第13話
銃弾が鉄の壁に命中する。金属音が私を襲った。
「なんなの!?自衛隊なのに私達を撃ってきてるよ!?」
「奴らはお前らをヒューマノイドだと思ってる。見分けをつかせるのは何かしらのヒントが必要なようだな。今出れば確実に撃たれるぞ」
「燃やせ!」
火炎放射兵がヒューマノイド達を焼き殺す。
「赤城。俺が援護しつつブレーカールームに走れ。俺はセキュリティルームに篭りつつシステムを解除する!」
この工場は人間への対策がされてあった。武装をしたヒューマノイドの他、ブレーカーを落とされることを恐れているのか、5重のセキュリティシステムがあった。
「赤城。準備はいいか?」
「うん」
「走れ!」
赤城がブレーカールームまで走り、A.H.Sの隊員をアーロンが牽制する。数発が命中するが倒れる気配はない。
「頑丈な防弾服だ…5.7×28ミリでも傷一つ付かないか…」
「奴を撃て!」
A.H.Sの集中砲火がアーロンを襲い、数名の隊員が赤城に近づく。
「アーロン!」
「任せろ!」
アーロンが拳銃を撃ち跳弾させ、隊員の脚の関節部を撃つ。隊員が出血し味方に引きずられ撤退していった。
「今しかないぞ!」
赤城が一気に飛び出し、弾丸を避けながら辿り着いた。アーロンも続きセキュリティルームに辿り着く。
「ベータ部隊はあの男をひっ捕らえろ。我々アルファはあの少女を捕らえる」
<赤城!セキュリティをオフにできる時間は30秒だ。第一セキュリティはブービートラップ。第二セキュリティは自動タレット。第三セキュリティはAIの警備員が巡回してる。第四セキュリティは自動ドア。第四にはセンサーが大量にある。触れるとドアが閉まってガスが出てくるぞ。最後のセキュリティはレーザーだ。迫り来るレーザーを全て避けろ。全て30秒以内に無事通過すればブレーカーに辿り着ける>
「…わかった!やるしかないね!」
<行くぞ。3、2、1、走れ!>
セキュリティをオフにし、最初のセキュリティに入る。壁に取り付けられたトラップが作動し鉄槍が飛び出す。ギリギリ避け第二セキュリティへは入った。
アーロンは武装したヒューマノイドを破壊しアサルトライフルで隊員に反撃する。
「AIの警備…でも政府のとは違う!」
ショットガンを持ったAIの警備員。たった1体だけだが強力だ。
私は服を1枚脱ぎAIのカメラを覆った。その間に後ろに周り突破する。
第四セキュリティのセンサー。赤いレーザーセンサーが、張り巡らされ、30秒以内には行けない…。
<赤城!急げ!>
生産ラインには防御が固く隊員も迂闊に近づけない。
「こうなったら!」
センサーにあえて触れ強行突破。ドアが閉まりそうになるが、頭を下げて次のステージへと進む。工場には警報が鳴り赤くなる。
<ドアが閉まる!>
センサーが発動し私の方へ2本、上下で向かってきた。その間を飛び受け身で通過。次のセンサーが発動する前に走りスライディングで閉まるドアの下を潜った。
<赤城押せ!>
ブレーカーのレバーを落とし工場全体を停止させる。
「アーロンお願い!」
<任せな!>
アーロンが起爆スイッチを押し仕掛けてあった爆弾を起動させる。工場の裏口とブレーカールーム近くは爆発し、工場全体は停電した。生産ラインの機械もベルトコンベアも停止。爆発に巻き込まれたブレーカールームには穴が空き、そこから赤城は脱出した…が、
「動くな!」
4眼の暗視サイトを付けた3名の隊員が赤城に銃を構えた。
アーロンの方では、ガンライトをつけた隊員が突入した。
「クソッ!」
アーロンがトリガーを引くが弾が出ない。
「弾切れ!?」
パシュンパシュンと、サプレッサーがついた45年式5.56mm小銃がアーロンを貫いた。その場に倒れ、血を流す。無線には倒れる衝撃音と雑音が聞こえていた。
「アーロン!アーロン!」
「喋るな!手を挙げ跪け!」
私はそれに従う事しかできなかった。
2体のヒューマノイドが暗闇を利用して正面出入り口が脱出する。しかし、ガガガガガッと、ホバーしていたV-280のドアガンに木っ端微塵にされた。
「こちらデルタ。正面出入り口から脱出しようとした目標2体排除>
ヒューマノイドの製造工場は、戦場になっていた。