アウトレンジ
すっかり新緑が辺りを染める頃。
「明日の朝は?」
「炊き込みご飯‥」
今夜も《草むらに》客が1人‥
「もみじ饅頭買って来ました!」
「ここだ‥」
スポーツ刈りの男がきた。
パイプ椅子に座らせる。
「12.7ミリはあるかい?」
「機関銃以外ならある‥」
「銃とスコープ、弾も欲しい‥」
「お客さん、高く着くよ‥」
「構わない‥」
《大輔》
この男の本名なのか疑わしい。
とある暴力団組織に数年前から身を預けている。
若いがそれなりの修羅場を経験している。
組の人間からは「大ちゃん」と呼ばれている。
冷静で大人しいがやる時はやる男だ。
「嵩張るが破壊力は抜群だ」
倉庫からデカい銃を引っ張り出した。
《バレット対物ライフル》
装甲車の銃眼やバンカーを破壊する為に開発された大口径のライフルだ。重機関銃に使用される12.7ミリ弾の威力は人間を文字通り引き裂く。
セミオートだが命中率を上げる為にガスポートを調整してコッキング式にする兵士がいるみたいだ。
「田宮さん、弾薬は徹甲弾を頼む」
「承知した。だが遠距離では弾道がバラつくが?」
「追加報酬で何とか!」
「わかった。明日また来てくれ‥」
大輔は帰った。
翌日。
「徹甲弾の中から弾頭の重量バランスが良い物を抽出した。装薬もコチラで調整した。だがあくまで対物ライフルだから限界はある」
俺は弾薬にやや手を加えた。
この程度ならすぐに出来る。
「ありがとう。スコープはゼロインしてるか?」
「通常弾でセットされてる。確実に初弾はズレるはずだ。どうする?」
「調整したい」
今回はバカスカ撃てないレベルの銃だ。
船をチャーターして誰もいない沖に来た。
適当にブイを投げて船で距離を開ける。
大輔と共に離小島に上陸する。
「よし、撃て!」
ドギューン!!
腹に響く凄まじい銃声だ。耳栓なしなら血が出る。
シャパーン!
ブイの左後方に着弾した。
「左3、上2だ」
カチカチとスコープを調整する。
ドギューン!!
マズルブレーキから左右に爆風が来る。
コッキングハンドルは肩にアザを作ってデカい薬莢を外に飛ばす。
ベシャッ!!
遠くからでも分かるブイの破壊。
これ以上の精度は求めても無駄だ。
火力と速射性で補うが吉だ。
「ありがとう。コレを」
約束通り金を受け取った。
とある暴力団がビルの高層階で乱交パーティを開いていた。はしゃぐ男女に混じって黒服のボディガードが完全武装で警護している。
「おい、お前も混ざれよ!」
「キャハハ、イヤーん!」
「‥」
あくまで仕事に徹する黒服たち。
乱れた連中は警戒心のカケラもなく、ガラス窓のカーテンは解放されたままだ。都会を行き交う人々は見上げる余裕など無い。
数百メートル離れた別の高層ビルに大輔はいた‥
部屋の電気は全て消して窓は全開だ。
ビュービューと風が室内に入り込んでいる様子からかなり上階にいると分かる。
「組長の仇‥」
フゥ〜と脱力をして口を開ける。
バレットに頬を付けして引き金を絞る。
ドギューン!!
大口径の弾丸が風を切る!
「ギャハハ!もっと声出せ〜」
「激しすぎ〜」
数秒後
バリーン!!
どデカい穴を開けてガラスが砕ける。
「!!」
全員が呆気に取られた‥
ヒュン!!
一瞬音がした。
シュバ!!
乱交者のリーダーの近くに着弾した。
赤い羽毛枕からモワモワと羽が舞う。
「危ない!」
黒服の1人が庇った瞬間、胴体を貫かれた!
「ギャー!!」
男女は裸のまま我先に扉へ向かうが混乱して進まない。
「親父!逃げて下さい!」
残りの黒服が発砲された方角へ銃を撃つが大輔には擦りもしない‥
ドギューン!!ドギューン!!
連続した射撃をお見舞いする。
盾になった黒服を吹き飛ばしてリーダーの身体に着弾する。
「デヤ〜〜!!」
肋骨周辺が爆発した!
ドギューン!!ドギューン!!
更に追加で弾丸を浴びた男は身体半分が無くなっていた。
「やったぜ‥」
肩の痛みを他所に大輔は笑っていた‥




