買取
涼しくなってきた。
街は花火大会や祭りで賑わい始めている。
サバゲーマーたちも動きやすい時期にこぞって活動する。その為に客足も増える。
昼間の仕事も少し忙しくなってきた。
いつものように倉庫で寛いでいると‥
「靴を磨きに来た‥」
「ここだ‥」
50半ばの男がキャリーケースを引いてやって来た。
俺はコイツを知っている。
「村瀬か‥久しぶりだな」
「あぁ‥田宮もな」
《村瀬》は同業者だ。
客からの買取は足がつく可能性が高いからやらない。
だが同業なら信頼関係さえ構築すれば買取もする。
「まぁ見てくれ」
村瀬は机に銃を並べ始めた。
50年代モノのコルト•パイソン‥
マイクロウージー‥
会社不明のソードオフショットガン‥
色々ある。
「ウージーの他にばら撒ける奴は無いか?」
「コレはどうかな?」
見せてきたのはスコーピオンだ。
32口径のサブマシンガンだ。
かなり状態が良い。
「ホルスターと10発マガジンがあれば買う‥」
「へへっ‥そう来なくちゃな!」
出し惜しみ癖があるが、商売の腕は確かだ。
いまだに裏切られた事が無い。
「そっちも見せてくれ」
「分かった‥」
こちらもそれなりの品を出す。
「M29か‥良いね〜」
いわゆる44マグナムだ。
ハンティングにも使える8インチ仕様だ。
「ローダーもあればプラスするぜ?」
「毎度あり‥」
お互いの担当するエリアによって客層が違う。
こうして銃を入れ替えたりするのも商売の内だ。
補足
50年代のコルト•パイソンは高級品。
ローダーは弾を素早く装填する為の補助具です。