補充
「田宮くん、バイオBB弾の0.25ってあとどれくらいある?」
「国産が100ケースで海外製が70ケースですね」
「ありがとう。ガスの方は‥」
絶賛昼の仕事中だ。
他にもバッテリーの製造日確認や新品との入れ替えなど様々な業務を行う。
これが月一なら忙しいが、毎日チェックしているのである程度時間に余裕ができる。
休める時は休むのが大事だ。
無理は禁物だ。
「業者来たみたいなので裏口行きます」
「よろしく〜」
店長は俺の本業を知りながらも普通に接してくる。
なんなら今だって判子を渡して店内掃除とエアガン修理に戻ったくらいだ。
‥信頼されているのだろうか?
「こちら領収書です」
「どうも‥」
ブツが入った。
こちらはエアガンの方だ。
フルメタルAKや光学サイト、スタンダードアサルトライフルなど店の人気種が主だ。
「よし、搬入完了‥」
エアガン修理をしている店長に領収書を渡す。
「ありがとう田宮君。休憩良いよ!」
「ではお先に‥」
修理する店長を後にしていつもの倉庫に向かう。
俺は実銃の手入れは出来るが電動ガンなどのエアガンはサッパリ分からない。
ラジコンや無線が好きな人なら向いていると思う。
なんならガスガンもやや苦手だ。
かろうじてモデルガンやエアコッキングガンは修理出来るが‥
コンビニに行き弁当と飲み物を買う。
帰りの道中で《本業》の仲間に出会う。
「いつもの浜で魚釣りな‥」
「おう‥夜に向かう」
会話もなるべく怪しまれないようにする。
軽々しく《ブツ》や《ハジキ》なんて言えば終わりだ。例え聞かれていなくてもボロが出やすくなる。
夜になった。
サングラスの男に門番を頼んで浜に向かう。
釣竿を垂らした帽子の男がクーラーボックスに腰掛けている。
「カサゴは釣れたか?」
「アイナメなら」
緊張がお互いに溶ける。
顔見知りでも気は抜けない。
流れるような動作で俺たちは動く。
俺は封筒。
相手はクーラーボックス。
カチャリ‥
中身は実弾と銃の予備パーツだ。
昼の仕事と違い大量に取引というのは稀だ。
そんな事をすれば警察にモロバレだ。
たかが拳銃一丁でも数百万円するのは来るまでの過程に手間暇かけているからだ。
「確かに‥」
「こちらも‥」
何事も無かったかのようにその場を離れる。