第11話
X号機のコクピットを閉じ、再起動する。
「邪魔だ!」
赤城のドローンが撃破され、アーロンも機関砲で狙われていた。
「動いたか!筑波!」
「今だよアーロン!」
アーロンがRGP-7を6号機の頭部に打ち込みメインカメラを潰す。
「命中したぞ!」
「後は頼んだよ!いろちゃん!」
私はジェットパックのスロットルを一気に上げ、6号機を空へ持ち上げた。落ちそうになったところを思いっきり蹴り飛ばし海の上へ移動させた。
「落ちるか!」
6号機に残り少ない燃料でジェットパックを噴射し、止まろうとするが、私が上に乗っかり海へ叩き落とした。
だが、問題が発生する。
警告音が鳴ると、画面に"LOW BATTERY"の文字が浮かぶ。
「バッテリーが少ない…!」
乗取を完全に仕留められるか…わからない。
「…ごめん。みんな。また心配させる」
6号機の身体を掴み、海へ沈むとジェットパックを起動。さらに深く沈ませる。
「筑波!何をしている!脱出装置が開かん!何をした!」
コクピットを完全に抑え、6号機は水圧で凹み始めると共に、X号機も凹み始めた上、海水が入ってくる。
脱出装置を押すと、追加装甲が剥がれコクピットを分離し、私は浮上していく。
「クソ!ここまで来て…ここまで来て死んでたまるかぁ!」
6号機にも大量の海水が入り動かなくなる。
「あぁ…うぁぁぁぁぁぁ!」
悲鳴と共に海水が侵入し、コクピットが潰された。
浮上すると、コクピットのハッチが外れ、東京の空気を吸わせた。
「いろちゃん!掴んで!」
海岸に赤城が待機しており、浮き輪を投げた。
浮き輪を被り、赤城に引き上げてもらうと、ぎゅっとハグをされた。
「ちょ、ちょっと!?」
「生きてて…良かった…会いたかった…」
「……私も…」
私の目からも、涙が出た。
次の日…
<先日の夜8時、東京内で武装をした有人ロボット2機が戦闘を行い…>
このことはずくにニュースになった。一般人にも被害は出ていたようで、幸い死者は乗取だけだった。
一二三は救急車で運ばれ、数週間の入院で治り帰れるそうだ。真実を知るのは、まだ時間がかかるようだ。
今回の件は政府も動き徹底的な調査を行おうとしたが、ミニメカニカルは構造的に簡単に移動ができないようにされており、引き上げることは現在は不可能らしい。とはいえ、正体がバレないよう扶桑も手を回した。
この事件の関与を隠すため、扶桑は私達のところから離れることとなった。
「すまないね。交渉の結果なんだ」
「裏社会って恐ろしー」
「今度は平和な時に訪れることにしよう。それでは、また会おう」
扶桑は、こうして姿を消したが、とあることを教えてくれた。
それは、ヒューマノイドの製造元の場所だった。
数時間前…
車で皆、帰る途中だった。ポベーシャは寝ていた。
「アーロン、赤城。よく聞いてほしい。これにて一件落着なのは確かなのだが、2件目がある」
「2件目?」
「ヒューマノイドについてだ」
「…どういうこと?」
「ヒューマノイドは、乗取が仕掛けたと私は勝手に思い込んでいた。しかし、ドローンを操作できた理由は、社内の人間だからこそ、システムをハッキングできた。だが、ヒューマノイドは全くの無関係。あの会社はドローン配達会社。おそらく、ヒューマノイドは第三者に値する、新たな敵ということになる。乗取が言っていたという、人類の代理人。この事件は"技術的特異点の足音"だ。本体が来る。私達はまだ闘わなくてはならない。いや、今度は私達が闘う番になる」
「ヒューマノイドを全て破壊しろってのか?」
「いや。破壊ではなく停止だ。破壊は政府がやるさ。ヒューマノイドの根本、つまり製造場所を潰す」
乗取は、先に気づいていたようだ。
今の、2045年のAIの危険性に。