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第百三話 希少

ようやく、更新できました!


 


「これが、天に愛されし者のアイテムマスター『天和(てんほー)』の片割れ、『地和(ちーほー)か』

「何言ってんだ壱殿。森で拾った猫だぞ。それにコイツは『お悩み招き猫』っていうんだ」

「チビッ子―しゃべるアイテムなど存在しない。それに背中の『地』と描かれた文字といい、間違いなく地和(ちーほー)だ。」

「本当かよ……そうだ! そういえば、以前『通常のアイテムはいくつも出せるが、スキルでのアイテムは一個しか出せない』はずだったよな。ラテっち」

「ぼんずのいうとおりでちゅ。よくおぼえていまちた。えらいでちゅ!」

「そうなると―猫がいるこの状態からもう一個スキルアイテムを出せれば間違いなく『特別な存在』ということだ。おチビちゃん。アイテムは出せるか?」

「いちどのはひとづかいがあらいでちゅね~。なんちゃって!いいでちゅよ。それじゃね、なにをだそうかな??」

 ラテっちがかばんをあさり出す前に式さんからリクエストがでた。

「おじょうちゃん。以前出したなんとか光線銃ってのを出しな。電池を用意しておいたぞ」

「ほんとうでちゅか!? うれしいでちゅね~! それでは! 『あれでもないこれでもない……あった~【ピカピカこうせんじゅう】』―――おっ!? ちゃんとだせまちた!!」

「やはり出せたか……」

 壱殿が唸る。

 式さんはラテっちに光線銃を手渡されると、銃に電池を入れてあげる。

「これでつかえまちゅ!」

 ラテっちはニッコリ微笑む。

 と、ここで式さんから提案が上がる。

「念のため、壱のいう通り、もう一個スキルアイテムを出してみたらどうだ? もし出せまかったら、壱のいう通りだろ?」

「わかりまちた」

 ラテっちがかばんをあさりはじめる。

「あれでもない。これでもない…………だせないでちゅ」

 ラテっちのスキルアイテムは一個までしか出せないからな。以前教えて教えてもらったとおりだ。

 ―つまり、この猫は特別な存在。

 するとパチが―

「ワクチンの時、女だけでダンジョンに行ったときに『アイテムのことはアイテムに聞け』って言って猫だからね。違和感はあったわよ。ねぇ壱殿。このアイテムはやはり特別な存在なの?」

「あぁ、間違いない」

 一瞬の静寂―

「さて、問題は地和(ちーほー)をどうするか……だ」

「ワテのことでっか??」

 壱殿の問いに、ネコ丸出しな地和(ちーほー)が自分のことを小さなお手てで指さす。

「そうだ。自己の意思を持ち、成長していくアイテム。―天和(てんほー)地和(ちーほー)。片割れの天和(てんほー)の所在が全くわからない今、地和(ちーほー)の扱いをこれからどうするか―だ」

 すると、りゅうが会話に入ってきた。

「成長するってことは、それからは一緒にいたほうがいいぞ。ラテっちのカバンの中は時が止まっている」

「そうなのか?」


 壱殿―いや、式さんも勇作も驚いている。

 そして、その疑問にボンズが答える。

「あぁ、その通りだ。非常食の食べ物もラテっちのカバンに入れてもらっている。時が止まっているから、冷蔵庫より便利だぞ」

「そうだったのか……ちなみに、スキルアイテムは一つしか出せないが、通常のアイテムは取り出す数の制限はないのか?ボンズよ」

「今まで旅をしてきて、そういう機会はあまりなかったからな。おそらく出せるはずだけど」

「今回の賭場で獲得した蘇生アイテム『祝儀』も同様か?」

「おそらくな」

 壱殿はボンズとの会話を終えると、手を口にあてがい、数分考えこむ。

 ―そして、口を開いた。

「まず、地和(ちーほー)のことから決めよう。おチビちゃんが持つカバンの中の時間が止まっているなら、このまま共に過ごしていたほうがよいだろう。異議のある者はいるか?」

 誰も手を上げず、うなずく」

 チビッ子二人は「いろん」てなんだ? と、きく。

「これからその猫はカバンに入れずに俺らと一緒に旅をするかどうか壱殿は聞きたいんだよ。りゅうもラテっちも反対か賛成か聞きたいんだけどどうかな?」

 ぼんずの説明に得した二人。

「さんせーじゃー!!」

 二人とも、もろ手を挙げて喜ぶ。

「それじゃ、これからいっしょだね。よろしくでちゅ! ちーほーちゃん」

 ラテっちは猫を抱えると帽子―頭の上にのせた。

「これは居心地いいですわー。これから頼むで! ご主人!」

 地和(ちーほー)も喜んでいる。


「これで、問題の一つは解決だ」


「まだあるのか!?」

 壱殿の不意なセリフに、式さんが食いつく。

「あぁ。これからの話はあくまでワシの憶測なのだが、これから本格的に戦いが始まる……ような気がする」

「カンか?」

「あぁ」

「壱のカンはよく当たるからな。信じよう」

 式産の意見。そして、壱殿の『カン』に皆がうなづく。

「せれとな―」

 壱殿に注目が集まる。

「ボンズ、式」

『なんだ!?』

「いっぺん。戦闘不能状態になってくれ。異議のある者はいるか?」

『異議あり!!!』

 ボンズと式さんが勢いよく挙手する。

「そこでパチ。相談なのだが―」

『異議申し立て完全無視1? 聞いた意味ないじゃん』

 二人の意見を無視して話を進める壱殿。

 そして―

「ちょっと、隣の部屋で2人ともしばいてくれ」


「しょうがないわねぇぇーーー!!!」


『やる気満々マン!!』

「そのあと、おチビちゃんと優作。2人にやってほしいことがある」

「私ですか??」

 優作が驚いた表情を見せる。

「あぁ、2人にしかできない実験をしてもらう。それでは準備してくれ」

「しょうがないわねー!!」――」パチ。うれしそう。

「待て!パチに無抵抗でシバかれたら、戦闘不能ではなく再起不能になるわ!!」

「2人とも、往生際が悪いわね! さぁ、来なさい」

 パチが、ボンズと式さんの首襟の後ろを掴み、隣の部屋の扉を開け、引きずり、放り込む」

 そして、扉が閉まった。


 声がこだまする。


「これぞ! 関節技(サブミッション)の芸術品。ジャッキー・パロが生み出した『パロ・スペシャル』」

「ぎゃあああああああ!!」

 式さんの悲鳴が響き渡る。

「そして頭蓋骨を砕くシンプルかつ至高の一品―『アイアン・クロー』」

「にぎゃああああああ!!」

 ボンズの叫び声が響き渡る。


 そして、静寂の後、パチだけが部屋から出てきて、満面の笑みを浮かべ一言―。


『確かな満足!!』


このお話で第二章の終わりです。

次話からいよいよ最終章へ突入します!

よろしくお願い致します!!


(章の区切りって、どうやってやるんだっけ……どなたか教えていただけるとありがたいです汗)

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