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第百六話 鬼人

 


 ついに、ドサンコレンジャーとビキニはき隊の勝負が開始された。

 だがドサンコレンジャーの強さはコロシアムで十分把握している。

 とてつもなく強いと―

 試合展開はドサンコレンジャーの先制攻撃から始まった。

 前方に躍り出た三人のメンバーが同時に攻撃を仕掛ける。

 そう、全てを凍り付かせる最強系攻撃符術―

【風花雪月】


 花びらのような氷の結晶がビキニマンたちを囲い、あっという間に七人の氷像が出来上がった。


 ―早くも勝敗が決した。

 誰もがそう思った時、メキメキと何かが砕かれる音が会場中に響き渡る。


 そして―

 物凄い破壊音と共に、ビキニマン全員の身体に纏わっていた氷は霧散していった。


「パンプアップだ! 筋肉の隆起を利用して氷を破壊しやがった!」

 壱殿が驚く中、パチはさらに驚きを隠せずにいた。

「只のパンプアップじゃないわ! 本来筋肉を激しく動かすことによってパンプアップするのに、予備動作なしで、それを可能にした。筋肉だけでなく血流が異常なほど発達しているのよ。。。ありえないわ」

「おそらくは全員がWの(トン)を極めているのでしょう。(トン)の特殊能力である『自己回復』能力を極限にまで高めているのです。そしてあの風貌―繰り出される技は当然……」

「『投げ』か、優作」

「えぇ、ボンズさん。しかも投げ技の一番の問題である『距離』も風花雪月が通用しなければ意味をなしません。この勝負、もしかすると……」

「もしかすると?」

「そう時間はかからないかもしれません」


 風花雪月が通用しないことに、驚きを隠せないドサンコレンジャーだが、再度符術の準備をする。

 だが―

 突然、ビキニマンの3人がジャンプし、それを他の3人がジャンプした三人の両足首を掴む。

 そして、その場でジャイアントスイングを始めた。

「―何のつもりだ?」

 目の前で対峙しているドサンコレンジャーには意味不明に見える行動だが、時は次へと進む。

 前方の三人が再び風花雪月を放つと同時に、ジャイアントスイングで遠心力をつけたビキニマン3人が氷の結晶へ飛び込む。

 投げにより加速したビキニマンはジャイロ(ドリル)回転が加わり、氷の結晶をものともせずに、術者に飛び込んだ。

 3対3

 クロスチョップで術者の首元を正確にブチ込むと。―と、同時にビキニマンは相手の身体を両腕で抱え込み、天高く飛び上がった。

 そして、無情のパイルドライバーが炸裂した。

 まともに喰らったドサンコレンジャーは一撃で戦闘不能に。

 あっという間に4対7という状況に追い込まれた。


 蘇生させるか――

 だが蘇生符術では時間がかかりすぎる。かといって『祝儀』を使うにはビキニマンの間合いに自身を晒さねばならない。


 この二択に対し、残った4人のドサンコレンジャーは全く別の手段をとった。


 会場の気温が一気に下がった。


「大自然の怒りよ―」


 残されたドサンコレンジャーの背後から吹雪が起きる。


「これが、我々の奥の手だ!! 風花雪月―『極』」


 それは、目を疑う光景だった。

 リングに雪崩が起きたのだ。

 逃げ場などない。

 まともに喰らったらひとたまりもない。たとえ戦闘不能を回避しても雪崩の影響でリング外まで飲み込まれてしまう。


 これは決まったか―

 会場中のプレイヤー達がその圧倒的な大自然の力を目の当たりにし、ドサンコレンジャーの逆転勝利を想像した。



 しかし―

 こともあろうに、ビキニマンは全員で肩を抱き合いながら円陣を組みだしだ。


「ズガガンガガンガーン!! (トュザ・マッソー)」

「ズゴゴンゴゴンゴーン!! (ハッソ・マッソー)


『ウィアーーーーーーーーーーーーーー!!!』



 迫る雪崩。眼前には大量の雪が流れていくまさにその時、全員が天高く拳を掲げ、大声で叫んだ。


 大砲のような爆発音と同時に7人のビキニマンが、こともあろうに、巨大な雪崩を押し返した。


「バカな!! 気合だけで我らの雪崩を押し返しただと!?」


 雪崩はそのままドサンコレンジャーへと流れていき、全てを飲み込んでいった。

 つまり、ドサンコレンジャーは自らの符術により、リング外へと流されてしまったのである。


 そして、同時にビキニマンの勝利であった。


「鬼人―かのような風貌の裏にはとてつもない『強さ』をもっていた」



「勝者―ビキニはき隊!!」


 アナウンスが流れた同時に、ビキニマンは静かに振り返った。


「つえー!!」

「すげー!!」


 りゅうとラテっちは完全に憧れのまなざしでビキニマンを見ている。


「よし、せっかくだ! 君たちもリングにあがりなさい!!」

『??』

「勝利のポーズだ!!」

『うぉー!!』



 ビキニ集団は再びポースをとる。

 赤く染まれ! ビキニレッド!

 漆黒の闇を切り裂く ビキニブラック


 またはじまった……



「宇宙探偵グレート! りゅう!」

「えっとね! えっとね! ラテーーっち!!」 

 さ

 ん

 に

 ん

 ふ

 え

 て

 も


 え?? 3人??


 『ビキニはき隊!!』 


 ドコーーーーン

 後ろから爆発が……まさか。

 こっそりと後ろに満面の笑みをしている式さんがいる。

 ドラ爆弾で ポーズを取る9人の後ろに、ド派手な爆発演出が……完全に特撮だ……


 2人も一緒にポーズをとる

 それにしても……変なポーズ 

 両方の手を腕ごと右へ。すぐさま左へ移動。延ばされた両手を天高く伸び……短すぎて上がっていないが、精一杯掲げている。まるでお遊戯会だ。

 それにしても、2人のその顔! 

 気合い入れたつもりだろうが、顔が >♢< な形になっており、笑いを誘ってしまう。




「ナイスポーズ。それではよい子たちよ。また会おう!」


 そして、3人は観客席に戻ってきた、

 ところで、どんなサインをなんだろう……

 ラテっちに見せてもらうと―

「ビキニはこうぜ!」

 すげーサイン……ん? 裏面にも何か書いてある。 

「大事にしまうじぇ」

 ラテっちはカバンの中にサインをしまった。




 さて―


 ボンズが皆に問う

「俺たちもいつ戦いが始まるかわからない。みんな――覚悟はできたか?」

「おう! いつでもできたぜ」

 みんなが言うと、ボンズは汗だくになり。。。

「マジ!? まだできてないんだけど……」



『ボンズー!!』


「はぁ……なら聞くなよ。このフヌケ」

「死ねばいいのに……」

「もうテメェだけで行け」

「ビバビバ」

「おやつあげないじょ」

「ラテっち。そこは『這いつくばれ、このゲス野郎』って云うのよ」

「パチ……ちょっとコッチにきなさい」



 会場にアナウンスが流れる。


「次の試合は、「|the last one party《ザ ラスト ワン パーティー》対――」


来年もよろしくお願いいたします。


皆様、よいお年を!!

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