第9話
「私の計画は上手く行ったぞ!筑波!私の勝ちだ!」
6号機が起き上がり私達を襲う。幸い、武装はされていない。
「逃げろ!」
アーロンの叫びで全員が車を目指す。あの6号機は危険すぎる。厚い装甲、高い機動力、本来搭載される武装も存在する。
「ふん。お前らなどに構ってられるか」
そんなセリフを吐いて、6号機は一二三の故郷を目指した。
宇宙では6号機から発せられた電波をブラックナイト衛星が受信し、到着する位置を調整。6号機がある人物につけていたGPSの近くへ降下を開始した。
目標は、一二三がいる病院だった。
ブラックナイト衛星降下開始から45分が経った頃だ。東京湾近くの太平洋海でASEV(イージス・システム搭載艦)1隻が航行。すぐに迎撃できるようSM-3ミサイルの発射を準備していた。レーダーには点滅する点が映っていた。
戦闘準備の警報が艦内に鳴り響く。
「対空戦闘用意」
「対空戦闘機用意。対空戦闘用意。これは演習ではない。繰り返す。対空戦闘機用意。これは演習ではない」
ブラックナイト衛星がついに射程距離に入ったところだった。
「SM-3攻撃始め」
「発射よーい、てー!」
ミサイルハッチが開き、SM-3ミサイルが轟音と共に発射される。ミサイルはあっという間にマッハに達し、ブラックナイト衛星に命中する。
「目標命中」
「目標撃破ならず」
ブラックナイト衛星が起動しミサイルを2発発射する。
「目標ミサイル発射!急速接近中!」
レーダーの点が凄い勢いで近づいて来る。
「SM-6攻撃始め!発射よーい、てー!」
SM-6が発射され、ミサイルで応戦。1つ撃ち落とすが、2つ目は避けて本艦に向かって来た。まるで生きているかのような挙動は、オーパーツに等しかった。
「ミサイル破壊。しかし1つ健在。敵ミサイル未だ接近中」
「主砲攻撃準備!」
「目標左100度!」
イージス艦の主砲が5インチ砲がミサイルに向かって旋回する。
「うちーかた始め!」
5インチ砲の弾丸がミサイルへ発射されるが、ミサイルには当たらず海面に飛沫と波紋を描いて着弾する。
どんどんミサイルは近づいて来る。
すると、ASEVのCIWSが反応。大量の弾丸を高速で発射し撃墜した。
「ミサイルの破壊を確認。しかし目標は未だ健在」
レーダーからブラックナイト衛星の点が消える。
「目標ロスト!」
その言葉に、艦内は静寂に包まれた。
病院では、一二三が起きていた。
突然、辺りに震動が響く。
そこにはブラックナイト衛星がコンクリートを破壊して着地していた。
「…迎えに来てくれた。ありがとう。お父さん」
ブラックナイト衛星が変形し始め、6号機に酷似したロボットが姿を現す。肩にはXとPartsと描かれており、右手には機関砲が搭載されていた。
一二三の病室の壁を破壊し、コクピットを開く。コクピット内も6号機にそっくりだった。
一二三がコクピットに乗り込む。
騒ぎを聞きつけた警察が周辺を囲んだ。
「何か逃げ切る方法は…」
タッチパネルを操作し、発煙弾発射機を起動させる。周辺に煙を出し、警察車両を飛び越えホバー移動で逃げ出した。
「待ってて乗取。まだ私のターンは終わってない」
赤城達は再び倉庫に戻っていた。
「…参ったね…私が欺かれるとは…。私の確認不足だ。申し訳ない」
扶桑が深々と頭を下げた。
「失敗は付きものだ。仕方がねぇ」
<ブラックナイト衛星とは何か。それは長年正体不明であった衛星で…>
テレビではライブ中の映像が出ながら、特番を放送していた。
そこには、6号機にそっくりなロボットが動いていた。
「あれ?こ、これ…」
「SNSがやばいぞ赤城。あのロボットがブラックナイト衛星だ。少女が乗り込んでるらしい。それに、衛星が着地した場所は一二三の病院だ。あれ、動かしてるの一二三じゃないか?」
ポベーシャがスマホを見せてくると、世界中から様々な声と画像が届いていた。さらに、マスメディアの公式アカウントらは会見の様子が投稿されていた。宇宙から飛来したブラックナイト衛星で間違いはないという。
「…みんな。わかってるよね?」
「行くしかないね。ここが最後の壁だ」
「ここまで来て諦めるわけない」
「車を出す用意はできてるぞ」
私達もいろちゃんの反撃で参戦する。そして、私達の青春も取り戻す!