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風の恩寵を享けし者・エンフィル  作者: ネコしゃもじ
エンフィルとしての初め

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2/2

初めての街

 僕を拾ったこのエルフの名前は『メガルス・ガルドラ』。魔導士で、僕はこの人の弟子になったみたい。そしてこの人に拾われてすぐ、おかしな事に気づいた。尿意や便意が全く来ない。そう思っていたら師匠が丁度よく知りたい事を言った。

「なるほどね。魔力返還体質か、これは早めに魔法を教える必要があるな…。だがそれは、もう少し大きくなってからだね、それまでは魔力吸収で何とかしよう。エンフィル、君はやはり…」

 エンフィルの頭を撫でて優しい笑顔を浮かべるメガルス。

 4年程時が経ち、僕は魔法を習うようになった。

「師匠! 見て見て僕できたよ!」

 僕は風魔法で石を定位置に浮かせていた。そして僕は、体の影響か、精神まで幼くなっているみたいだ。あの嫌な記憶はあるし、思考だけなら今まで通りだ。だが、今まで以上に好奇心旺盛で、話す時は純粋無垢な感じだけど、それでいい…僕は、新しい僕になったんだから。

「すごいじゃないか。では他の魔法を試してみようか。次は…」

 メガルスが魔法を発動しようとした途端、エンフィルの腹が鳴る。

「師匠、お腹すいたー」

「ふふ、では夕食にしようか。何が食べたい?」

「うーん、あれ! 鳥とレタスのあんかけ!」

「わかった、それじゃあ少し待っててくれるかい?」

「うん!」

 メガルスが調理をしている間、エンフィルは風魔法で物を浮かせて遊んでいた。

 そういえば…。風魔法だけ他の魔法と何か感覚が違うんだよね…何でだろう?

「うーん…」

 すると、調理を終えたメガルスが、エンフィルを呼ぶ。

「できたよ。エフィ」

「はーい!」

 二人は向かいに座り食事を始めた。

「はふっはふっ! ごくん! やっぱり熱いけど美味しい!」

「ふふ、それはよかった。エフィ」

「うん?」

「明日、一緒に街に行くかい?」

 『雷壁の街・サンノス』。師匠がたまに、買い物や何かしらの用事で行ってる所。師匠は僕がもう少し大きくなったらと言って、連れていってくれなかったけど、やっと行ける!

「うん! 行きたい!」

「うん。朝早くに行くから、準備をしておくんだよ」

「うん!」

 食事を終えた後、エンフィルは急いで部屋に戻り、明日の為、服の準備をしていた。

「ふふんふ~んふふ~ん♪」

 支度が終わった。そして夜を迎え、就寝。

 早朝。二人は、生存の為の魔法が付与されたローブを羽織り、街へと向かい始めた。

「ねえ師匠。サンノスってどんな所なの?」

「サンノスは、壁で覆われていてね。その上から、『雷の恩寵を享けし者』が張った結界に守られている所だよ。そしてその結界は、攻撃の意思があるものだけを拒絶する。おかげで、街は平和で、賑わっているんだ」

 エンフィルは目を輝かせ、わくわくで胸がいっぱいだった。しばらく歩いていると、街が見えてきた。

「ほら、みえたよ」

「わあ~! あれが、サンノス!」

 高い所から見えたサンノスの大きさに興奮するエンフィル。そして二人は、サンノスへと向かった。

「ほぉ~…わぁあ~!」

「エフィ、あまり離れないようにね! ……仕方がない子だ…」

 しばらく進み、エンフィルはメガルスにここへ来た目的を問う。

「ねえ師匠、ここで何をするの?」

「食材の調達、あとは…探索する?」

「うん!!」

 二人はまず、市場へと向かった。市場へ着くと、青果店の店主に話しかけられた。

「お! メガルスの旦那じゃねーか!」

「繫盛してるね」

「おかげさまでな! おん?」

 僕は師匠の裾を掴み、後ろに隠れて顔を覗かせていた。

「あんたに娘がいたのか…⁉」

「いや、この子はエンフィル、私の弟子だ。この子は親と生き別れてね、私が面倒を見ている。それと、この子は捨てられた訳ではない」

 店主は何かを察した様子。

「そうか…。嬢ちゃん、これやるよ…」

 店主はエンフィルにりんごを手渡した。

「え…いいの?」

「ああ! だが次は、ちゃんと払ってもらうがな!」

「……ありがとう、おじさん!」

「おう!」

 メガルスは、他の買い物をして、それらを魔法で創り出した異空間に収納した。そして店主は、最後に一言。

「今後ともごひいきにな!」

 それを聞いた二人は軽く手を振り、離れた。そして二人が街を散策をしていると、突如後ろから女性に話しかけられた。

「メガルス…? メガルスなの⁉」

 メガルスはその声に聞き覚えがあり、驚いた様子で振り返る。そこには、若い女性がいた。

「リリィ…⁉ まさか…ここで会えるとはね…」

 メガルスは、少し気まずそうだった。すると『リリィ』という女性の顔が、少しこわばる。

「何で…何で急にいなくなったの…!」

 リリィの目には、涙を浮かべていた。一方エンフィルは、メガルスの後ろから顔を覗かせていた。

 この人何だろう? 師匠とどんな関係なのかな?

「いや、置手紙を残したはずだが…」

「そういう事じゃないの!! って…え? あんた、子供いたの⁉ ……子供の前で怒るのは大人げないよね…。ふぅ…それじゃあね…」

 リリィは怒りを抑え、立ち去った。

「さっきの人は?」

「君が生まれる前、私は冒険者だったんだが、彼女はその時の仲間だ…」

「勘違いしてるけどいいの?」

 メガルスは少しの間を置いて、質問に答える。

「私が言っても聞いてくれなさそうだから手紙でも送るよ…」

「……そっか」

 二人はその後、帰宅の為、街を出た。空は既に夕暮れだった。

「本当ににぎやかだったね!」

「楽しめたかい?」

「うん!!」

 二人は、来た道を歩く。そしてエンフィルは、気になった事を質問した。

「ねえ、師匠って結構遠いのにすぐ帰ってくくるよね? 魔法使ったの?」

「鋭いじゃないか。その通り、魔法を使ってすばやく移動している。エンフィルもいつか同じ事ができるかもね」

 エンフィルは得意げなひょうじょうだった。

「もちろん! 僕もすぐに追いつくからね!」

 メガルスはエンフィルの頭を撫で、微笑で返した。

 それよりさっきの女の人…手紙だけで大丈夫なのかな?

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