぞ」



『うわぁぁぁぁん』

「ケーキのおにいちゃんがぁ……うぇぇぇん!」

「ただひとー! とうやー! また会いたいよー!!」


明るく振舞っていた。精一杯我慢した。

その二人がせきを切ったように大泣きする。


子どもの感情ほど正直なものはない。

誰かに理解してもらうための表現ではないのだから。


壱殿が帽子のつばで目元を隠す。

パチも視線を上に向けている。


不思議なもので、小さい子ども身勝手さを諌めるのも大人であるのに、子どもの素直な感情は大人もいつの間にか移入していく。


二人の泣き声が、改めて只人と当夜がもうこの世界に存在していないことを実感させてくれた。


後ろから抱きついていたボンズは――もう泣かない。

泣きたい涙はもう出した。

出し尽くしてはいないが、子どもの前で弱いところを見せないことが己の役割だったから。



その姿に、優作がりゅうとラテっちを正面から抱きしめる。

「ありがとう……ありがとうございます!」


『ゆうさくー!!』



今はたくさん泣こうな。

そうすれば、必ず一緒に前へ進めるはずだから。




今回、諸事情によりとても中途半端な話となってしまいました。申し訳ありません。

読んでくださっている方々、いえ皆様への感謝と共に健やかなお過ごしをと思っております。

いつもながら更新は遅いですが、次話の投稿はまた遅くなりそうです。

どうか、気長に待っていて頂ければ幸いです。

それでは、しばしの間だけ失礼させて頂きます。

そして、ありがとうございます。


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