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第6話

実に清々しい朝だ。涼しい微風に懐かしい景色。壁紙だが。私は今が大の嫌いだ。

…私が今を嫌うのは数多の理由だ。一番の理由はなんでも機械やAIに任せることだ。おかげで私も転職をするはめに遭った。特にドローンが朝から飛び回るのは本当に嫌いだ。虫唾が走る。ハエでも飛び回っているようで鬱陶しい。今日に関しては朝から近くを飛び回っている。少し大人しくしすぎたか、再びドローン配達の運行を始めているのか。


「仕方ない」


起爆装置を押して1つドローンを墜とす。

"芸術は爆発だ"とはまさにこのことだな。人は私を悪魔だと言うだろう。しかし、いつか気づくのだ。AIと機械の恐ろしさに。


「フフフ…フハハハハハハハハ!」


時計はもうすぐで7時半だ。


「笑っている場合ではない!会社に遅刻してしまう!私としたことが…」



「そういえば、ドローンの犯人はわかったのか?」


サイドカーを飛ばして走る中、アーロンが聞く。


「逆探知のやつはねぇ…セキュリティシステムが複雑すぎて私みたいな一般人にはできなかった。企業が独自に開発したあのセキュリティシステムは相当ハッキングなんてできない」

「そんじゃあ、犯人はハッカー集団じゃねぇか?」

「そうとしか考えられないけど、いろちゃんを狙う理由がわからない…」


どうも引っかかる。色んな組織や人の関係も考えたけど、"いろちゃんを狙った"という事が必ず引っかかる。なぜそこまでして殺したがる。ましてやただの高校生だ。


「…いろちゃんが出ていったのは、何か心当たりがあるからじゃないかな…何か、周りを巻き込んではいけない、自分にしかわからないことが」

「とりあえず、お前の勘を信じて向かうぞ。ドローン配達会社D2S2Co.本社に」


東京、新宿、D2S2Co.本社…


D2S2Co.。Droen System Delivery Service Companyの略称だ。ドローン産業を主力とした配達サービスで、日本の配達企業1位の大企業。海外のドローン配達を参考に、配達、運送、さらにはドローンショー、一部では兵器開発を行うなど、様々な場所で活躍している。配達企業を模した民間軍事会社と言っても過言ではない。海外進出はしていないが、来年にはアメリカに支部を建てると宣言している。

窓口には一二三が居た。


「お父様がJAPANICALで働いていらっしゃったのは我々の社員もご存知です。彼ほどロボットサービスに熱心だった方はいらっしゃいませんでした。彼の熱意が今の日本ドローン産業に繋がっているとも言い切れます。お父様のお子さんのお役に立たせてもらうのは光栄です。いつでもご相談に乗りますよ」

「ありがとう。迷惑かけた」

「いえ全く!」


私のお父さんはJAPANICALという、このD2S2Co.の子会社で働いていた。お父さん達のロボット技術は今のドローンに繋がっているという。正直、そんなこと思っていない。利用したという方が正しい。この受付ロボットには狂ったプログラムがされているようだ。


「おや、捌玖拾先輩の娘さんではないか」

「乗取さん…」


乗取(のっとり) 零日(れいか)。かつてJAPANICALに所属していた会社員で、私のお父さんとは先輩後輩関係にあった。運がいいというか、地震1週間前に親会社のこの会社へ異動した。嫉みだし思ってはいけないかもしれないけど、私は怨みを感じた。なんでお父さんが助からず、この人が助かったのか。


「乗取様。ちょうどよかった。齊藤課長がオフィスでお待ちになられています」

「ありがとう。少し私が遅れてしまったのが原因だ。確か、一二三さんだったね。体に気をつけるんだぞ」


乗取さんは走って行った。

私はスイッチを押すと会社が停電した。


「なんだ!?」

「停電だ!」


会社内はパニック状態だ。

私は逃げた乗取を追いかける。


「乗取!」


私は誰もいない通路の行き止まりまで追い詰めた。


「くっ…仕方ないな…。一二三、とかだったな。確かに、君を始末するのが目的だ」

「どうして私を殺す?Partsの秘密を教えられていたから?」

「そうだ。Partsはロストテクノロジーの上にオーパーツだ!あの部品らは危険だ!故に見てみろ今の世界を!あのロボットの部品を利用して作った結果、AIの究極の進化は確実に来ている!シンギュラリティが起こるのはもう時間がない。突如現れたヒューマノイドはAIが自力で考え作った新たな人間だ。ヒューマノイド問題は自衛隊が解決しようと、武力で抑止力を作ろうとしているが、無駄なんだ。AIはヒューマノイドだけじゃない!ドローンにロボット、次は職業。失業率は年々上がってきているのがわからないか?この会社が担っているのは国家転覆なんだ!まだ人類は気づいていない!本物のAIの姿は、まさに人類の代理人だということに!」

「だからと言って、殺人の理由にはならない。あんたはドローンで私を狙えば、私の始末できる且つ世間にAI技術が危険であると知らしめられる、一石二鳥って考えたということでしょ。やってることは正義ぶったクズと同じ。あんたを捕まえて警察に引き渡す」

「証拠もないのにどうやって証明する」


私はポケットからスマホを取り出して画面を見せる。


「…ボイスレコーダーか」

「証拠はある。あんたが今全て吐き出したから」


乗取は不気味な笑顔を浮かべる。


「私が大人しく降伏すると思うか?私がこう話している間にも、ドローンは向かって来ている。私がドローンの統制者だ。全て操れる。例え、自爆攻撃だろうとな」


その時、爆風と黒煙に私は包まれた。乗取からは吹き飛ばされ、耳鳴りが聞こえる。身体中にはガラスや何かの破片が刺さっているし、切り傷も大量、どこも痛くて動けない…。

乗取は走って逃げて行った。


「待て……」


意識が…遠のく…。

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