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第三十一話 歓迎

 

「料理といってもたいした物はできないよ。口に合うかどうか……」

 ボンズの気遣いに笑顔で応える壱殿。

「いやいや、せっかくなので馳走になるよ。このゲームの飯はワシの舌に合わなくてな。楽しみにしているよ」


「そうか。では早速材料の買い出しに行ってくるよ」

「それじゃボンズが買い物に行っている間に、ぼくは木を切って薪を作っているよ」

「あぁ、頼んだぞ。それじゃ……」

 台詞を云い終える前にパチが手を掴み、その場から離れるように引っ張られてしまう。

「なにすんだよ。急に」

「買い物はボンズだけで逝きなさい」

「『逝って』どうする!? いや、なんで俺だけなの?」

「ラテっちを連れていく気でしょ?」

「そうだけど? それがどうした?」

「ラテっちを連れていくと余計な買い物をするからダメ!」

「そんなことないって……多分」

「ふーん……嘘付いたーらこの拳をアナタの喉の奥まで呑ーます!」

そういってパチは、にこやかな表情で握り絞めた鉄拳を見せつける。

「……はい。いってきます」

 パチの指示通りに買い物は1人で行くことにした。

 こればかりは仕方ない。事実、おやつでも買ってあげようと思っていたからだ。

 そして、約束を破ったら本当に鉄拳制裁が待っていることを。――しかも「喉」って……いや、彼女なら必ずる。

 唯一の救いはラテっちがこの会話を聞いていなかったことだった。


 買い物から帰ると、既にりゅうが薪を用意してくれていただけでなく、火までおこしてくれている。

 即席の椅子とテーブルまで用意してある。

 ラテっちの道具なのだろうか?

 どちらにしても、なんと気のきく幼児なんだろう。

「さて、とりかかるか」

 ボンズの料理を椅子に座って待つ4人。

「待っている間にタバコを吸ってもいいか?」

 壱殿が喫煙してもよいかを尋ね始めた。子どもが近くにいることも気にしているようだ。

「私は構わないわ。りゅうとラテっちはどうなの?」

「いいぞ。おっちゃんも吸ってた」

「だいじょぶー」

「そうか、すまんな」


「できたぞー!」

『はーい』


「ゲホッ!! ゴホッ、ゴホッ! なんだと!?」

「大丈夫か壱殿。そんなにむせ込んで」

「誰のおかげだ! まだタバコ1本吸いきっていないのに、何故そんなに料理が早く完成する!?」

 苦しみながら突っ込む壱殿の背中をパチがさすりながら答える。

「あのね壱殿。私やラテっちのことを『常識が通じない』みたいに云っていたけど、1番常識が通じないのは料理を作っている時のボンズよ」

「出来上がったものを買ってきたわけではないのか?」

「店売りしている物は食卓には出さないわ。手作りなのよ……この早さで」

「信じられんな……料理番組でさえ、もう少し間をおいて料理が出てくるぞ」

「よかった。ようやく共感できる人に出会えたわ」

 パチは本当に嬉しそうに、胸を撫で下ろす。

「……俺って、常識がないのかな? ――まぁいいか」


 今回用意した料理は――

『わーい! オムライスだー!!』

「ルンルン」と云い、お尻を振ながら喜ぶチビッ子たち。初めて見るパターンの踊りだ。

「ほら、ちゃんと座るんだぞ」


 だが――

「(フッ、やはりな……調理する時間の早さには驚いたが、所詮は家庭……いや、お子様を喜ばせる程度の料理が出てきたか。片腹痛い)」

 チビッ子たちとは対照的な想いで料理を見つめる壱殿。

「(オムライスをバカにする訳ではないが、同じ国で生まれた日本の料理でも、完璧な『和』を追求した和食とは程遠い、どこの国の料理とも云えぬ中途半端な物だ)」

 スプーンを手に取り、玉子を突く。

「(上に乗せる玉子を固焼きか……せめて作る前に玉子の焼き方は固く焼いた玉子を包むかオムレツにするのか位は聞いて欲しかったがな――このド素人シロウトが!)」

 敢えて口には出さないが、壱殿は不満だらけであった。

 実は彼にとって、この世界に来た影響の中で最も落胆していたのは料理の味だった。

 以前、子どもたちも宿屋の料理にクレームをつけていたが、実際には食べれないほど不味いわけではない。安さが自慢の定食といったレベルの味だったのだが、彼もそれが我慢できずにいたのだった。

 そこに「料理ができるプレイヤー」と出会ったことで、「もしや」と期待した分だけ不満が募ってしまったのだ。

「口に合うといいんだけど……」

「(ボンズも気遣っていることだし、一口くらいは食べてやるか。文句を云うのも空気を悪くするだろうし、付き合ってやるとしよう)」

「りゅうとラテっちはケチャップを使うか?」

「うん。ケチャップになんて書こうか?」

「んとね~どうしよ~」

「ぼくは『ボン』にしようかな」

「それじゃね~わたちは『ずら』にしゅる~!」

「ズラじゃないからね!!」

「でも、まずはケチャップを付けずに食べようね」

「でちゅね!」

「ほう……幼いくせに、よくわかっているではないか。調味料を付ける前に、まず素材の味を確かめるとは」

「基本だぞ」

「でちゅ!」

「ふむ、それでは頂くとしようか」


『いただきます』


 まずは玉子だけを口に運ぶ壱殿。

「な……なんだと!」

 その手が――思わず止まってしまった。 

「(この玉子――ただ焼いたものを乗せているのではない。極上のオムレツを極薄の玉子焼きで包んでいる。玉子焼きをここまで薄く、かつ破れずに焼くだけでも至難の業。更に本場顔負けのオムレツまで作り、それらを合体させるとは……包んだ玉子をスプーンで破くとトロみのある生クリームとバターが香るオムレツが顔を出すまさかの二層焼き。完熟による予熱が、半熟のとろける口当たりをよりよく演出している。これなら玉子を固く焼くかオムレツかを聞く必要がない。『両方楽しめる』のだから――こいつ、只者ではない)」

 見た目だけで判断していた己を恥じる余韻もなく、食が進みゆく。

「(それになんだこのオムレツは……美味い……美味過ぎる! ――隠し味だ……隠し味がオムレツの旨みを最大限に表現している。一体なにを使った? 只の塩コショウではない。もっと濃厚なものだ。鴨の骨髄と血液のソース和え……いや違う。そんなしつこい味ではない。ホワイトソースとすり潰したコーンの取り合わせか……いや、それも違う! こう、洋風の中に意外性を持ったなにかだ……だめだ、わからん!)」


「美味いぞボンズ!」

「おいしいでちゅ!」

「(くっ……お子様は悩みが無くていい。この苦悩など理解できぬのだからな)」

「今日の玉子焼きには『ひとたらし』だけお醤油を入れているな。出汁玉子も美味しいけど、こういうのも良い感じだぞ!」

「ちょっとだけ、おさとうもはいっているのもたまりまちぇん!」


「(砂糖……? ――まさか……『クレーム・アングレーズ(卵黄に砂糖を使ったデザート用のソース)』に醤油だと!!?』

 チビッ子たちの言葉を聞き、慌てるように再度玉子を頬張る。

「間違いない……云われてみれば、確かにごく少量の砂糖が使われている。隠し味に醤油を使う発想はあるにしても、デザートソースを主食の隠し味に取り入れるなど考えもしなかった。なにより、玉子料理の隠し味に『玉子のソース』を使うとはな。なるほど……洋と和の両方のテイストを取り入れた素晴らしい出来栄えだ。それにワシは勘違いをしていた。隠し味はオムレツにではなく『玉子全体』に組み込んでいる。そしてクレーム・アングレーズを只の隠し味としてだけに使うのではなく、薄焼き玉子とオムレツの繋ぎ止めに応用することを思いつくとは。しかし、玉子の二重……いや、三重に使い、かつそれを悟らせない程のきめ細やかな玉子の分量とその焼き加減を生み出す……なんて男だ」

 ――更に。

「驚くべきところはそれだけではない……この子どもたちは何者だ? 貴様らが生まれる以前の頃、『泡時代』と呼ばれる経済高度成長期に存在した名店――あらゆる食を追求し、大金を積んで初めてその料理を食べられる会員制クラブ『ビ・ショック』――そこの会員だったワシでさえ見抜けぬことを、何故なにゆえ年端もいかぬ幼児が見抜けるのだ! こいつら……本当に幼児なのか?」


 そんな壱殿の苦悩などお構いなしに次々とオムライスを口に運ぶチビッ子たち。

 いつもながら美味しそうに食べる姿は微笑ましいところだが、壱殿の心境はまた別の方角に向かっていた。

「(くっ……躊躇ためらいもなく食べやがって……本場顔負けのオムレツにお目にかかる機会すら少ないというのに……いや、ここは他者のことは気にせず、こちらも純粋に食事を楽しむべきなのか)」

 そう考えなおすも、チキンライスを口にした途端に思わず手で顔を被う壱殿。

「(……わかっていた。わかっていたことだ。あれほどの玉子料理を作れる者が野菜の炒め方にムラがあるわけないことくらい。玉ねぎ・ニンジンと野菜本来の旨みと甘味を引き出した絶妙な焼き加減だ。焼き飯にもベタ付きもない。細かく刻んだ鶏肉もいい具合だ。香ばしく焼きあがり、玉子を破いた瞬間に立ちこめる湯気と香りが鼻を突き抜ける。ベースのトマトケソースも酸味と甘みのバランスが食欲をそそる。美味い物を食べたかったはずなのに、この気持ちはなんだ……侮っていた己自身に敗北感すら覚えてしまう。湧きあがるこの感情をどうすればよいのだ)」

 もはや純粋な気持ちで食事を楽しむどころではない壱殿。それでも手は止まらず、口へと運びこまれていく。

 この時壱殿は玉子と同時には食べず、チキンライスだけを頬張っていた。

 そして、再び湧き上がる疑問。

「(ただ1つ……また、わからない。このチキンライスの『下味』が。トマトソースの他に『コンソメ』を使っていることまではわかる。しかし、ここまで深く、濃厚な味わいにも関わらず全くしつこくない。なにより飽きのこない味だ。いくらでも口に入る。ただのコンソメをふりかけただけでこの味わいは出せない。何を使っている……知りたい! だが、ワシのプライドが……プライドが……)」


「ダメだ! もう我慢できん!」

 そう云って、壱殿は椅子から立ち上った。

「どっ! どうしたの??」

「ボンズ、調味料は何を使っているんだ?」

「調味料? お手製だけど」

 そう云ってボンズは鍋を見せる。

「……中身はコンソメスープか。やはりコンソメだけなのか」

 だが――この時、壱殿は気付いてしまった。


「コンソメスープを作っているのに、何故食卓に並ばない……?」――と。


「まさか――」

 許可なく飯ごうを覗きこむ。

「(飯ごうに残ったこの香り……わかったぞ! 米を炊く際にコンソメスープを混ぜ合わせたのか!)」

 しかし、納得できない点はまだある。

「(いや――それだけではない! チキンライスに広がるほのかな甘味はコンソメとトマトソースだけでは出せない。トマトソースとは異なるこの甘味こそが、チキンライスを完璧に彩っている。知りたい……何を使ったのか)」

「どうしたの壱殿。飯ごうなんか眺めて」

「――パチ。貴様は料理はしないのか?」

 この質問に意味はない。強いてあげるのであれば、己がとってしまった不可解と思われる行動を誤魔化す発言に過ぎなかった。

「料理はするけど、この世界ではしないわよ。ボンズの方が作るの上手だしね。さっきも云ったけど、待ち時間ないからすぐに食べられるから私の出番なんてないわよ」

「そうか……」

 壱殿本人も台詞を口にした後に気付いたことだが、もしかしたらパチが料理を手伝い、ボンズの調理方法にヒントを出してくれることも期待していたのかもしれない。

 だが、希望する台詞が出てくるはずもなく、茫然と空の飯ごうを眺めていた。

「――ん? ボンズよ。なんだ、この塊は?」

「あぁ、それは『玉ねぎ』の欠片だよ」

「玉ねぎ? 米を炊く際に一緒に玉ねぎを入れたのか?」

「そうそう。意外とイケると思うんだけど、どうだったかな?」

「(――そうか! これは玉ねぎの甘味。それも炒めた際に出る甘味ではなく、煮込むことで引き出される甘味だ! 米を炊くのと同時に玉ねぎが煮込まれることにより米粒1つ1つに味が染み込まれる。そのために刻んだ玉ねぎごと飯ごうの中に入れて炊き上げた。その手があったか!)」


 全てを知ってしまった壱殿は、静かに飯ごうを地面に置き、無言のまま立ち尽くす。

 彼の胸中は穏やかではなかった。

「(ボンズの料理は素晴らしい。それに……ワシの心を掴んで離さないことがある。玉ねぎを米と一緒に炊くことなど難しい技法ではない。問題は少しでも美味しい食事を楽しんでもらおうと試行錯誤した結果が表れていることだ。これには感服せざるを得ない。だが、更に恐れ入ったことがある。先程は平然とコンソメを使っていると思っていたが、考えてみればコンソメなどこの世界には存在しない。物がないなら、素材から作ればいい。そして、どのように応用するかは料理を手がける者次第……それをこの世界で実現する者と出会えるとは……この発想力――全てにおいて、ワシの発想を上回る――か)」


「……完敗だ」

「なにがっ!?」

 壱殿はボンズの困惑を誘う言葉を云い残し、その場にうなだれる。

 その光景に、パチが堪らずボンズに耳打ちし始めた。

「ちょっと、壱殿が落ち込んでいるわよ。どうすんのよ!」

「だよね……美味しくなかったのかな?」

「オムライスがダメだったんじゃない。ほら、子どもっぽい料理じゃない」

「そうか……オムライス以外にも色々と作っておけばよかったな」

 ボンズは壱殿に歩み寄る。

「口に合わなかったかな? 今度はもっと美味いもの用意するから……ゴメンな」

「まだ上があるというのか!!?」

「上? よくわかんないけど、デミグラスソースも作ってみたんだ。よかったらオムライスにかけてみてくれないか」

「(か……勘弁してくれ。これ以上はワシのプライドが……)」

「あっ、ずるいぞ! ぼくにもちょうだい!」

おおもり(大盛り)でちゅよ!」

「主役が先!」

『ぶちゅー!』

「ふてくされないの。まったく……あっ! あとさ、他になにか作るかい? 主役なんだから、遠慮なく云ってくれ」

「ボンズ! ぼくもいいのか?」

「わたちはね~」

「あのね……君たちには後でおやつにホットケーキを焼いてあげるから、大人しくしていなさい」

『ピシーッ!』

「いや……大人しくとは云ったけどさ、固まらなくていいからね」

 嬉しいらしい。素直になった。

「子どもは素直だな。――子ども、か……それでは、材料があればでいい。『ポテトサラダ』を作ってくれないか」

「ポテトサラダ? いいけど、それでいいのか?」

「あぁ、できればでいいからな」

「――完成したけど」

「待て! 今、何秒経った? 貴様も時間を操れるのか?」

「なにを訳のわからないことを云っているんだ」

 その時、パチは今度は壱殿に耳打ちをする。

「真剣に相手しないほうがいいわよ。疲れるだけだから」

「そのようだな」


「ところでさ、ポテトサラダは冷ましたほうが美味しいと聞いたことがあるけど、少し時間をおくかい?」

「このままでいい。いや……これがいいんだ」

 そして、壱殿はリクエストしたポテトサラダを頬張った。


「うめぇな……」


 我慢していた感情を溢れ出すような言葉。

「これだよ。この味だ……なんともなつかしい! まさか、再びこれを食えるとは思わなかった。それもゲームの世界でだぞ! 昔、お袋がよく作ってくれた味とそっくりだ! うめぇ……うめぇよ!」 

 余程気に入ってくれたのだろう。先程まで品良く食べていたようにも見えた壱殿が周りの目など気にせずポテトサラダにがっつく。

 とても美味しそうに。

 そして、いつの間にかチビッ子2人も壱殿の隣でがっついていた。

 さっきまで大人しくしていたのに、油断も隙もない。

「ソースも欲しいな。あるか?」

「壱殿。ソースをかけると美味いのか?」

 りゅうの問いに笑顔で答える。

「美味いぞ! ほら、試しにかけてみろ」

 壱殿はりゅうのポテトサラダにソースをかける。

「おぉ! これはイケるな!」

「そうだろ! これが美味いのだよ!」

「わたちもー!!」

「ワシがチビッ子位の頃はな、これが1番のご馳走だった」

『へぇ~』

 りゅうとラテっちは素直に感心している。

「料理は温かい内が1番美味い! そして、『食』こそ生きる源。今日はなんて気分がいいのだ!」

 この台詞を聞いて、安堵するボンズ。

 なにはともあれ、壱殿が喜んでくれてよかった――と。


「ところでボンズ。貴様は現実では名の知れたホテルか料理店のシェフとして勤めているのか?」

「え? 今、なんとおっしゃりましたか……?」

「これだけ料理に精通しているのだ。さぞかし腕のたつ料理人なのだろう」

「えっとね……まぁ、そんなところかな。あはは……」

「ボンズは無職よ」

「…………ん? パチ。今、何と云った?」

「無職。ボンズは就職どころか自宅にこもっているだけのひきこもりなのよ」

「人の秘密をアッサリと暴露した上に2回も云う必要はないのではありませんかー!!」

「なんと!? それは本当か!?」

「…………否定できません」

「それなのに、これほどの料理を作れるのか?」

「あ! 気に入ってくれていたんだ。ありがと!」

「今は、そんなことはどうでもいい。ならば、料理の腕はどこで磨いたのだ?」

「……それは」

「それは?」

「……そんなことはどうだっていいじゃないか。秘密だ」

「…………そうか。云いたくはないのならそれでいい。もしかしたら、秘伝なのかもしれんからな」

「そこまで大袈裟じゃないよ!」

「では、貴様は現実に戻れたら調理師になるといい。ワシが保証するぞ」

「…………いや、それはいいや。料理は仕事で作るものではない。作りたい人に作るものだから」

「ふむ。ボンズ――貴様は稀に良いことを口走る。それは後に大きな利点となるぞ」

「そうかな?」

「あぁ。まぁ、無職であれば関係ないかも知れんがな」

「アナタまでそういうこと云わないでくれませんかね!」


 でも、『現実世界に帰る』か……普通なら真っ先に考えることなのに、今まで思いもしなかった。いつの間にか、ずっとこのままなのかと錯覚していたのかもしれない。

 いや、帰れる保証は今のところない。だが、もし現実に帰る方法が見つかったとしても、俺はどうしたいんだ……

 現実、か……今と現実。どちらが生きている心地がするのだろう……



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